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2019年06月14日

ただ食べたくて「魅惑の天丼」

天丼、カツ丼、親子丼は、かならず「うどん屋」さんの定番メニューだった。若い頃は、普通サイズの丼と、普通サイズのうどんや蕎麦を、ときどき大盛にして、定食のように食べれたのだが、今はもう無理だ。そんな食べ方をしたのは遠い昔のような気がする。丼は大盛といっても、ごはんが多くなるだけで、上に乗る天ぷらやカツが多くなるわけではないから、吉野家の「特盛」が発売されたときは、驚くとともに、一気にファンになった。特盛はごはんも牛肉も大盛だ。だから若い男子の最大のごちそうになった。
そんな吉野家の特盛は大ヒットし、世の中の丼の専門店は、一斉にマネをして、ぜいたくな丼を導入していった、という話だ。そして今日は「超特盛」という商品が発売されたらしい。シンプルだけど、そそられる。年齢とともに炭水化物を控え始めたから、丼は避けるようになった。かといって、我慢できずに、せっかく食べるのだから「並」では少しつまらない。これからは「アタマの大盛(ごはんは普通で具が大盛)」に変更しないといけないな(笑)。

身近に美味しい天丼の専門店はなかった。天丼が食べたくなると、三馬の日赤通りにある「天一屋」という蕎麦屋へ行っていた。ここは不思議に天丼が美味しかったからだ。
ある日のこと、小矢部の某アウトレットモールで、そそる店を見つけた。どうやら新しくできた天丼の専門店らしい。内装はシンプルな和モダンで、かっこいい。天井が高く、それなりに広いのだが、オープンキッチンと、そのカウンターに多くの面積を割いていて、専門店らしい風格まで感じる。いつものように、カウンター席に座って、手仕事を見ながら食べることにした。キッチンでは天ぷらをどんどん揚げているのだが、その手元が見えるわけではない。見えるのは、丼にご飯を盛っている姿だけ、しかも電子ハカリで計量する姿だけだ(笑)。働いているのは女性ばかりだ。どうやら皆んなパート従業員だ。専門店といっても職人がやっているわけではなさそうだ。

出てきた天丼に驚いた。大きく一文字に乗っているのは「あなご」の一本揚げらしい。その上に重ねるように大きな海老が2本、そして野菜や海苔だ。どれも褐色の衣が立っていて、タレに輝いている。そして手前にあるのは「玉子の天ぷら」のようだ。箸で割ると、中から玉子の黄身が流れ出して、下のご飯に広がっていく。これは旨そうだ。どんぶり料理は、行儀よく食べてはいけない。左手で丼を持ち上げ、大きく口を開けて、右手の箸を熊手のように使って、そのまま口の中に放り込む。口の中で、天ぷらとごはんとタレが一体となって完成するように、わしわし食べるのが一番うまい。
この店は、日本橋に本店がある天ぷらの専門店なのだそうだ。今どきの天丼は、工夫されていて、でもぜいたく感が残っていて、インスタ映えするビジュアルで、なかなかの出来だった。これは繁盛しそうだな。

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