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2026年08月14日

本の時間「きっと真心の風が吹いたんだね」

ある女性の実話から生まれた小説
今回の小説は「ラム」にまつわるお話だ。ラムとはいってもラム肉(子羊)ではなく、ラム酒のほうだ。しかも製造しているのは南大東島、つまり純国産のラム酒だ。
南大東島は沖縄県らしいのだが、那覇から東へ360kmも離れているから地図で見ると、こんなところにポツンとあるんだぁ、ここも沖縄なのかぁ、と驚いてしまう。

この小説を読みながら、このオヤジ(僕)は、たくさん笑って何度も泣いていた笑。とても清々しい物語で心が洗われた気がする。だから登場するラムを飲んでみたくて、すぐにアグリコール・ラムを探した。もちろんグレイスラム・コルコルも探した。まぁ飲みたいというより、応援したくなってしまったのだ。
主人公は、契約社員の伊波まじむ。沖縄で祖母、母と3人で暮らすごく普通の女の子で、とても元気で前向きなキャラクターかな。社内ベンチャーコンクール応募をきっかけに、彼女が見つけた自分の夢を、新規事業として立ち上げていく物語だ。実在する女性社長の体験談(実話)をモデルにした小説らしい。
小説には、彼女に巻き込まれながら、でも支えてくれる人たちがたくさん登場する。特に「おばあ」は特別な存在だ。だからこれは、そんな「おばあ」と「まじむ」の絆の話でもある。二人のシーンにはいつもグッとくる笑。ちなみに「まじむ」という名前はおばあがつけたもので「真心」のことらしい。
南大東島にはいつも強い風が吹いている。ある日、何のツテもアポもないまま、まじむが島の飛行場に降り立ち、そこに吹く風を感じるところから物語が始まる。

僕が本作の存在を知ったのは何年か前のことだ。たまたま同級生と交わした沖縄のお酒(幻の泡盛)の話題がきっかけだった。すでに本作を読んでいた彼女(同級生)が、この「沖縄のラム酒」のことを教えてくれた。まぁ、実在するお酒の話だからかな?興味を持ったから、よく覚えている。
昨年、この作品が映画化されたタイミングで原作小説が店頭に並んだ。見つけた僕は、あぁそういえばこの本があれだ~、と思い出して読んでみたくなったのだ。
読み終えてすぐに、このラム酒(モデルになったグレイスラム社のコルコル)が公式サイトで販売されていることを知った。もちろんアクセスしたのだが、ほとんどの製品はすでに「SOLD OUT」になっていた。どうやら映画化された影響らしい。
僕にとっては残念だが、映画によって多くの人々が応援したのだから、喜ばしい状態なんだと思う。本を読んだ人や映画を観た人に、きっと真心(まじむ)の風が伝わったんだと思う。

さて、本作のことはこれ以上詳しく書けないから、ハナシは脱線する。まぁ僕の悪い癖だが、お酒の話題は大好物だ笑。
たまたま本作もそうだったが、お酒にはたくさんの物語が隠れている。世界中にたくさんの酒が存在していて、しかもひとつひとつに生産者がいる。酒は農産物から生まれるから、その土地の様々な恵みや歴史風土が凝縮された結晶のようなものなのだ。そして大事なのは、ひとつひとつに「人間の物語」が隠れていることだ。
あるとき、そんな「お酒にまつわる物語」に出会うことがある。概ねソムリエとかバーマンとか、酒の専門家たちが教えてくれるショートストーリーだ。だからワインであれ、カクテルやウイスキーであれ、グラスの中にそんな物語を詰め込んで味わうひとときは、あんがい豊かな時間でもある。

ある晩のこと、僕と弟はスコッチの飲み比べをしていた。3種類のそれは阪急うめだ本店で開催された「英国フェア」で弟が調達したもので、つまり僕たちにとっては「一点もの」ばかりだった。
簡単に言えば、スコッチ(スコットランドのウイスキー)は代表的な産地(5つの地域)ごとに特徴が異なる。さらに作り手(蒸留所)ごとに個性や作り方があるから、うんちくや語りたいストーリーが、それぞれに存在する。蒸留所のことはもちろん、使うカスク(寝かすの樽)のこととか、熟成年数とか・・・、興味のない人にとっては暗号のような言葉がたくさん出てくる笑。
ちなみに今回の3本のサワリだけ書いておくと、1本は、なんとグレーンウイスキーの32年熟成。もう1本はノンピート?の15年。ピート=スモーキーだから、あの独特の香りがないってこと?。最後の1本は、すでに現存しない「幻の蒸留所」の18年。つまり二度と生産されないスコッチ。まぁそんな、飲んだことのないやつ3本だった。
くだんの小説を読んだばかりだから、スコットランドの海岸に吹き付ける強風とか、製造責任者の英国人オジサンのシワだらけの顔や掌とか、蔵で眠り続ける樽の姿などを妄想してしまった笑。まじむが南大東島で出会ったシーンを思い出したのかもしれない。
いつになるか分からないが、やっぱりコルコルのグリーンラベル(アグリコール)をロックで飲んでみたいな。
モデルになったグレイスラム社 https://rum.co.jp/

・・・・・(以下は後日談だ)・・・・・
本作を読んでから半年後(この原稿を書いてから4か月後)のことだ。ときどき通う大手酒販店(ラムの品揃えも豊富)で、いつものようにアグリコール・ラムを探していた。これまではず~っと空振りばかりだった。
そしたらなんと本作のモデルになったグレイスラム社のアグリコールラム(コルコルのグリーンラベル)を見つけた。1本しかないから、もちろん速攻で買った(ラムなのにちょっと驚く値段だけど)笑。
アグリコールラムというのは(専門的な講釈を省くと)サトウキビを直接絞った100%ジュースから作った純粋な(お金と手間がかかる)ラムのことだ。本作では、主人公まじむが最後まで諦めずに追求した本物のラムとして登場している。

その晩、さっそく飲んでみた。飲み方はおばあと同じようにロックだ。さて、その味の方だけど・・・(うまく言えないが)まろやかだけど、ずぶとくて、みんなに愛される味という感じだ。つまり「まじむみたいな味」ってことかな笑。

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