おっさんドライブ in永平寺町(後編)
(ここから後編)
ようやく約束が果たせた
永平寺から降りてきて橋を渡り、右手の九頭竜川に沿って勝山方向へと走る。目に映るのは素朴な景色ばかりだ。その左手の低い丘の上に複合施設「えしこと」が見えてくる。その外観は洗練された佇まいだから見逃すことはない笑。
黒龍が手掛けるスパークリング日本酒の醸造や発酵のための貯蔵熟成施設であり、同時にファンのためのゲストハウスのような施設だ。ここでしか出会えない酒のテイスティングが、今日の目的だった。
黒龍酒造が作った施設だが、古臭い酒蔵のようなものではなく、素敵なレストランでのランチやカフェタイムも楽しめる。だから日本酒に縁のない人だって十分遊べるスポットだ。今は物販とレストランだけだが、左手の敷地では別の施設の工事も行われていた。ホテル?オーベルジュ?などという構想も耳にしたことがある。
ここは黒龍当主の長年の夢の舞台らしい。世界的なワインの名産地では、ワインだけでなく風土や食文化を目的に世界中の人が旅に訪れる。そんなイメージなのかもしれない。いずれにしても、今後は新しい施設も順に増えて、福井を代表する大人旅の目的地になっていくのだと思う。
一緒に行こうぜ、そう彼と約束したのはずいぶん前なのだが、なかなか果たせなかった。ホントは僕だって酒を口にしたいが、今日のハンドルキーパーは僕だ。仕方なくテイスティングは彼に譲ったのだが、旨そうに飲んでるこいつの顔が、ちと憎たらしく見えたりする笑。
ちなみにテイスティングの3種は、本日の5種類から選ぶのだが、どれもここでしか買えないやつばかりだ。今回はいわゆるAWA酒(スパークリング)が2種類楽しめた。うらやましい、いや、うらめしい。
●えしことのアルバム9枚(タップして右へ)
おっさんへのキラーワード
おっさんは、やっぱり「ここでしか買えない」というフレーズに弱い。僕も彼も、1本選んで買ってしまった。結構な値段のやつだからパッケージもかっこいい。自宅での奥さんの顔が思い浮かぶのは、2人共通かな。これっていくらなの?と質問されたら、どう答えようかな笑。
帰路は、なんとなく山越えを選んだ。時間は倍くらいかかるが山中温泉を通るルートだ。渋滞必須の北陸道を嫌ったのもあるのだが、車中の会話がけっこう楽しかったから、ゆっくり帰ろうと思った。話題は「とっておきの酒」を飲むタイミングの妄想や、大昔に仲間たちと行った信州の話だったり、次の遊びのハナシになる。
途中の立ち寄りスポットは浮かぶのだが、なかなか止まれない。もう歩けないからだ笑。永平寺あたりで足腰のパワーは使い切ったし、おしゃべりってやつは以外に体力を使ってしまうのかもしれない。
結局、トイレ休憩がわりに寄ったのは、片山津の一軒の老舗カフェだった。ここも、うん年ぶりの訪問だった。相変わらず利用客は若い女性たちだ。
アイデア満載の楽しいメニューを見ていて、おっさん2人は「ソフトクリーム」のページに目が止まった。ざっと20種類くらいがページに並んでいる。読んでも意味の分からないメニューも多くて、スタッフに尋ねると「これが一番人気です」と指さすやつがある。
きっと彼女は、おっさんが「一番人気」というフレーズに弱いことを知っているのだ笑。それはその通りで、僕は素直にそれを注文した。まぁ「一番人気」というのも面倒臭いおっさんへのキラーワードだ。
倒れやすいので気を付けてください、と出てきたのは、まるでパフェのようなソフトクリームだった。形は普通のソフトクリームなのだが、その表面を、栗とクリームでドレスした迫力あるやつだった。まぁ確かに、すぐ倒れそうだ笑。
女子ウケするようなソフトクリームを、せっせとパクつくおっさんの姿は想像したくないかもしれないが、疲れたカラダに染みる甘さだったのは間違いない。
次のB面どうするかなぁ、最後はそんな真面目な話をしていたのだが、残った写真は「1番人気」のそれ一枚だった。