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2023年04月21日

4月8日は〇〇の日(後編)

(ここから後編)
仲間たちとの去年の花見は福井だった。そして、来年もやろうぜ、の約束通り、今年も同じメンバーで富山に行こう、そう決めることにした。仲間にとっては「あうんの呼吸」みたいなやつだから、日程だけのことだ。早く決めて知らせることにしている。
とはいえ「土曜日の」「昼の部も」「夜の部も」という条件設定は、あんがい大変なことで、もはや仲間全員が揃うなどということはない。仕方ないがみんなにはそれぞれの事情がある。そもそも事情を後回しにするほど、大事な行事でもない。ただひたすら遊ぶだけなのだ笑。
目的は花見なのだが、わずか23分の移動に新幹線を使い、わざわざ路面電車に乗って海へ行き、昼も夜も酒を飲む、ということを今回のカタチにした。顔ぶれが変われば、美術館やグルメや「何か」を入れようと思っていたが、今回は「お酒で遊ぶ顔ぶれ」だったからだ。
日程はやっぱり「桜の開花予想」を意識する笑。今年の候補日(土曜日)は4/1または4/8のふたつだった。当初は4/1なら桜の咲き始め、4/8なら見頃、くらいの予報だったから、4/8と決めた。4/8は仲間の某の誕生日だから、ちょうどいいかも、そんな感じだ。ところが開花も満開も、その時期は一気に早まったのはご存じの通りだ笑。ベテラン幹事としては日程で失敗したことになるのだが、まぁこれも仕方ない。

夜の部の会場は、武蔵ヶ辻交差点近くのイタリアンにした。ここでの夜の部に合流する一人は、先に着いていて「おぅ」と手を挙げ、笑顔で僕たちを迎えた。すでに富山のアルコールがしみ込んだ僕たちのテンションは高くて、昼の部の楽しさを矢継ぎ早に彼に話しかける。まぁ出来上がったおっさんたちは一方的にしゃべるから面倒臭いのだ笑。
乾杯はビールだ。テーブルに運ばれた6種類のイタリアビールから、それぞれ1本選んで乾杯だ。誕生日おめでとう、と声を揃えたかどうか、もはや記憶にはないのだが、同時に僕はまた失敗に気づいた。事前にバースデープレートでも用意してもらおうと予定していたのに、店への電話を忘れたのだ笑。
まぁ、相手は悪友のおっさんだ、素敵な女性ならともかく、忘れたものは仕方ない、まぁいいだろう・・・笑。ひと足先に67歳だなぁ、などとありきたりの声を掛け、笑顔でごまかすことにした。ところがここで堰を切ったように、彼の口から「誕生日」というワードが連射されることになる。もちろん僕は無駄に反応せず、矛先を変えるように率先して「旨い料理」を選ぶことにした笑。さぁみんな、今日は飲んで食べよう。
そうなのだ、タイトルの「4月8日は〇〇の日」とは、そもそも、このおっさんの誕生日の顛末のことなのだ。

この一軒家イタリアンは僕のお気に入りで、料理もワインも本格的だ。以前にも書いたことがあるから、詳細は割愛するが、いずれ仲間たちと一緒に楽しみたいと思っていたから、ようやくそれが果たせた。
気に入っている理由のひとつに、ここのママの存在がある。いっけんぶっきらぼうに見えるのだが、会話はウイットに富んでいて、シャープでテンポがいい。そんな彼女との(料理やワインの)やり取りも楽しいが、その雑談がとても面白いのだ。彼女は、僕たちの「誕生日の連射」に反応してくれた。どうやら31年生まれで(学年は違うが)同じ年齢なのだと明かしてくれた。もちろん、おっさんたちは見逃さない、ボケやツッコミのどうでもいい会話で、どんどんテーブルが盛り上がった。
ひとしきり飲んで食べて、最後のドルチェ代わりに再びワインやビールで締めることにした。そんなとき、目の前を「花火が点いたデザート」が通った。隣の若いカップルの誕生日祝いのようだ。悪友の某(誕生日の某)の目線はそれに釘付けだ笑。
けっきょく、ここへきて僕はママに「何かできない?」と頼んでみることにした。少し考えた彼女がテーブルに運んでくれたのは、小さなショットグラスに並んだ4色の食後酒だった。最後の乾杯なのだが、こいつが強烈だった。味はリモンチェッロに似ているが、アルコールの度数が半端ない。花火は点いていないが、口の中(というか喉だな)に、火がついたような感じだった笑。これは記憶に残る1杯になる、ごちそうさまでした。
●夜の部のアルバム10枚(タップして右へ)

おっさんたちの花見の長い1日はこれでお開きだ。駅へ向かう道すがら、誕生日の某が話し始めた。4月8日の自分の誕生日が近づくと(3月末から4月にかけての)色んな記憶がよみがえる。今日は来れなかった仲間の一人の誕生日や、ほかの友人たちの誕生日もある。そして、仲間の一人の命日も、やはりそこある。だからお祝いで、はしゃぐ半面、思い出すと涙がこぼれるようだ。こいつはそんな男なのだ。
「じゃぁ、またな」「おぅ、またな」、ひとり、また一人と仲間と別れ、最後に残った僕と誕生日の某は、これまた「あうんの呼吸」で駅裏のホテルのバーへ向かうことにした。そして、二人でいろんなことに乾杯することにした笑。まぁここに、しんみりした話を書きたい訳じゃない。あくまで66歳(ああ一人は67歳だな)の酔っぱらいの話だ。
さて、いつものことだが、その晩や翌朝に、仲間同士でLINEを交換する。楽しかったなぁとか、またな、ということもあるが、必ず「昨日は大丈夫やった?」というコメントになる笑。つまり、無事に自宅に帰ったのか?とか、二日酔いはどう?とか、そんなことだ。こんな年齢だし、みんなそれぞれ「やらかした過去」があるからだ、これが悲しい現実なのだ笑。
ちなみに翌朝になって、誕生日の某からLINEが入った。昨日の最後のタクシーの会社名の確認だった。そうなのだ、彼はどうやらカバンをどこかに置き忘れたらしい、やっぱりなぁ笑。4月8日は、そんな悪友某の誕生日なのだが、今年の僕にとってのこの日は、いろんな喜怒哀楽を一度に味わう1日で、きっと心に残る1日になった。

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