ガジュマルの樹の花ことば
旅立ちの朝のひととき
春の沖縄ホテル滞在記その6
もう思い残すことはないよな・・・と滞在を振り返りながらちょっと考えた。・・・で思い付いた。そういえばプールに入ってない笑、やっぱり入ろうか・・。とはいえ68歳の裸体をさらすわけではない。浅い方のプールに素足を浸けたいだけだ。
この温水プール(ここではホットプールと呼んでいる)の手前には、ガーデンチェアを水中に設置したエリアがある。水深が浅くて水着じゃなくても入れるエリアだ。まぁ温泉なら足湯ってことだけど、足プール?かな。まるで子どものように、プールの中をジャブジャブ歩いて遊んだ。
今日もいい天気だ。この穏やかな時期のことを沖縄では「うりずん」というらしい。語源は「うるおい初め」なのだそうだ。暖かくなってくるとともに、雨で植物が潤うということかな。
旅立ちの朝、集いの館のソファーに座り、プール越しに見える沖縄の空をボ~っと眺めていた。この宿でよかった。十分ゆっくりできたし、楽しい沖縄旅になった。
何年か経ったら、また来たくなるのは間違いないホテルだった。充実した設備や企画力の見事さはもちろんだが、魅力はそれだけではない。沖縄には、琉球と呼ばれた時代から続く文化や自然が残っていて、この宿はそれをリスペクトし、とても大事にしている。それが一番いい。
ここに流れている時間軸が、68歳の僕の波長にピッタリはまったのかな。とても心地よい時間だったのだ。あくせくしてきた日々に訪れた休息日のような気もするし、明日から元気に生きるための区切りのような気もする。
カラダやココロに溜まった「なんか悪いもん」がきれいに無くなった感じかな。沖縄にはスピリチュアルなチカラがあるというが、このホテルにもそれが宿っているのかもしれない。
さぁそろそろチェックアウトだ。部屋に戻って荷物をまとめる。まぁ家内の担当だから僕はテラスで再びぼ~っとしているだけだ。部屋の隅に積んであった荷物が、あんな小さなトランクに収まってしまう。主婦の収納テクは凄いのだ。軽かったトランクは見事な重量になっていた。
ちょうど若いスタッフが早足でやってきた。2階の僕を見上げて笑顔で挨拶してくれる。トランクを取りにきてもらったのだが、小柄な女性スタッフだったから、重くてゴメンなぁ、などとジイジは声を掛けてしまう笑。
庭に出たとき、彼女はテキパキと記念写真のベストポジションを教えてくれた。こんな宿泊客の記念写真も手慣れた手順で進めていく。次はこちらをバックに撮りましょう・・・、たしかに彼女が撮ったアングルはとっても上手だった。
送迎カートはガジュマルの樹の林を通っていく。その根っこが力強く盛り上がって、うねるように連なっているのが特徴だ。
ご滞在はいかがでしたか?、カートを運転する彼女は、気軽に声をかけ雑談しながら駐車場へと向かった。先に荷物をレンタカーへと積み替えるのだ。
駐車場の出入り口にも、とても大きなガジュマルの樹が1本だけポツンと立っている。そういえば到着したとき、最初に迎えてくれたのはこの樹だった。まるで宿のシンボルツリーのように思えた。
チェックアウト手続きが終わり、レセプションの外に出ると、ここでも記念撮影をおすすめされる。老夫婦だから、もういいよぉ、と思うのだが、熱心なスタッフに甘えて撮影ポーズだ。次はこちらで撮りましょう、ついさっきのような撮影会が繰り返された笑。
レンタカーに僕たちが乗り込むと、彼女は全力ダッシュで、先に外へ出て車を誘導する。そして深々と腰を折り、僕たちを送り出してくれる。少し先でのぞいたバックミラーには、両手を大きく振って元気よくバイバイする彼女の姿が映っていた。
そして、彼女の後ろには、あのシンボルのようなガジュマルの樹があった。このシンボルツリーは、お迎えだけでなく、どうやらお見送りもしてくれるようだ。
あとで知ったことだが、ガジュマルの花ことばは「たくさんの幸せ」「健康」なのだそうだ。沖縄ではご神木として親しまれているらしい。
強い生命力や力強さから、人の幸せの願うものと連想されるのかな?、沖縄は花言葉も、なんかスピリチュアルなんだね。