朝の海と鳥の声、朝ごはんと散歩道
遠出は中止、ホテルでのんびり
春の沖縄ホテル滞在記その4
旅先だから時間を気にしなくていいのに、朝はいつもどおりに目が覚めてしまう。客室にはテレビも時計もない。あえて置いてないのだそうだ。世俗を離れて豊かな沖縄時間を楽しんでね、まぁそんな趣旨なのだと思う。
よく眠れた気がするから、たぶん6時頃だと思う。山側の空が朝日で赤くなっていた。
この客室の前後の壁は、掃き出しの大きなガラス窓だ。海岸が見下ろせる海側はともかく、玄関のある山側もスッポンポンの丸見えってことかな笑。まぁ気になればロールスクリーンを降ろせばいいのだが、そんな必要もない。上手なレイアウトで客室のプライバシーが守られている。
さて、早朝の海岸を歩いてみようか、きっと海風が気持ちがいいと思う。でもどうだろう、沖縄とはいえ3月の朝はまだちょっと寒いかもしれない。
寝室からリビングへ出たとき、ふと、鳥の声が聴こえることに気付いた。鳴き方の種類も複数で、絶え間なく聴こえる。よくある朝のBGM放送だろうと思ったが、違っていた。朝日を観ようと玄関側のガラス戸を開けたときに分かった。すべて本物の野鳥の鳴き声なのだ、しかもけっこうにぎやかだ。驚いたし少し笑った。
玄関側はグスクに囲まれた木々と花々の庭だから、当たり前のように鳥たちの遊び場所になっているのだ。自然は、大事に守ればこんなに嬉しいお返しをしてくれる。山側のグスクウオールの上に、ちょうど太陽が顔を出していて、木々や花畑を照らし始めていた。
今度は海側のテラスに出てみた。昨晩は気付かなかったが、海岸は素朴な自然そのままの景色だった。リゾートホテルのプライベートビーチといえば、人工的に整備されて白いパラソルとかビーチチェアが並んでいるものだが、ここには何もない。あえて自然の風景をそのまま守っているらしい。
そういえば・・・と、何年か前の竹富島を思い出した。滞在したのは同じホテルで、その敷地の中にも「手つかずの自然」が守られていた。伐採したり整地するのは簡単だが、ありのままを守ることにコストと手間を惜しまない、そんなことかなぁ。まぁ僕がこのホテルシリーズが好きな理由のひとつだ。
▼朝のお散歩スタート(タップして右へ)
さっそく朝の散歩に出かけることにした。途中のレストランで朝ごはんを食べて、その後も敷地の中をゆっくり歩いてみようと思っている。ずいぶん広いから見どころはたくさんありそうだった。
沖縄本島へやってくるのは久しぶりのことだったから、できれば行きたい場所がたくさんあった。やんばるの森の中のカフェだとか、思い出の食堂や、離島の橋を渡っての島めぐり・・・どれも遠出になるのだが、まぁそんな感じで欲張るつもりでいた。
でも、昨夜の作戦会議で、遠出は全部白紙にすることにした。このホテルでの時間をたっぷり取ることにしたのだ。知れば知るほど興味が湧いたのかな笑。
海岸の波打ち際が白いのは砕けたサンゴだった。海はベタなぎで、波はとても静かにリズムを刻んでいた。
花壇の回廊をいったん抜けると「道場」がある。早朝はヨガ教室かな、たくさんの人が参加していた。午後には沖縄空手の講座もあるようだ。まぁヨガはともかく空手には少し興味があるかな。
▼さぁ朝ごはんだ(タップして右へ)
朝食は2種類、沖縄ごはんとシチリアごはんが選択できた。二人だが別々に選んで良いそうだ。もちろんそうする。
ジュースバーには、ホテルが提案するオリジナルジュース数種類が、オブジェのように並んでいる。どれも3種類ほどの素材で作ったもので、その素材名が表示されている。お気に入りはバナナ+豆乳+黒糖のやつかな、なかなか美味しい。
沖縄ごはんには、ゆし豆腐やラフテー、魚介と野菜(げっとう)のマース煮(マースは塩のこと)、そしてジューシー(炊き込みご飯)などが楽しめた。どれも優しい味だ。シチリアごはんは、いわゆるイタリアンで、フリッタータとポーチドエッグが美味しかった。
朝のレストランにいると、宿泊している利用客の顔ぶれがよくわかる。想像以上に子供連れのファミリーや三世代家族が多くて驚いてしまった。隣は若いおかあさんと女の子の二人連れ、その隣は初々しいカップルだ。何となくだが、ホテルの朝は様々な人生ドラマが想像できるってことかな笑。
朝食は7:00開始なのだが、オープンしてすぐに満席になったようだ。そんなご家族の朝はきっと早いのだ。これから家族で美ら海水族館ってことかもな、渋滞覚悟だから早く出発しないとね。
▼食後のひととき(タップして右へ)
再び回廊の散歩だ。ところどころに表示石があるので、迷っても現在地が分かるようになっている。中には「石敢當」と刻まれた石碑もある。読み方は「いしがんとう」。道の三叉路や丁字路に置くもので、沖縄の魔よけの一種らしい。そういえば屋根の上のシーサーもそんな役割だと思う。沖縄文化の一端が感じられて面白い。
回廊の途中には何人もの庭師さんがいた。木々や庭の手入れをしていて、声を掛けると沖縄弁で応えてくれる。聞き取れないコトバ(たぶん方言)もあるから僕は笑顔を返すだけだ笑。
その先には、若い椰子の並木があるのだが、まだ迫力はない。宿の歴史とともに大きく育って、いずれ立派なエリアになっていくんだと思う。
部屋に戻って、テラスのカウチ(デイベッド)に寝ころんで、のんびり本を読んだりしてみる。まぁ使い慣れないから、なんかチグハグかな笑。それにしても春の沖縄は気持ちがいい、予報気温は23度、空には白くて小さな雲がところどころで遊んでいる。
陽射しが強くなってきた。海岸ではサップのスクールが始まったようだ。海岸にそって浅瀬を北の方へと進んでいく。気持ちいいだろうなぁ。そして次に出てきたのは海岸の乗馬散歩かな、さっき見かけたお馬さんは、こんなところで活躍するようだ。まぁこれもビーチの楽しみ方ということだ。
さて、僕たちはこれからドライブに出ようと思う。遠出はやめたが近場は何か所か行ってみたい。せっかくのレンタカーだから、乗らないのはもったいないぜ。もう若くはないが、今日みたいな青い空は、68歳のドライブ心をくすぐるのだ。さぁ、サングラスを掛けよう、ちょっとした変身願望かな笑。