生簀(いけす)の魚貝でスパニッシュ
そのレストランの予約は17時にしてあった。ジジババは朝も早いが晩めしも早い笑。まぁホントは、人気店のピークの大混雑を避けたかったし、なにより食後に「クリスマスマーケット」へ向かおうと思っているからだ。
ホテルの客室から眺める景色は、すでに「港の夜景」なので、あまり見たことのない美しさだった。時刻が早すぎかなぁと思っていたが、もう十分「港町のディナー」らしい雰囲気になっている。
海側のエントランスの風除を抜けると、いきなり生簀(いけす)が現れる。スペイン風のタイルで装飾されているが、漁港にあるような本格的な生簀だ。水面には魚貝用のザルが並んでいて、オマールや巻貝、アサリやハマグリや車海老がいる。下のブクブク泡の水流の中には本日の魚が泳いでいるらしい。
ここはカジュアルスパニッシュ(スペインレストラン)だ。そんな魚貝類をスペイン製の炭火オーブン(ジョスパーグリル)で、シンプルかつ大胆に焼き上げる料理がここのウリらしい。とても面白そうだったから迷わず予約してあった。
僕たちのテーブルを担当してくれたのは20代の若い女性スタッフだった。初めての来店だという僕たちにメニューブックを丁寧に説明してくれる。あれもこれもと目移りするのだが、今日は軽めがいいかな、魚貝中心で選ぼうと思う。
まずはピンチョスかな、イカ墨コロッケとかイチジクのサラダ、バスク風の蟹甲羅焼きなど旨そうなやつを順にオーダーした。メインは肉ではなく、やっぱり魚のグリルだ。これでたぶんお腹いっぱいになる。食べたかったフィデウア(ショートパスタのパエリア)はちょっと無理かなぁ。
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若い彼女の見事なエスカンシア
ワインメニューにはスペインの地図が描かれている。いわくスペイン各地の沿岸産地のワインばかり集めたようだ。まぁ店名の通り「海のワイン」がおすすめってことかな。
グラスワインの中にチャコリを見つけた。バスク地方の微発泡ワインだ。度数も低くて軽くフレッシュなのが特徴だ。実はこのワインの提供方法(注ぎ方)が面白い。
ワインのボトルとグラスを手にして、若い彼女がテーブルの横に立った。左手に持ったグラスを腰の低い位置に用意して、右手のボトルを高く上げ、そこから50cmほど下のグラスへと流し落とすように注いでいく。酸味をやわらげ香りを開かせるのだ。
ほ~、見事なエスカンシア(この注ぎ方)だね、上手だ、と褒めると、彼女は少し照れながら「いっぱい練習しましたから」と笑みを返した。素直に喜ばれると、褒めた僕の方も嬉しくなる。
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そんな彼女の活躍は続く。今夜のメインにするジョスパーグリルの魚を何にするか、彼女におすすめを尋ねた。まぁ問題はサイズだ。ワインもすすんで、もうお腹は一杯だから大きいやつは食べれそうにない。彼女はシェフに確認しながら、小さめサイズの魚を探してくれた。
結局、350gほどのイサキを選んだ。これが最小サイズらしいのだが結構ちゃんとした大きさだ。運ばれた焼きたてのイサキは、独特の香りをまとっている。この特製オーブンは、軽く燻製したような焼き上がりになるらしい。なるほどすごいな。
そのまま食べるのかと思ったら、テーブルの真横にサイドテーブルを出し、そこで彼女が最後の仕上げをし始めた。ナイフを入れてヒレを落とし、中骨を上手に外していく。そして最後に熱々のソースだ。
これも練習したの?、と意地悪く尋ねると、笑いながら「まだ練習中です」と素直に応えてくれた。彼女が仕上げたイサキのグリルは、ちょっと不格好になった気もするが、楽しさが最後の調味料になったのだと思う。美味しかったよ、ご馳走さま。
Del Mar COMEDOR Y TERRAZA、ちなみに僕たちジジババには、ここの店名は一度では覚えられない笑。これで、デルマール コメドール イ テラッツァと読むらしい。ひとつだけ覚えてるのは、Del Marは「海」ってことくらいかな。
久しぶりに楽しいディナーだった。食後のデッキから眺める景色は、目の前の海側も、左手の街の夜景もとてもきれいに見えた。
このレストラン www.huge.co.jp/restaurant/spanish/delmar