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2023年03月03日

神戸は千変万化の美食の街だった

神戸企画の情報第2回
急なお願いにもかかわらず、神戸企画への参加申込は順調に進んでいる。この原稿を書いている時点ではすでに15人の申し込みをもらった(パチパチ)。みんなありがとう。
今回の企画の言い出しっぺの僕は、この2月に神戸を歩いてきた。まぁ下見の旅というやつだ。あちこち歩きながら当日のことをイメージしていた。今回は、そんな僕の体験談の一部を書こうと思う。まずはグルメ編みたいなことかな。
ハナシは飛ぶが、A面2022の当日アンケートの集計結果では、興味あるB面企画として「グルメ企画」が今回も上位に食い込んでいる。同級生はみんな、それぞれの人生を重ねて、美味しいものには目がない年齢になったのだろうと思う。そんなみんなは「神戸の食」と聞いて、どんなイメージが浮かぶのだろうか。やっぱり本場の中華とか神戸ビーフなのかなぁ笑。
この企画に際して、関西27期の仲間から「こんな店がおすすめだよ」と、たくさんの飲食店を教えてもらった。僕が実際に訪ねたのは、そのうちの数店なのだが、どの店にも「大人の神戸」が詰まっていた。ちょっと長くなるが読んでほしい。今回書くのは、僕が訪ねた店のことばかりだが、神戸の達人たちからもらった情報は、後日別途に「全店リスト」にして掲載する予定だから、それが保存版になる。安心しててね。

神戸には「ハイカラ文化」があるのだという。維新後の神戸港開港をきっかけに、外国人居留地が誕生し、西洋の文化(衣食住)が一気に流入したのだそうだ。それをいち早く取り入れて独特の文化が形成されたのだろうと思う。食の文化で言えば、様々な洋食や中華も、紅茶や珈琲や洋菓子も、おそらく洋酒や牛肉も、外国人経由で神戸の人たちに浸透していったんだろうと思う。ちなみに北野エリアにはそんな衣食住文化が大事に保存され、今も「ハイカラ文化」を発信している。
一方で、三宮の駅には、昭和の匂いを残したままの古い商店街などがあって、当時の市民の生活エネルギーを、今も感じるようなレトロな場所もある。高架下には独特の食文化が根付いているのだ。だからとても面白い。まぁ結論からすれば、神戸は美味しいものの宝庫だし、雑多で特徴的な庶民グルメ(いわゆるB級グルメってやつ)がそのまま残っていて、それがいろいろな表情を見せてくれた。神戸の食は、千変万化なのだ。

神戸の喫茶店には物語がある
みんなへおすすめする基本ルート(推奨ルート)は、北野坂を中心にした、いわゆる北野エリアの散策だ(後日、詳しく紹介する)。その日、いわゆる異人館の方から坂道(階段もある)を降りてきた僕は、おすすめされた一軒の喫茶店を目指して北野坂を歩いた。
広い道の両サイドには瀟洒(しょうしゃ)な建物が並んでいて、様々なジャンルのお店が軒を連ねていた。もちろんレストランやカフェも多い。実はその両サイドの小路を入ると、もっとたくさんのカフェやレストランががあるらしい。裏道も楽しそうなのが嬉しい。
おすすめの「北野坂にしむら珈琲店」は、すぐに見つかった。ツタのからまるレンガ造りの洋館だった。どうやら北野坂のランドマーク的な店らしい。歩道から小さな門扉を抜けると緑に囲まれた前庭がつづき、そこに小さなドアがある。中は誰かの邸宅だったような雰囲気で、一気にタイムスリップする。
にしむら珈琲店というのは、この三宮周辺だけで4軒?ほどあるのだが、ここはその中でも「特別なにしむら珈琲」なのだそうだ。創業者の理念が詰まっていて、以前は「会員制の喫茶店」だったのだが、震災を機に一般に開放したらしい。内装や調度品、その棚の中の小物まで、すべて本物のアンティークで、いわばこれが「本物の神戸です」と紹介しているような気がする。珈琲1杯でハイカラ文化の一端を満喫できる喫茶店だった。ぜひ訪ねてほしい。
ちなみに2階はレストランになっていて、素晴らしい内装や調度品に囲まれて、本物の神戸洋食(フレンチベース)を食べれるらしい。並ぶメニューは美しくて旨そうだ。そそるなぁ。「北野坂にしむら珈琲店」で検索。公式HPがおすすめ。
●北野坂にしむら珈琲店(タップして右へ)

神戸のイタリアンは最強だ
この日、僕は2軒のレストランで「神戸イタリアン」を楽しんだ。仲間のおすすめの中から選んだのだが、どちらも人気の繁盛店だった。下調べすると、どうやら2店ともに「隠れ家イタリアン」らしいのだが、立地も料理も正反対のように思えた。だからへそ曲がりな僕は面白がって、昼も夜もイタリアンにしたのだ笑。
1軒は「イルカピターノ ニシオカ」、もう1軒は「炭火ステーキとワイン obiobi」という。まぁ長いので、以下では「ニシオカ」と「オビオビ」と書くことにする。
三宮に着いた僕は、ホテルに荷物を預け、その足で「ニシオカ」を探した。食べログによれば「JRなら西口から歩いてすぐそばのガード下の2階だったかな?」と書いてある。ホントに「かな?」と書いてあるのだ笑。ガード下なのに2階?というのにも驚いていた。
少し回り道をしたが、阪急の高架下の路地でニシオカの小さな看板を見つけた。たしかに階段で2階へ上がるのだ。高架下なのにビルがあった笑。でも今度は、それらしい店が見つからない。そしてようやく地味なスナック風のドアに小さな店名ロゴを見つた。確かに隠れ家だが、ちと意味が違うように思うけどなぁ笑。
これは失敗か?と一瞬思ったのだが、中の喧騒が本物だと教えてくれた。独特なレイアウトのカジュアルイタリアンで女性客ばかりだ。高架下特有のアール状のレンガ壁のこのイタリアンは、料理も、きびきびしたサービスも心地よかった。白魚をふわりと軽いフリットにして、オイルパスタに仕上げた逸品に、うんうんと唸っていた。ドルチェのプリン(もしかするとカタラーナ)も旨かった。天井から時々、ガタゴトと電車の音が聞こえるのも、いいアクセントだった笑。夜なら好きに頼んでワインなんだけどなぁ。
「イルカピターノ ニシオカ」または「ニシオカ イタリアン 三宮」で検索。公式HPではなく食べログの方がおすすめ。ちなみにカピターノは船のキャプテンの意みたいだ。
●阪急高架下の2階のニシオカ(タップして右へ)

一方の「オビオビ」は、いわゆる夜の繁華街の一角にあった。ニシオカ探しに凝りて、陽のあるうちに見つけておいて正解だった。看板もないし、入り口を路地風に曲げてあるので、店があるようには見えない外観だ。夜だったら見落としてしまう笑。
エントランスから入り、ガラス張りのドアを抜けると、ややアンバーな照明のおしゃれな内装だった。玄関近くのアイスボウルにライトが落ちていて、何本かのスパークリングワインが冷やされている。右手のオープンキッチンにはシェフたちがずらりと並び、目のまえの専用グリルで好みの肉をローストする。これはいい感じの店だ、と直感した。
前菜(冷前菜と温前菜)から順に、メインの肉、仕上げのパスタなどと選んでいくのだが、それを見事にコースに仕立てて出してくれる。二人連れの僕たちには、料理一品をシェアしてくれるから、あれこれ豊富に楽しむことができる。雰囲気や、そんな仕組みは今風のビストロなのだが、料理はイタリアンがベースになっていてとても楽しい。いちばん嬉しかったのはワインだ。こんなムードだからボトルばかりだろうと思ったら、グラスワインが驚くほど豊富だった。しかも頼むと、一品ごとに見事なペアリングでグラスワインを添えてくれる。料理はどれも旨いし、いったい何杯飲んだのかなぁ笑。
紹介されて、金沢から来たんだ(ホントは松任だけど)という僕たちに、シェフが気さくに声を掛けてくれた。オビオビの「オビ」は、創業時に大事にしていたビオワインの「ビオ」にちなんだもので、オビは「帯」つまり「人と人をつなぐ帯」というメッセージが込められているらしい。ここは大人が心地よく寛げて、楽しい時間が過ごせる、そんな誰にも教えたくないレストランなのかもしれない。「オビオビ 三宮」で検索。公式HPがおすすめ。
●一発でファンになったオビオビの画像(タップして右へ)

神戸ジャズを楽しむ2次会
オビオビでの美味しい食事のあと、5分ほど歩いて再び北野坂へ戻ってきた。夜は歩道の木々がライトアップされていて、昼とは違って静かな時間が流れている。
この日の夜の2次会に選んだのは、北野坂にあるジャズライブ&レストラン「ソネ」という店だった。いわゆるジャズバーなのだが、ちゃんと料理も楽しめるレストラン、ということだと思う。僕たちは19:50開始の2回目のステージ(毎晩3回のステージがある)を楽しんだ。
神戸は日本のジャズの発祥地を自認していて「ジャズの街神戸」を掲げて「2023年に神戸ジャズ100周年を迎える」と、盛り上がっているようだ。この店「ソネ」は創業50年を超えた老舗の神戸jazzスポットらしい。外観にはこれぞジャズの老舗、と思わせる存在感がある。エントランスには様々なジャズ情報があったり、本日のアーティスト名が書いてある。扉を開けると店内は木製の暖かい内装で、右手にウエイティングバーが、そしてちゃんとしたダイニングテーブルが配置され、正面のステージを囲むように、小さなテーブルがたくさん配置されている。
食事をチキンと楽しむシニア客、ドリンクを片手にステージの熱気を楽しむ老若のカップルたちが、それぞれ自分のジャズナイトを楽しんでいた。ステージの3人はおそらく僕たちと同世代で、それに40代くらいの女性ボーカルが加わる夜だった。僕は、神戸発祥の「コウベハイボール」をゆっくり飲んでいたのだが、その後の記憶にあまり自信がない笑。この晩、僕はついつい痛飲してしまったのだ。神戸の夜の不思議が、どこまでも大人の遊び心をくすぐるからだと思う。この店のことは「ソネ 三宮」で検索。公式HPがおすすめ。
●ソネで神戸の大人時間に浸る(タップして右へ)

今回のグルメ体験記はここまで。次回は、2日目の食事スポットのことや、「昭和香る神戸グルメ」と題して、神戸の違う横顔を紹介する予定だ。お楽しみに。
最後にひとつ留意点がある。この公式サイトでは、店名や人名の表記は〇〇とかアルファベット文字で、正式名称の一部を隠すのがお決まりだ。今回は神戸旅の紹介を兼ねているので、実名をそのまま表記している。一種の例外対応なので、何週間か後には、いつものように「北野坂〇しむら珈琲店」とか「Nシオカ」のような表記に変更することになる。それは以降の紹介記事も同じ。使う写真になるべく店名入りの画像を入れるので、そっちを見て思い出してね。気になる店があったらメモとかスクショとかで保存するのもいいかな。

神戸企画の概要
●タイトルは大人の修学旅行「神戸編」
●日程は、2023年5月13日(土)~14日(日)
●現地集合、現地解散、ホテルも電車も参加者個人で
●推奨ルートやおすすめスポットを多彩に提案
●それぞれ自由に楽しんで夜だけ全員集合
●集合場所は、夜の1次会会場のみ(後日詳細)

●詳しい情報は、以降も公式サイト「食う見る遊ぶ」で継続

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