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2020年05月29日

シロクマ、ラーメン、サ道

数年前のことだ。千歳空港へ着くなりレンタカーを借りて、一路、北へ向かって走った。父親の墓参りだった。けっこうな田舎道だ。そんなドライブの途中、なぜか石狩の海を観たくなって車を止めた。岸壁の下の海は、とても荒れていて、曇天の空とあいまって、厳しい自然を感じる。ときどき強い海風が吹いていた。極寒の冬になると、低い怒涛のような風の音に変わるのだろう。なぜか「石狩挽歌」のメロディーが浮かんだ。北原ミレイの枯れた声が似合う気がする。でもカラオケ党の父親が好きだった唄かどうかは知らない(笑)。
翌日のこの日は、旭山動物園を観に行こうという話になっていた。しかし、あいにく雨が降ってしまった。イメージでは旭川のあとは、美瑛へ行きたかったが、どうやら難しそうだ。札幌から旭川まで道央道で2時間ほどの距離だが、どんどん雨脚が強くなる。広い大地と白い雲が広がる青空を期待していたが、現実は甘くなかった。雨はやむ気配もなく、雨水は園内の通路横の側溝に勢いよく流れ込んでいる。来場者の半数以上は「雨ガッパ」着用だ(笑)。こんな天気なのに、来場者は多い、みんな楽しみにして今日を迎えたのは間違いないだろう。

旭山動物園は、緩やかな丘陵の斜面を利用して作られている。正面玄関から中央の坂道(階段)を挟んで両方に、低い2階建ての展示施設が続く。ひとつひとつに違う動物が展示されている。だから様々な動物たちを1階から2階から、つまり、上から見下ろしたり、真横から見たり、下から見上げたりできる。施設内の床や壁、さらに天井にも水槽があって、まるで自分が海の中にいて、真横のアザラシの生態を見ているような錯覚に陥る。何かのタイトルになった「空飛ぶペンギン」もまさに同じで、大きな水槽の中のトンネル通路が透明で、その頭上をペンギンたちが猛スピードで泳いでいく、まさに飛んでいるように見える。
大きなホッキョクグマ(シロクマ)が目の前のガラス直前に飛び込んだりする。迫力があってとても楽しい。水中で泳ぐシロクマの愛すべき姿は感動すら覚えるほどだ。旭山動物園は、日本最北の動物園で、このような「行動展示」という手法で有名になり、一時は上野動物園を超える入場者数を記録したらしい。

広い敷地を順に回る。オランウータンが、17mもある2本の柱に渡された橋を、ゆっくり渡る姿はユーモラスだった。しかし雨の勢いは凄くなるばかりで、予定を早めて札幌に帰ることにした。せっかく来たのに、旭川ラーメンも断念することにした。しかし、それが幸いした。帰りの道央道は土砂降りで、あちこちの路肩まで土砂がこぼれている。僕たちが走った直後に、大きな土砂崩れが発生し、封鎖になってしまった。すれ違ったパトカーは、そのためのものだったんだろう。間一髪のできごとだった。ラーメン一杯と命を引き換えにはできない(笑)。
札幌に戻り、ホテルで着替えて、すすきのへ向かった。食べれなかったラーメンの雪辱戦のために「ラーメン横丁」へ寄ろうというアイデアも浮かんだが、やっぱりビールと一緒に北海道の幸を楽しむことにした。飲むのはもちろんサッポロビールだ(笑)。地元の人気居酒屋で今夜の戦闘を開始した。1枚3,000円もする「ほっけ」の開きは、脂がのっていて最高に旨い。ルイベや毛蟹も楽しんだ。さすがにラーメンの国らしく「ラーメンサラダ」というメニューがローカル人気らしい。ようは野菜がたっぷり入った汁なしの冷やし中華みたいだ。旭川ラーメンの替わりにはならないが、その晩はラーメンサラダで我慢するしかなかった(笑)。

最近「サ道」がブームらしい。つまりサウナ党による「サウナ愛」がすごいことになっている。実は旭川にもサウナ党の北の聖地と呼ばれているサウナがあるらしい。そんな話から、旭川のことを思い出していた。たしかに昔は、よくサウナに行っていたものだ。何にでも好奇心をいだく僕は、またいつか旭川に行くことがあったら、今度はそのサウナに立ち寄ってみたいと思っている(笑)。もちろん本格的なロウリュやアウフグース(サウナストーンにアロマオイル、その熱風をタオルで豪快にあおいでくれるアレ)も試してみたい。シロクマがプールに飛び込むように「水風呂」に入ろうか、そういえばサウナにはラーメンが似合う気もする。まぁこれは無理なこじつけだけど(笑)。

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