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2019年01月25日

ホテルの時間「魅惑のアフタヌーンティー」

北陸新幹線は雪に強い。だから、その年の大雪でも運休しなかった。だが、そんな新幹線も止まったことがある。理由は大雪ではなく「強風」だった。いわゆる爆弾低気圧というやつだ。その日は、甥のお祝い事でどうしても東京へ行かなければならなかった。当日の朝、予約してあった羽田便が運休した。すぐに予定を新幹線に切り替えて、急いで金沢駅へ向かった。駅に向かう途中の50m道路には、折れた枝がたくさん転がっていて、嫌な予感がした。予感は当たり、北陸新幹線は長野あたり?での架線事故で止まっていたらしい。やはり、強風の影響で折れた大枝が架線をふさぎ、いったん運休、その後は、大きく遅延したまま運航が再開したばかり、とのことだった。駅員に聞いても、情報が混乱していて、らちが明かないので、たまたま入線してきた「かがやき」に飛び乗った。本来なら全席指定の列車だが、車内はガラガラだった。途中での徐行などもあって、東京には6時間遅れで到着、結局、昼のお祝いの約束は、お流れとなった。

その翌日、お詫びのつもりで彼を誘い、六本木のミッドタウンにあるRカールトン東京へと出かけた。ホテルマンとして働きはじめた彼にとっては勉強になるはずだ、そんなおせっかいもあった。Rカールトンは「世界一サービスが良いホテル」として業界に知られているホテルだ。ここには感動するほどのサービスの事例がたくさんリストさてれいて、ホテルのクレド(理念、信条)と一緒に、それをスタッフに共有・浸透させているのだそうだ。本にそう書いてあり、事例がたくさん出てくる。彼にぜひ体験させたかった。

今日は、話題の「アフタヌーンティー」を45階のラウンジで楽しむことにした。午後だというのに、たくさんの予約客がいる。それほど人気のメニューだということだろう。まず12種類の茶葉サンプルが入った箱が運ばれてくる。香りを確かめ紅茶を選ぶことから、この時間がスタートする。
ティースタンド(独特の三層になった皿)に乗っているのは、下から、サンドイッチ、セイボリー(甘くない軽い一品)、そしてスイーツだ。メイン格のスイーツはきれいで華やかだ。どれもサイズが小さいから、指先でつまみ、目で楽しみながら口に運ぶ。サイズが小さいが、ひとつひとつが丁寧に作られていて、そこに小さな宇宙を感じて、妙にゆっくり味わうことになる。パクパク食べるともったいないと思ってしまう(笑)。
紅茶も同様に、ゆったり、何回もお替りできる。スタッフの間(ま)のとり方や進め方はスムーズだ。終盤には大きなワゴンでジャムを運んでくる。16種類の瓶の中から好みのジャムを選ぶのだ。そして最後に「焼きたてのスコーン」が登場し、選んだジャムやハニーバターでこれを食べる。これが抜群に旨い。彼の勉強そっちのけで僕のほうが楽しんでいた。

いいいホテルには非日常の時間が流れている。魅惑のアフタヌーンティーは、ただの食べ物ではなく、五感で味わう小さな旅と同じなんだと思う。
Rッツカールトン東京 ritzcarlton.com/jp/hotels/japan/tokyo

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