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2019年03月22日

本の時間「一番長い物語」

大好きなブラタモリが初の海外ロケで「ローマ」を扱った。コロッセオの前に立つタモリに違和感はない。彼はいつものように平常心で、温度が低くて、とてもいい。お題はベタに「ローマは一日にして成らず」だった。ローマでも地質的なアプローチになるのだろうか(笑)。冒頭の映像には、フォロロマーノの今の姿や、コロッセオやコンスタンティヌス凱旋門?、そしてアッピア街道の映像が流れていた。どんな解説なのか録画でゆっくり見ることにしよう。

僕はせっかちなので長編小説は苦手だ。登場人物を覚える気もないので、途中で必ず分からなくなる(笑)。だからどんな名作でも敬遠する。戦争と平和とか、罪と罰とか、読もうと思ったことはない。できれば映画で堪能したい。三国志や水滸伝なら横山光輝の漫画の方が、はるかに楽しいような気がする。そんな長編嫌いの僕にとって唯一の例外が、作家・塩野七生の歴史小説「ローマ人の物語」だった。文庫本では、なんと全43巻の超大作だ。もちろん、最初からそんなにたくさんあると分かっていれば、読むことはなかったはずだ(笑)。

終わってみれば、ローマの建国の言い伝えから始まり、歴代の皇帝の生涯を、ほぼ一人一人、順に丁寧に追いながら、西ローマ帝国の滅亡までを描いたもので、ローマ帝国から見た世界史の解説のような側面が強い。1冊1冊が面白くて、どんどんハマっていくシリーズだった。
最初に第1巻から第7巻が発売されたのは2002年のようだ。僕が手にしたのはこの頃だ。新聞の広告での「ハンニバル戦記」というコトバに惹かれて読み始めたと記憶している。カルタゴ将軍のハンニバルがローマ帝国を引っ掻き回す痛快な歴史ロマンだった。そして2年後の2004年には「ユリウス・カエサル」を中心とする物語になり、しばらくは毎月のように文庫本が追加発売されていった。塩野七生が「一番好きな人物」というように、カエサルの人生は実にドラマチックだ。
読み始めて、ハマっていった僕は、次の発売が楽しみになってしまった。新潮文庫の作戦にまんまと引っかかったらしい(笑)。途中で気付いたら、延べ3年かかって、すでに23巻を順に読んだことになっていた。ちょうど半分くらいだ。その後は、1年に1度、数冊が追加発売されるようなスタイルを繰り返し、結局2011年まで、足掛け10年間、この43巻の物語と付き合うことになってしまった。解説本の表現で言えば紀元前753年から西暦476年の西ローマ帝国の終焉までの物語ということになるらしい。

今風の言葉で言えば、民族や宗教、税や国家予算、インフラ整備や食糧問題、政治やガバナンスなど、遠いローマ人たち、つまり異国民を含めた多民族の、統治と共生の物語であり、男と男の戦いの物語でもある。今でもビジネス書としても秀逸の本だと思っている。気に入ったところを言い始めたらきりがない、スキピオもハンニバルも、カエサルもアウグストゥスも、ローマ史に名が残る軍人や皇帝は、いずれもが魅力的だ。お薦めしたい本なのは間違いないが、43巻全部読めと言うのも無責任な気がする(笑)。

次週のブラタモリは、ローマ後編らしい。テーマは水だというから、大規模な水路網や大浴場でも出てくるのだろうか。ローマ人にとっての大衆浴場は、日本の温泉文化や流行の温浴施設に似ていて面白い。でもNHKだからテルマエ・ロマエの「フルーツ牛乳」や「平たい顔族」は出てこないだろうなぁ。

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