神楽坂の一軒家レストラン
当時は、俺の〇〇という飲食店が世の中を席捲していた。注目され始めた頃、何度か訪れたことがある。そのフレンチもイタリアンも、確かに繁盛していた。立ち食いで高回転と言っていたが、予約すればテーブル席だったし、予約は容易に取れた。安い、とはいえ、すごい看板メニューは当時は2~3品しかなかった。他のメニューは値段もフツーか、そこそこ高くて、その点ではフツーのバリューだった。でも、安さと引き換えのようにサービスは荒れていた印象が強い。だから楽しくなかった。その後のブームはすごかった。派手なマスコミ戦略で一世を風靡していたことは間違いないが、生演奏を入れて、ミュージックチャージを取り始めたり、徐々に、何か違うよな、という違和感を持っていた。
売価とバリューの点で、当時から凄い店が、他にもたくさんあった。中でも新橋を拠点とする「U金」という居酒屋は魚介メニューがものすごくて怪物みたいな繁盛店だ。だから当時から新橋にはたくさんのU金(姉妹店)があった。このU金がビストロを始めた。びすとろ・Uオキンというベタなネーミングだったが、ハイバリューですぐに超繁盛店になった。そして都内に次々に出店していった。だから当時の僕たちは、俺のと、Uオキンのふたつをしばしば比較していた。盛り付けが美しく、料理に品があって、美味しくて心が安らぐ・・・・という誉め言葉は、どちらにも当てはまらない。真逆だ(笑)。とくにUオキンには、大衆的な雰囲気で、ボリュームがあって、大胆で、驚きがある料理、という表現が似合う。だから、とても面白かった。
この日、神楽坂のカーサ・Uオキンという系列店でワインを飲んでいた。毘沙門天の真裏にあるのだが、狭い庭のような小路を進んだところにあって、隠れ家のような一軒家レストランだ。どうやら古い2階建ての洋館を改装したようだ。場所はかなりややこしい。3年ほど前に初めて訪れたのだが、なかなか見つからず困った記憶がある。この日の2階席には、ちゃんとした服装の3世代ファミリーが奥の個室で食事していたり、横の席には僕たちより年上の品の良いマダムたちが、ワイン会を楽しんでいた。
お目当ての魚介のカルパッチョは、確かに大胆でボリュームがあって安かった。バジルソースやキノコのソースのほかに、醤油やワサビ、辛子など6種類のソースで食べる面白いカルパッチョだ。料理はやはり楽しい方がいい。ついつい酒が進んで少し酔ってしまった。
いつの日か、みんなと訪れるなら、こんな気軽な店がいいなぁ。興味のある方は、ぜひ食べログで探してみてほしい。
U金グループのHP uokingroup.jp