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2018年02月16日

ます寿しの代償

富山での仕事が、いつもの予定より早く終わった。19時台の新幹線で帰れそうだ。「ます寿し」は富山市民のソウルフードで、市内には今もたくさんの大小メーカーが存在している。市民にはそれぞれお気に入りのブランド(メーカー)があって、「自分の家は、昔からずっと、ここのしか買わない」と言い、人によって異なる「ます寿し」をお薦めされる。だから石川県民は、いつまでたってもどれが旨いのか、わからないままだ。ちなみに富山市民は有名なM社のそれは買わないのだと言う、こんなところにも県民性が出ているのかもしれない。今日お薦めされたのは「大辻」のます寿しだった。例の円形の入れ物の上下ダブルで「ます」が多めに入っている。というより、寿司飯を「ます」でくるんでいるような商品だ。少し高いが人気商品だ、ということだった。駅の専門売場で、あれこれ探し、ようやく最後のひとつをゲットした。時間がかかったので、少し慌てながら、自由席特急券を買い、ホームに着いたばかりの「かがやき」に乗り込んだ。指定券は車掌を捕まえればいい。いつもに比べて格段に人が多くて、時間帯が違うとこんなに混雑するのか、などと、のんきに空席を見つけて座った。流れたアナウンスに冷や汗が出た。「次の停車駅は長野、長野です」。やっちまった。東京行きの新幹線に乗ってしまったのだ。ようやく車掌を捕まえ、事情を説明すると、何やら専用の用紙に赤ペンで「誤乗」と書き込み、渡してくれた。次の長野駅で、下りの金沢行き「はくたか」の車掌に見せれば、追加料金ゼロで戻ることができるのだという。結局、45分かかって長野に着き、50分待って下りの「かがやき」に乗り込んだ。自宅に着いたのは23時近くになっていた。深夜に食べた「大辻」のます寿しは、たしかに美味しかった。この弾丸旅で、もっともこたえたのは、長野駅が寒かったこと。ホームの喫煙ルームは極寒で、待合室でもドアが開くたびに刺すような風に見舞われた。自分の失敗を呪うしかなかった。鉄ちゃん(鉄道オタク)しかも乗り鉄なら、喜ぶハプニングなのかなあ。この人生初の体験の後、新幹線を使うたびに、案内板を何回も確認し、列車に乗り込むときも行先を確認するようになった(笑)。まるで小学生の旅のような毎日だ。

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