本の時間「旅の一冊・2025春」
旅の途中の本のハナシ
僕の読書は途切れ途切れだ。何もすることのない手空きのときしか読まないから、1冊読むのに結構日数がかかる。だから本好き・読書好きというのとはちょっと違うかな。唯一の例外は、旅に出るときは必ず文庫本をもって出かけることだ。ようするに一気読みだ。
おととし?あたり(コロナ明け頃)からかな、旅の機会がけっこう増えたから、そんな「移動時間の読書」も増えていった。今回はこの春(3月4月)の旅の途中の些細なひとコマと「旅の一冊」の話あれこれ。
この日の小松空港はホントに静かだった。2階ロビーでコーヒーを飲みたかったが店は開いてない。そもそも稼働している店が減ってしまったらしい。右手奥のショップも無くなってカプセルトイのコーナーになっていた。
お隣の富山空港は民営化に向けて準備が始まったようだが、小松空港はどうするんだろう?。楽しくて活気ある場所になるには民間のチカラが不可欠・・・そんなことだろうと思う。
ここから羽田で乗り継いで那覇へ向かう。足元が広い方が好きなので、2便ともに非常口席(緊急非常出口の前の席)を取ってあった。万が一の場合は「お手伝い」するのがお約束なのだが、たぶんゆっくり本が読めるはずだ。
ちなみに帰路の2便も同様に非常口席だ。行きも帰りも移動には結構時間がかかるから、旅に持っていく文庫本は2冊にした笑。たまたま、2冊はともに警察小説なのだが、その雰囲気は全く違う。
選んだ2冊は、それぞれ人気シリーズの最新作で書店に並んだばかりだった。そのファンだから、旅の移動時間は読書三昧だ。ちなみに選んだ理由は新作文庫本というだけなので、沖縄とは何の関係もない。
左のやつはサメと恐れられる孤高の刑事の物語。もうシリーズ12作目らしいが、登場する謎の組織(中国残留孤児2世3世らの地下組織)や犯人(不気味な連続殺人鬼)の描写はとても魅力的で、緊迫感漂うストーリーも見事だった。まぁ僕にとっては、一番身近な警察小説って感じかな。
右のやつは映画化されて有名になったシリーズ。人気俳優たちのキャスティングも話題になった作品だ。3件の連続殺人をきっかけに、再びホテル・コルテシア東京を舞台にストーリーが進む。いつものように潜入捜査??なのかな・・・。
こっちの小説も新作だから、これ以上書けないのだが、主人公の彼は警部に昇進しているし、一方の「彼女」の現在位置もとても気になるよね笑。相変わらずの謎解きで、今回も楽しく読めた。
京都らしい作家と言えば
ちょっとだけ無理をして、夫婦の休日を合わせて桜の京都へ向かった。平日を選んだのは京都のあの混雑を少しでも避けたかったからだ。日帰りの旅だから、あんまり欲張らず、気ままに散歩するつもりだ。
旅に持っていった本は、あの「京都大好き作家」である彼の最新作を選んだ。彼の作品には京都(または関西)の話が多いから、もしかすると京都っぽい話が出てくるかもなぁ、と思っていたが、京都も関西も全く出こない笑。
この日は天気が良くて、敦賀へ向かう新幹線の窓から足羽川の桜並木が見えた。福井駅を出たばかりでスピードも緩いから、それなりの時間を楽しめた。ここはやっぱりきれいだ。
敦賀駅での乗り換えが面倒だ、などとよく耳にするが、いたって簡単・快適な乗換だ。導線への誘導だとか表示だとか、駅の人たちの努力がよくわかる。ちなみに久しぶりのサンバーバードだったが、あんなに揺れる列車だったかなぁ。
さて、このファンキーな表紙の小説のことだ。これは作者の直木賞受賞作とほぼ同時期に発表されたものだった。文庫本としての発売が先になっただけのようだ。勝手な想像なのだが、ヒットしたA面の陰に隠れたB面みたいなことかなぁ、などと思いながら読み始めた。
ところが、これが面白い。やっぱり彼の描く異世界のハナシはいつも楽しいのだ。
主人公は17歳の超元気な女子高生、しかも吸血鬼一家の娘だ。人間の血を吸うなんてありえな~い、という彼女が17歳の誕生日を間近に控えたある日から、この驚天動地のストーリーが始まる。
とても楽しい青春ファンタジーで、ちょっと切ない事件とか、無茶して大活躍したりとか、親友ヨッちゃんの大仏とか、とにかく変化に富んだストーリーなので、とてもとても楽しい物語だ。B面カップリングというのは失礼だね。まぁB面にはB面の魅力があるということかな笑。
ちなみに僕にとっての京都はやっぱり不思議な街だ。古いレンガの湿ったトンネルとか、境内の隅っこの朽ちかけた巨木には、何となく「濃い闇」が潜んでいる気がして、妙に小説の「それ」を思わせる。そんな時は「またやられたなぁ」と彼のドヤ顔を思い浮かべたりする。