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2020年11月13日

いつか旅に出よう「真冬の奥入瀬渓流」

旅は、そのすべてが「初めての体験」になるから面白いのだと思う。仕事に関係する旅は、あたりまえだがセカセカしてしまう。興味や好奇心は研ぎ澄まされるのだが、仕事が頭から離れないから、何らかの「成果物」を求めてしまう。だから「無駄な時間」が失敗のように感じて、ガッカリしたり不機嫌になったりする(笑)。プライベートな旅は真逆で、そんな失敗が楽しく感じて、一番の思い出になったりする。2度目、3度目の訪問でも、季節が違うと、全く別の体験になる。やっぱり旅は一期一会だ。
いつか旅に出ようと思う。でも今は行けないし、その日が来るのはいつか分からないから、思い立った時に妄想しながら計画することにした。今回は奥入瀬への「3度目の旅」だ。といっても1回目は例の修学旅行だから、大人旅は2回目ということになる。考えた末、季節は、あえて「真冬の奥入瀬」を選ぼうと思う。きっと何から何まで初体験だと思う。厳しい冬の空路は、遅延や欠航があるだろうし、大雪で交通アクセスが寸断されることもあるかもしれない。計画通りに進まない、そんなハプニングを楽しむような旅をしてみたい。これって妄想の旅の醍醐味かもしれないな(笑)。

6月の八甲田山は新緑が美しかった。密集する木々に囲まれた山道を走るドライブだった。どこまでも続く「緑のトンネル」に心が躍った。もう7~8年前のことだが、いまでも、よく似た山道を通るとき、かならずこの日の景色を思い出す。この時は青森空港に降り立った。当時、企画していた27期の「大人の修学旅行」の続編の下見の旅だった。その前年に、5人の仲間たちと実施した27期の「会津・鶴ヶ城と五色沼」編が、とても楽しくて、「次は奥入瀬だ」と、いさんで出かけたのだ。
酸ヶ湯温泉は八甲田山のふもとにある。青森空港から酸ヶ湯温泉まではゆっくり走って1時間ほどだった。道の駅?みたいな場所で「青森おでん」も食べたっけ。しょうが味噌のおでんなのだが、とても旨かったことを思い出した。酸ヶ湯から奥入瀬への山道の途中には、6月なのに残雪があって、自生の水芭蕉がキレイに咲いていた。酸ヶ湯から30分ほどでホテルに着いた。ここはもう奥入瀬だ。さらに十和田湖まで向かう30分ほどの道が奥入瀬渓流だ。奥入瀬渓流は、水量豊かで、滝は勢いよく、そのしぶきで「苔」や山野草が育って、緑の濃淡がとても美しかった。

さて、今回の妄想旅は「真冬の旅」だ(笑)。毎年冬になると、酸ヶ湯温泉はまるで大雪の名所のようにテレビに登場する。雪に隠れた古い湯治場の映像や、一晩で埋もれてしまったクルマの映像が流れる。冬の雪深い季節でも営業しているようだから、訪ねてみたいのは間違いない。再びあの「ヒバ千人風呂」という大浴場に浸かりたい。ここはいわゆる「混浴」なのだが、前回の場合は高齢のおばあちゃん達の憩いの場所に見えたっけ(笑)。
タイトルもストーリーも忘れたが、冬の八甲田山の山岳事故の映画があったと思う。「天はわれを見放した」というフレーズを覚えている。たしか健さん主演で、大自然の驚異や厳しさを描いていた。雪中行軍という軍隊の過酷な訓練にまつわる悲劇の物語だったと思う。そんな八甲田経由のルートは、冬には無理かもしれないから、奥入瀬へ向かうための正しい「冬のルート」を調べなくてはいけないな。もしかするとレンタカーは避けて、地元の交通網を使う方が無難かもしれない。

目指すのは前回同様に「O入瀬渓流ホテル」だ。場所は奥入瀬渓流のスタート地点にあって、渓流の散策を楽しむ旅人にはベスト立地だ。とはいえ、そもそも、このホテルは「冬季休業」するホテルだった。誰もがイメージする「紅葉の奥入瀬渓流」のシーズンが終わると、深い雪に埋まり、観光客がやってくる理由がないからだろう。ところが、2~3年前のこと、このホテルが冬季営業を開始するニュースが流れた。
発表された冬のプランの目玉は「樹氷」と「氷瀑(ひょうばく)」だった。雪に埋もれる奥入瀬渓流を、専用バスで移動し、スノーシューを履いて歩いたり、凍った滝がまるで芸術作品のようにそびえる様は、冒険心をくすぐって楽しそうだった。当時は古くて設備の老朽化も目立ったホテルだったが、公式サイトを観ると、今では改装が進み、魅力的なホテルに生まれ変わったようだ。

犯罪者は、北へ向かうのだという(笑)。それは、太陽に背を向ける、ということらしい。たしかに逃避行するのは冬なのかな。僕も無意識にイメージしているから、窮屈な日常から逃げたいのかもしれない。これって犯罪者の心理ってやつなのかな(笑)。
2泊目はどこにしようか。まぁ、こんな旅だからゆっくりやろう。青森の方言には津軽弁と南部弁があるらしい。特徴は「文字数が少ないこと」なのだそうだ。どこかで地元のおばあちゃんと話してみたい。ちょっと興味があるんだけどな。

O入瀬渓流ホテル oirase-keiryuu.jp

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