鎌倉小町通りの夜は、すぐ幕をおろす

秋の鎌倉散歩その2
泊まったホテルは快適だった。たいして期待してなかったから、ちょっとした小さなこと（センスの良さ）を見つけると評価が高くなる笑。鎌倉駅から徒歩2分、若宮大路（鶴岡八幡宮の表参道）の二の鳥居のすぐ近くにあった。

広い歩道の右手に豊かな植栽が続いていて、その緑の木々に隠れるように建っている。街に馴染んだ外観は低層の新築マンションに見えなくもない笑。まぁそんな5階建ての真新しいホテルだった。ちなみに1階にはMUJIが入居していて、ホテルの朝食会場も、その一角のMUJIカフェのようだ。
エントランスから入っても、やっぱりマンション風だ。石貼りの通路を進むとパティオ（中庭）の吹き抜けがあり、その2階部分にフロントがある。インテリアやスタッフの雰囲気は大人な感じで、静かで落ち着いている。街の喧騒がウソのような空気感かな。
鎌倉は有名な観光地なのだが、ホテルの数は圧倒的に少ない気がする（調べてもあんまり見当たらなかった）。このホテルに空室を見つけ予約したのは1か月ほど前のことだった。まぁラッキーな出会いかもしれない。

鎌倉の夜は「地元の小さな居酒屋で一杯」ってのはどうかな？。最近の旅では、イタリアンとかフレンチが続いていたこともあって、何となくそんな発想になった。老夫婦らしく、地物の料理で気軽に楽しむイメージかな。ネットで探して予約することにした。小町通りの路地裏にある小さな居酒屋だ。ホテルから2分ほどで着く。
そんな夕食の予約は18時なのだが、その前に有名な「小町通り」を歩こうと思う。鎌倉駅の東口から鶴岡八幡宮まで400mほどの「抜け道」みたいな感じかなぁ、色んな店が並んでいて観光客に大人気の商店街だ。まぁテレビに映る混雑シーンは、いつもここだから、たぶんみんな知っている笑。
たしかに日中の小町通りの人通りはすごい。金沢で言えば、観光ピークの近江町とかひがし茶屋街みたいな場所で、まぁ自分のペースで歩けないほど凄い、ってことだ。それが夕方になると、さすがに空いてくる。とはいえ日が暮れても若い人たちの熱気や街の喧騒は、そのままだ。
15年前の記憶では「お土産屋さんばかり」の道なのだが、今ではたくさんの飲食店も並んでいた。そして、少し横道に入ると雰囲気のいいイタリアンやビストロ、洒落た居酒屋もあった。レトロなカレーハウスや今っぽい「うどん」に列が並ぶ。こんな時間に歩いてみると、昔と違って今ではとても楽しい街だ。

その店は、何というか、まぁ普通の店だった。15席ほどの質素で静かな居酒屋だ。メニューには素朴な商品が並んでいる。裏通りの古いビルの2階にあるから、まぁ期待通り「地元の人が通う居酒屋」なのは間違いなさそうだ。早速だが、とりあえずビールだ笑。
お品書きを見るうちに、ちょっと気付いた。あちこちで宣伝されているような鎌倉らしいメニューは意外に少ないのだ。刺身も（まぁしらす丼も）あるのだが、期待していた鎌倉野菜や地酒は見つからない笑。地元の人はそんなものは食べないのかもしれない。勝手に期待する旅人ってのは、わがままなものなのだ。
あおりいかの刺身、太刀魚の天ぷら、シャインマスカットの白和え、栗渋皮煮の唐揚げ。どれもきちんとシゴトされていて美味しいのは間違いないのだが、旅人の僕たちは、全然テンションが上がらない。ちょっとしたハプニングが欲しかった気もする笑。
ネットの評価点数というやつは、高くてもやっぱりあてにならない。そんな探し方をしたことを悔やむしかないのだが、まぁ旅ではよくある出来事だ。2軒目を探そう、そう言いながら早々に店を後にした。

あれから、わずか1時間半ほど経っただけなのに、小町通りに人がいなくなっていた笑。すでに閉まった店も多い。これは2次会どころではなくなりそうだ笑。まだ空いているのは、派手な内装で騒がしかった立ち飲みの屋台村くらいかなぁ。でもこの手の店は利用客が多いから楽しい訳で、静かになってしまうと面白さもなくなる。
さっき歩いたときに見つけた路地裏のイタリアンを目指して、足早に向かったのだが、そこも閉店作業に入っていた。万事休すだ。人気の小町通りの夜は、こんなに早くに幕を下ろす笑。
結局僕たち2人は、空いている某チェーン店のアイスクリームを、店頭にポツンと置かれたベンチに座って食べることにした。まぁ食後のデザートかな、結構おいしい。だから、それはそれで楽しいひとときだ。
まぁ考えてみれば、鎌倉の観光客というのは、日帰りの若い人が大半なのかもしれない。なるほどホテルが少ないのも納得だ。なにせ東京から、わずか1時間の観光地だからね。
そういえば、鎌倉駅の向こう側（西口）には、地元の人たちが暮らす街がある。江の島からの帰路に少し歩いたのだが、いわゆる「裏鎌倉」と呼ばれる地元エリアだ。あっちに向かえば、楽しい夜が待ってる気もする。
とはいえ、初日の今日は汗もかいたし疲労困ぱいだ。明日の予定も頭をよぎって断念し、そのままホテルに戻ることにした。旅先で、こんなに早く寝てしまうのは久しぶりだ、やっぱり歳かなぁ。
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