ディープなファンが喜ぶ企画展
さて今日も散歩だ。とはいえ、せっかくの東京なのに、これといった目的地がなかった。こんなときは、無理やり調べて用意するしかないのだが、そんな意欲が湧かない時もある。今回はまったく浮かばない(笑)。そんなことは今までにもずいぶんあって、そのたびに、はとバスってやつに一度乗ってみようかとか、屋形船はどうかとか、考えるのだが、団体行動が苦手な僕は何となく避けてしまう。何より今さら名所めぐりをする気にはならない。
そんなとき、ふと「美術館」が浮かんだ。そうだ、有名な美術館もいいし、東京は様々な場所で企画展や展覧会をやっているはずだと気づいた。地方に住む者にしてみれば、いつも羨ましく思っていたのだった。
■蜷川実花展/虚構と現実の間に/上野の森美術館
■バンクシーって誰?展/天王洲寺田倉庫
■ゴッホ展/響きあう魂ヘレーネとフィンセント/東京都美術館
■庵野秀明展/国立新美術館
ちょっと、調べただけで興味あるやつが、ぞくぞく出てきた(笑)。とはいえ、あくまで散歩だ。ゲージツを楽しむほどの気分でもない。結局、一番面白そうな庵野秀明展を選んだ。家内はあんまり興味がないのでリアクションが薄い(笑)。この日の散歩エリアは会場近くの六本木になった。
千代田線の乃木坂駅に降りた。会場の国立新美術館に続く通路には広告などの無駄な掲示物が全くない。そんな独特の「真っ白」な通路を歩いていく。ときおり表示されているのは、企画展のポスターだけだ。モノクロの文字だけのポスターがとても映える。
庵野監督にはたくさんのファンがいる。コアでディープなファンが多いのが特徴だろうが、もちろん僕のようなライトなファンもいるはずだ。来場者の年齢は幅広かった。展示されているのは、彼の過去の作品、スケッチや原画や資料など1500点で、ファンにとってはお宝ばかりだと思う。
何と一部を除いて写真撮影OKという風変わりな展示会で、ファンたちは、さかんにスマホを向けていた。制作のプロセスで作った「第3村」の巨大なジオラマとか、シンゴジラの形態ごとのレンダリングモデルとかもあって、人だかりになっている。
とはいえ、ファンでなければ意味も分からず、退屈な展示会だろう。同行した家内はまさにそんな典型だ。先に出てしまった家内は、ロビーのソファーにポツンと座って、僕を待っていた(笑)。すまんすまん、こんなときは笑って誤魔化すしかない。
ご機嫌とりのためにカフェに入った。ロビーは4階あたりまで吹き抜けになった巨大な空間で、その2階あたりの「空中に浮かんだような」カフェだ。美術館の中のカフェは、どこも企画展に合わせたメニューを出すのだが、ここでも庵野作品を模したデザートプレートを売っていた。
そんな、どうでもいいようなスイーツを食べた後は、六本木ヒルズまで、六本木の裏道をプラプラ散歩することにした。ゆるい坂道やカーブに添って、狭い道路にたくさんの民家が並んでいる。輸入車が停まった豪華な家もあるが、古い民家や古いアパートもたくさんあって、街とのコントラストがちょっと面白かった。
平日の六本木ヒルズは、人も少なくて静かだった。あの喧騒感がないから、あんまりテンションは上がらない(笑)。そんな中、若い女性たちの列を見つけた。でも人気カフェの列じゃぁない。どうやら森美術館のエレベーター待ちの行列だ。やっているのは鬼滅の刃の原画展らしい。最近のアニメは、もう立派なカルチャーなんだね。
ちょっと気にはなるのだが、パートナーの賛同は得られそうにない。では、銀座へ向かおう。デパ地下や伊東屋なら、機嫌がよくなる可能性がある(笑)。
この展覧会 annohideakiten.jp