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2020年05月08日

いつか旅に出よう「そんな予定の旅だった」

少し躊躇もあったがENTERキーを押した。これで今年の旅の予定を、いったん全て諦めることになった。これが最後のキャンセルの連絡だ。旅の目的や予定の決め方は、人それぞれだと思うが、「宿そのものが目的」という変わり者の僕だって、もちろん普通の人と同じように、行きたいところや、やりたいことがあって、その周辺に宿を探すこともある。いずれにしても「宿の予約」が整えば、旅が決定する。宿の予約は6か月前から可能だから、まず宿の予約が最優先だ。交通機関や細かな旅程は、ず~っと後のことで、むしろ旅の実行日の直前になることも多い。
6か月前とは書いたが、人気の宿は、予約が取れないことも多い。そんな宿は概ね客室が少ないから、と思っていたが、実際には今日の宿泊の人が、宿を出るときに「次回の予約」や「来年の予約」をしていくものらしい。さらに凄いのは年末年始などの特定の期間のことで、はっきりわかるのは有名ホテルだ。料金は倍以上に跳ね上がり、2泊以上(中には3泊以上も)でないとシステムに入れない(笑)。簡単に見れば、一般客の予約を断っているのに等しい(笑)。世の中には桁違いの旅人がたくさんいるのだろう。

今年の旅のキャンセルのひとつ目は神戸だった。二つ目が草津温泉(これはオマケだけど)、そして三つめは琵琶湖だ。実は4つ目の予定もあったが、予約するまでもなく断念してしまった。そもそも神戸は20年以上行っていない。イニエスタの雄姿が見れる間に何とかしたいと思っていたのだが、キッカケがなかった。
ある日のこと「世界一の朝食」で有名な「神戸Kホテル」のことを思い出し、酒の勢いで予約してしまった(笑)。どうやらオーベルジュのようだ。楽しみだった。そして、せっかくの神戸だからと、ステーキの名店「A皮」へ行きたくなり、妄想は一気に膨らんで、むしろA皮の神戸ビーフが旅の目的になってしまった(笑)。しかし、ワインを含めて計算した料金を前にしてビビってしまい、結局諦めた(笑)。ならば、あそこへ、ここへと計画を進めたのだが、極上ステーキ断念のダメージが響いて、テンションが下がったまま、旅程自体を止めることにした。珍しいがこんなこともある。イニエスタ、ごめん、またね。

二つ目の草津温泉の日程は、軽井沢大会の翌日だった。大会の「おまけ」のような旅だ。同窓会は中止したものの諦めきれずに連絡を先送りしていた。興味があったのは宿ではなく「温泉街」そのものの方だ。いったん閑古鳥が鳴いた古い温泉地が見事に再生し、今では若い女性に人気の温泉地に変貌した。だから興味がわき、ぜひ訪れてみたかった。草津周辺で探し、ようやく見つけたのが老舗の旅館「Tつじ亭」で、そのしつらえや対応が古風で興味を持った。送られてきた手書きの案内状にも心惹かれた。結局、キャンセルの連絡は電話にした。明るい会話につとめる女将?さんで「お体を大切に、また別の機会にお越しください」と、対話の見本のような対応をしてくれた。
三つめは琵琶湖だ。目的地は宿ではない。琵琶湖大橋の近くの「美術館」だった。その中に秀吉・利休の時代から続く「楽焼」の展示館がある。楽焼は、ろくろを使わず、へらで削り上げる独特の技法で、楽家の代々の当主「楽吉左衛門」によって、450年間にわたり一子相伝で守られてきたのだそうだ。先代・15代直入(じきにゅう)の連載記事を読むにつけ、彼の人となりや芸術への姿勢に強く揺さぶられたのがきっかけだ。彼の作品には、宿命や人生へのもがきや叫びが、凄みになって観るものを引き付ける。この15代楽吉左衛門(直入)の作品がどうしても観たくなった。
代々の作品は京都の楽美術館の方がよさそうだが、琵琶湖のここは、15代自ら企画監修したもので、2000年以降の新しい作品中心のようだ。たまたま近くで見つけた宿は、マリーナを併設するリゾートタイプのホテルで、同時に興味をいだいたのは間違いない。美術館は、いまどこも閉鎖が当たり前になった。今日は見れる展示も、この先は分からない。久しぶりに琵琶湖の周囲を走ろうとしたドライブ旅だったが、これも断念するしかなかった。

それは、いつのことになるのか全く分からないが、いつかまた、旅に出よう、と思っている。いままで日常的に出来ていたことが、止まってしまったときから、僕にとっての旅は、残りの人生の糧なんだと考えるようになった。草津温泉はわからないが、神戸も琵琶湖の展示館も、諦めたわけじゃない。行きたい土地や、訪れたい場所はたくさんある。こんな年齢になって「やる気満々」になっている(笑)。一期一会という言葉を、もっともっと大事に使おう。

●神戸Kホテル kobe-kitanohotel.co.jp 
●A皮 aragawa.jp 
●草津温泉Tつじ亭 tsutsujitei.co.jp 
●楽吉左衛門館(佐川美術館) sagawa-artmuseum.or.jp 
●Sトレマリーナ hotelsetre.com/biwako

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