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2023年02月17日

散歩の途中で「空港という場所」

読みかけの小説を開くと、ANAの座席番号レシートが挟んであった。機内で読み始めて、しおり替わりに使って、旅のあいだずっとそうしていたのだ。だから2枚あるのは帰りのANAの分だ。まぁ、新幹線でも同じことをするのだが、新幹線の切符は改札機が回収してしまう笑。
飛行機の窓からの風景が嫌いなわけではないのだが、僕は通路側に座る派で、フライト時間はそのまま読書の時間になる。今回のフライトは長くかかるから、ちょっと分厚い文庫本でも大丈夫だ。もちろん搭乗待合室は読書にぴったりだ。
最近の旅は、ほとんど新幹線ばかりだから、飛行機は久しぶりのことで、ちょっとぎこちない面もある。そういう意味では、空港という場所を、めっきり使わなくなったことを自覚した。そういえば羽田空港は、もう何年も使っていない。

意外に思われるかもしれないが、僕にとっての羽田空港は、とてもお気に入りの場所だ。旅のパートナーの家内にとっても、たぶん同じだと思う。まぁ現役の会社人間だった頃は、旅じゃなくて「出張」だったから、楽しいと感じる今の感覚は後年のものだ。
現役のビジネスマンなら、あえてフライト時刻ギリギリを狙って空港へ向かう。慣れたビジネスマンは無駄を嫌うスタイルのはずだ。フライトの急な変更などは当たり前だし、お土産なんかは買わないから悩むこともない。僕もそんなタイプだったと思う。
でもずいぶん前にそんなビジネスマンから足を洗った。だから今の僕たち老夫婦の旅の場合、自宅へ戻る最終日の予定はいつも空白にしている。さらに、帰路の便は午後の遅めにしておいて、日中は、思いつきで行き先を加える。で、けっこう早めに羽田に向かう。僕たちには「羽田(空港)でのんびりしようぜ」という常套句があるのだ笑。
そういえば、早めに東京駅へ行こう、とは思わないなぁ。なにせ混雑の意味が違うし、ゆっくりできる場所は駅舎の中にはないと思う。だからいつも駅の外に出なければならない。羽田の良さはそんなところもある気がする。

僕はず~っとJAL派だった。だから、第2ターミナル(T2)が開業してANAが移転してからも、もっぱら時間をつぶすのは(今まで通り)第1ターミナル(T1)だった。目をつぶっても歩ける、とまではいかないが、頭の中に上階までのフロア図が浮かぶようになっていた。
夜の自宅での晩ごはんがおっくうなので、羽田で食事を済ますことも増えていった。数々の失敗もしたのだが、お気に入りのカフェやレストランが決まっているし、うなぎや寿司にも迷わなくなった。とはいえ、小松からは車の運転をするわけで、アルコールが飲めないのが唯一の難点かな笑。でもコロナ渦のあいだに、きっとお店の顔ぶれはずいぶん変わってしまったんだろうと思う。
国際線ターミナル(T3)ができたころは、よく散歩にいった。国内線(T1やT2)とは全く雰囲気が違っていて人も少ないから買い物も食事も楽しかった。きっと近年はクローズ状態だったのかもしれない。最近、エアポートガーデンという新しい施設のニュースが流れている。このT3直結のモールで、コロナで開業を3年遅くしたらしい。新しいゾーンが加わって、これからは活気が戻るのだろうと思う。僕も散歩してみたい.

さてこの日、やっぱり早めに新千歳空港に向かった。もはやコロナはどこ吹く風ということなのか、とにかくすごい人だった。荷物を預けるにも長蛇の列だ。北海道にもようやく観光客が戻ってきたのかもしれない。
僕個人の見解だが、羽田以外の空港で一番楽しいのが、この新千歳だと思う。なにせお土産で言えば、そのまま「大北海道展」を年中やってる感じだ笑。さらに食事で言えば北海道らしいやつが何でも食べれられる。ちなみに僕たちは函館の名店を選んだ。
博多の福岡空港も面白かったし、沖縄の那覇空港でも楽しめたと思うのだが、新千歳には何となく「身びいき」が働いているのかもしれない。あのエキサイティングな感じは他では味わえないような気がする。

北海道土産が他の地域と違うとすれば、スイーツや乳製品の豊富さだろうか。北海道発の(すでに全国的に有名な)ブランドのかっこいい専門店が、ここでしか買えない新商品、と唄って行列を呼んでいる。さらにソフトクリーム(何軒もある)の行列はどこも異常だ。ラーメン道場という名前のラーメンストリートは、レトロなレンガホールの中に、10店以上の店が入居している。まるでフードホールのような雰囲気もあって、店の仕切りはなく、今っぽくて楽しい。
新設されたキッズ向けのエリア?には、ROYCE’(ロイズ)が仕掛けるチョコレート工場併設のエリアがあった。すでに買い物は終わっていたのに、家内はさらにアレコレ物色し始めた。これ以上、誰のためのお土産なんだろうか笑。

搭乗待ちのロビーは意外に静かだった。徐々に増える搭乗者はみんな大きな紙袋を抱えてる。地方空港という場所は旅人にとって、土産と一緒に誰かの顔を思い浮かべる特別な場所なんだと思う。お土産は相手に旅のハナシをするきっかけに使うものなのかもしれない。まぁ、相手が聞きたいかどうかは別のことだけど。
ちなみに、帰宅してからの1~2週間、わが家には渡す相手のない北海道土産の小袋がたくさんあった(家内は自宅用と呼ぶ)。だからそこにあった「じゃがポックル」をK-Dreamの差し入れにと、こっそり5袋ほど持って行ったことがある。まぁ北海道限定だと思っていたからだ。ところが、つい先日、地元でも買えると知ってちょっと笑った。それを再び買って食べながら、新千歳空港のことを思い出していた。

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