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2026年03月06日

ちょっと恥ずかしくて何かと躊躇する本

本の時間「名画の謎・ギリシャ神話編」
読んだ前作(フェルメールほか)が面白くて、この作家さん(N野京子さん)の文庫本を探した。中世の絵画を独特の視点で読み解いて、とても愉快に解説してくれる作家さんだと思う。さっそく手にしたのは彼女の「名画の謎シリーズ4編」の1冊目だ。
このギリシャ神話編から続くシリーズは、旧約新約聖書編、陰謀の歴史編、対決編と続くようだ。たぶん順番に読んでいくことになると思う。

彼女が凄いのは、解説の前提となる深い知識や見識だ。描いた画家たちもそうだが当時のヨーロッパの歴史や事情、それに影響を与えた古代ギリシャや古代ローマの宗教観や思想哲学まで、深く面白く教えてくれる。
遠い古代から語り継がれてきたギリシャ神話は、人々の基礎教養であり、ローマ期やルネサンス期を経て、思想や芸術の根源になっていったのだそうだ。
ちなみに後世の僕たちは「画家」と呼んでいるが、歴史的にみれば一部の例外を除いて、彼らは「職人」だったことになるようだ。ようするに彼らの作品は依頼主(王侯貴族や富裕階級)の注文によって制作されたものということだだ。
つまり現代のように「芸術品を鑑賞する」ということではなく、あくまで当時の依頼主たちの「娯楽のための絵画」だと思って楽しむのがいいらしい。なるほど~。

ところで、僕はギリシャ神話のことはほとんど知らない。オリュンポス12神とか神々の系譜とか、知ればなかなか面白い。そういえば星座も神々や英雄の物語に由来するわけだから、関係も深いんだね。
今回のテーマは、ギリシャ神話の「ある場面」をテーマに描かれたものばかりだから、それを読み解くために、作者は、その場面が出てくる神話の解説をすることになる。これがとても楽しい。
例えば、好色のゼウスにあきれかえるし、女神たちのやることは滅茶苦茶で、実はホントに怖い話でもある笑。この作者さんは女性独特の目線で解説するから、読者にとっては「思わず笑ってしまうギリシャ神話」になっていく。

ちなみに、この本で解説される絵画は全てカラー写真だ。テーマがギリシャ神話だから、裸体が大量に出てくる。ポーズも凄い。だからこんな僕でも躊躇する。人前で本を開くのが恥ずかしくなるのだ笑。
当時は人間の裸体はNGなのだが、神様ならOKだったらしい。なんか笑ってしまう理由だが、作品は様々な場所で鑑賞され、その神話のシーンを読み取り、教養を語り合うものだったらしい。
神様は様々な姿に変身するから、誰と特定するのが難しいのだが、作者は作品のどこかに必ずヒントを描く。それをアトリビュート(神を特定する小物や表現)というらしい。これも教養らしいが、どこか「なぞなぞのヒント」ぽくって、とても面白い。

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