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2021年09月24日

散歩の途中で「地上229mの写真スポット」

今回は、お蔵入りさせていた「東京のネタ」のひとつを引っ張り出そうと思う。ちょうどコロナ渦が始まる少し前、当時オープンしたばかりの「スクランブルスクエア」のハナシだ。原稿は書いたのだが、コロナでタイミングを逸して掲載しなかったものだ。
渋谷は「百年に一度の再開発」が続いていて、さらに東京の各所で、オリンピックを背景にした様々なプロジェクトが進み、その変貌ぶりが大きく注目されていた。単純な僕は新しい時代の風の匂いを感じておきたかったのだと思う。東京へ行くたびに苦手な渋谷エリアを歩くことにしていた。
少し前のヒカリエや渋谷キャスト、前年の渋谷ストリームなど新しい街(施設)が誕生するたびに、渋谷は成熟していったような気がする。若者の街ではなく、大人も楽しめる街になっていくような感じだ。

苦手な理由は、そもそも若者カルチャーへの違和感なのだが、新陳代謝のスピードが速すぎてついていけないというのがホントのところだ。昔の渋谷しか知らない僕たちは道に迷って苦労ばっかりする。今回もきっとそうだろう。方向オンチの僕はそんなことを考えながら、東横線で渋谷へ向かった。しかし驚いた。まったく迷うことなく渋谷スクランブルスクエアに着いちゃった(笑)。そして、いきなりエスカレーターで地下2Fの売り場に出てしまう。まぁ、渋谷駅直結の商業施設だから、当たり前といえば当たり前の話だ。
地下2Fは、デリやベーカリーのフロアだった。たくさんの人でにぎわっている。さらに地下1Fは紀ノ国屋スーパーだった。ゆっくり立ち止まってみたい気もするが、このままエスカレーターで先へ急ごう。早めに展望フロアに行ってみたい。

14Fにはチケット売り場があった。45~47Fの展望施設「シブヤスカイ」へ入場するためのチケットだ。テレビやメディアで盛んに紹介されていることもあって、すごい人だかりだ。予約でないとだめなのかな、と思っていたら、なんと「今なら待ち時間ゼロです」だった(笑)。
ここからの専用通路にも、エレベーターホールにも光の演出がされていて(スカイゲートって言うらしい)、46Fの展望ギャラリーまで楽しく?運んでくれる。そして47Fの屋上(スカイステージ)へ着く。
第一印象は「強風」だ(笑)。47階のこの建物は、セルリアンタワーより高くて、渋谷で一番ののっぽビルなのだそうだ。屋上デッキは思いのほか広くて、中央に人工芝の公園があって、ヘリポートもある。周囲に変化のある遊歩道が配置され、回遊できるようになっていた。
たしかに眺望は素晴らしくて、新しい国立競技場なんかも眼下に小さく見ることができる。道路網もデザイン模様に見えて楽しい。夜はもっときれいだろう。メディアで有名な、透明の柵を背景にした「デッキの角地」は、すでに人気の写真スポットで、長蛇の列が付いている(笑)。中には、ポーズを変えて何枚も撮影する輩(カップル)も多くて、ブーイングの視線を浴びていた。

ほんとに風が強くて、前進するどころか、何かにつかまらないと立っていられないほどだ。髪の乱れが気になったわけでもないが、さっさと退散して46Fのカフェスペースで休憩することにした。座りやすいシートで窓越しに東京の街並みが見える。僕にはこっちの方が便利だ。変貌する渋谷で、新しい風の匂いを感じたかったのだが、まさか本物の風にやられるとは思ってもみなかった。
ドリンクで一服していると、館内放送で「強風のため屋外ステージをクローズする」旨のアナウンスが、何度も流れた。せっかくここまで上がってきた後続の人たちが、外に出られず、大渋滞が始まった(笑)。危険を感じた僕たちは、さっさと逆方向へ進み下界へ降りることにした。
渋谷の風にやられたからか、人ごみに酔ってしまったのか、結局、僕の買い物や食事への興味は一気に薄れて、そのまま帰ることにした。新しいパルコも今度にしよう。駅が近いのは便利だけど、人が多いのには毎回降参する。

まぁ、あれから2年ほど時間が進んだのだが、今の東京には想像と全く違う「別の風」が吹いている。しかも逆風なのだろう。でも、東京の街が好きなのは変わらないから、再び渋谷を訪れる日を楽しみにしている。次に行きたいのはミヤシタパークや新しい東急フードショーかな。

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