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2021年01月15日

ときめきのメソッド

年末のある日、その年2回目の大掃除が始まった。2回目というのは、去年に限っては「春の大掃除」というやつが追加されたからだ。春は、いらないものを捨てる大掃除だった。ずいぶん片付いた。いつもの年末の大掃除は「汚れを落とす」ための掃除だったのだが、春に続いて冬も、残りの「いらないもの」を捨てることにした。
ハナシは、春の大掃除にさかのぼる。このGWは外出自粛の連休になったのだが、することもないから大掃除をすることにしたのだ。おそらく、ご近所はみんな同じで、連休後のゴミ集積場は、ものすごいことになっていた(笑)。時間もあったから、わが家の「春の大掃除」は何日かに分けて実施された。課題は日頃触ることのない屋根裏の収納庫や、本棚とか段ボールの中身を捨てることだった。テンション高く「やるぞ~」と始めたのだが、すぐにへたばった(笑)。体力のこともあるが、「思い出」という不滅の価値が邪魔をして、時間がかかってしょうがなかった。何かを見つけると手が停まってしまうのだ。

そんなとき「こんまりのメソッド」を思い出した。全米で話題の掃除のプロの彼女「こんまり」のことだ。いわく「ときめくものを残し、手放してもいいものを見分けることで、しがらみから解放され、家も心もすっきりする」、ということらしい。でもあれはアメリカ人だから受けたんじゃないのか、などと難癖を付けながら、ともかくやってみようかと重い腰を上げた。
とはいえ「ときめく」ってコトバは、はるか昔に使わなくなったから、どうしたものかと考えてしまう。それに、例題にあるようなファッションやブランド品などには、もとより興味もないし、持っていない。とにかく、簡単そうなやつから始めることにした。よし、やったな、という小さな達成感があれば、楽しくなるのかもしれない。

この家に引っ越した30年ほど前から手を付けてないモノを引っ張り出した。どれも引っ越しのときのままの姿だ。無視し続けたから、何があるかもわからない。その中に、日本画の美術全集25巻が、紐に縛られたまま出てきた。これには、ときめいた(笑)。応挙や長谷川等伯をはじめ、それぞれ作者ごとに1冊あるような感じだ。大好きな琳派の俵屋宗達や尾形光琳などが1巻ずつ(1人ずつ)ある。驚いた。
そもそも家内が買ったものらしい。若い頃の僕はシゴト人間だったから、興味も失せて、いったん捨てようと思っていたのかもしれない。さっそく開いてみたら、これが楽しい。そんな年齢になったんだな。でも全25巻のうち21巻しかない。つまり行方不明者もいる。話題の若冲も不明者の一人だ(笑)。
そして今度は、当時のシゴトの資料が大量に入った段ボール箱が出てきた。でもこれには全然ときめかない。そのまま廃棄だ。なるほど「ときめく」ってことが分かってきた気がした。

家の中で言えば、まだまだ一部分だが、こうして「こんまりのメソッド」は、日本人の面倒なオッサンにも通用することが証明された。そして残りは「年末の大掃除」へ持ち越しになったのだ。
そして年末。家の中をぐるりと眺めながら、僕はこれから始める年末大掃除の段取りを考えていた。まずは納戸だ。さっきチラリと覗いてみたのだが、錆びだらけの鉄アレイとか、ホコリだらけの工具箱なんかがある。あの六角レンチやドライバーのセットはもう使うこともないだろう。テンションが下がる(笑)。
今年のGWも再び自粛生活になるのだろうか。どっちにしても、古いものや、ときめかないものを、もっともっと始末できたら、それは「新しいもの」を買うチャンスになる。そんな下心がバレないように、前向きな態度で大掃除に取り組もう。

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