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2021年08月13日

Z団のオッサンドライブ「海へ」

スポーツウイークの編集後記に替えて
スポーツの記憶を聴こうとしたSNS企画は盛り上がりに欠けたまま終了した(笑)。まぁ参加者数は少なかった。明らかに言い出しっぺ2人の手数の不足が原因だ。また反省会だな。
とはいえ、前々日の公式LINEには「山楽会」メンバーの横顔が載って楽しかった。前の週にはチェリー杯の動画もあったし、そんな同級生の元気な横顔に触れるとホッとする。
そんな結果だから、企画の編集後記が書けるはずもないので、替わりに先日のZ団のドライブのことを書くことにした。同級生が集まれば何でもB面企画だ。まぁ野球で言えばピンチヒッターみたいなものかな(笑)。

このおっさん3人が揃うのは久しぶりだった。互いの呼び名は苗字だが、あえて子供っぽく呼ぶなら、ヨシヒコちゃん、しんちゃん、それに僕の3人だ。どうでもいいが、勇者ヨシヒコとは関係ないし、クレヨンしんちゃんとも違う。でも、そのキャラクターとの共通点を重ねたりして、僕は一人ほくそ笑んでいた。密かに、今日だけ「勇者」と「クレヨン」と呼ぶことにしようか、そう勝手に決めていた。まぁ、Z団の旅は、いつもこんな感じだ。
8月7日、どうしてもこの日に海に行きたくて仲間を募った。8月7日は僕たちにとっては因縁のある日だからだ。急な話だったから、行けるのがこの3人だけだった。目的はともかく、海で仲間と一緒に写真を撮りたい。能登の海には仲間との思い出がいっぱいあった。
まずは、そんな「海へのドライブ」についてのアイデア交換を始めた。計画し始めると、妙にテンションが高くなって、ちょっとした悪ふざけばかりが頭に浮かぶ。ワクチンは済んだとはいえ大人として自重しなきゃぁ、などとブレーキをかけたりもした。結局、浮かれて立てた計画はご破算にして当日を迎えた。計画通りなのは「クレヨン」がBGMに選んだ古い曲ばかりのCDアルバム、そして1枚の古い写真と、この日のために買った白えびビーバーだ。

テンションが高くなったのは僕だけではなかったようだ。集合時刻の1時間半ほど前にクレヨンからの電話が鳴った。いわく「実はもう家の前にいるんだ」(笑)、あわてて玄関を開け、彼を迎えた。クレヨンは、朝5時頃に起きて散歩する毎日らしい。連絡したところ「勇者」も準備OKということで、早起きの老人Z団の3人は、予定より1時間以上も早く北陸道に乗って「氷見」へ向かった。天気もいいし車も少ない。何か所か「海」に立ち寄るオッサンドライブの始まりだ。
この日の最初の海は「氷見の港」を選んだ。しかも港の全景を眼下に見下ろす山の上だ。ワイン好きな3人だからと、セイズファーム(ワイナリー)を目指したのだった。たまたまリリースしたばかりの「アルバリーニョ」をゲットできてラッキーだった。スペイン生まれのこのブドウ品種は、魚介料理に合うことで有名だから、氷見のワイナリーの代名詞に育っていくのかもしれない。勇者はさかんにアルバリーニョの畑を撮影していた。もちろんブドウ棚を見ても違いが分かるわけではない。
森の中のオープンデッキは気持ちよさそうだからと、そこで乾いた喉を潤すことにした。ドライバーの僕は林檎ジュースを、勇者とクレヨンは「悪いなぁ」といいながら、でも笑ってシャルドネ?あたりの白ワインを注文していた。こいつらは、今日1日、ハンドルを握る気がないらしい(笑)。
●スライドアルバム×6枚

山から下りて、氷見港に隣接する広大な海浜公園(比美乃江公園というらしい)へ向かった。二つ目の海だ。ひみ番屋街という道の駅に隣接していて、季節が合えば、港の向こう側に雄大な立山連峰が見える場所だ。海の風が気持ちいい。近くの寿司屋で軽くつまんで、今度は、あえて海岸沿いの160号線を走って、和倉温泉に向かうことにした。海岸と漁港と狭い道路の光景は、何やらとても懐かしい。景色のいいところをみつけたら、そこで写真を撮ろう。
県境あたりの右手の海に小さな岩場を見つけた。まるでサザンの「えぼし岩」のように見える。さっきまでの明るい空が、雨雲で急に影ってきた。その方向の入道雲が妙にきれいに観えて、撮影隊長の勇者は急に空の撮影を始めていた。これが3番目の海だった。そして雨になり、山越えで七尾に入るころには結構強く降ってしまった。でも悪運が強い僕たちが和倉の「能登ミルク」に着くころには、雨は止み、和倉の海にはさざ波が立っていた。
●スライドアルバム×6枚

この日の最後の海は千里浜と決めていた。天候が怪しいこともあって、能登島一周は取りやめて、千里浜へ向かうことにした。最後はカッコよく、なぎさドライブウエイを風を切って走ろう。
ところが、オッサンたちのささやかな夢は叶わない。千里浜ICから今浜ICの間は通行止めの規制中で、渚のドライブは断念するしかなかった。走れる距離は反対側の500m位だろうか、なので波打ち際にクルマを停めて最後の撮影をした。
間違いなく、ここには仲間たちの思い出がある。とはいえ、思い出ってやつは、少しだけ意地悪で、なぜかいつも「一人称」だ。3人だから3人分の別の思い出になる。仲間が全員揃えば、全員分の思い出になるのだろう。
三脚を砂にうずめて、最後の1枚を撮影した。写真の中には歳を食ったオッサンたちと、古い写真と白えびビーバーが映っているだけなのだが、遠いあの日のことを思い出して、心だけは青春時代だった。オッサンたちの海は、やっぱり感傷的な場所なのだ。

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