ホテルの時間「なかなか予約がとれなくて」

今回のホテル滞在記は、年に一度だけ予約が取れない日がある「ビジネスホテル」の話を書こうと思う。まぁ昔バナシだ。

きっとダメじゃないかなぁ、と思いながら空室の検索をしてみたのだが、やっぱりダメだった。前後の日程はすべて空いているのだが、この日だけNGなのだ。その理由は簡単で、この日は「高円寺阿波踊り2024」の当日だからだ。
泊ろうと思ったホテルは高円寺駅前にある（というより駅の建物の中にある）。だから最も便利なホテルがここなのだ。僕のようにかつて泊ったことがある者なら、皆んなそう考えると思う。
とはいえ、去年も、おととしも同じように検索し、同じようにダメで、そんなのは当たり前みたいだから、早めに手を打っても、やっぱりダメなのだ。もしかすると予約そのものをブロックしている可能性もある。つまり最初から誰かが押さえている可能性が高い。
まぁいつものように、少し離れたところに快適なホテルを取ればいいだけのことだ。そして当日は早めに高円寺にやってきて（とは言っても2時間前かな笑）、終了後は遅めに（おそらく1時間以上ずらして）高円寺を出ればいい。
この日の交通規制や駅の混雑に引っかかると、もう身動きが取れなくなる。高円寺という小さな街にとって、阿波踊りはそんな一大イベントだ笑。

このホテルはホテルメッツ高円寺といって、JR東日本系のビジネスホテルだ。泊ったのはもう何年も前のことで、その日は中野や高円寺の駅前で食べて飲んで楽しむつもりで予約をした。特に高円寺商店街のディープな夜が楽しみだった。
都市部のビジネスホテルは、当時、空前の競争のさなかで、どこもアイデアや特徴をだして頑張っていた頃だ。泊まったのはコロナのずいぶん前のことだが、たくさんのアイデアは、たぶんコロナの最中も、コロナ後の現在もきっと同じ、いや進化を続けていると思う。
このホテルは確かに出張ビジネスマン向けだなぁと思った。フロントフロアには「選べる枕」が並んでいたり、奥にコインランドリーもあった。さほど広くもないスペースだが、周辺の飲食店情報、つまりパンフレットやクーポン誌などもたくさん置いてあった（当時の定番だと思う）。
部屋は狭いが、機能的で、宿泊に必要なものは全て整っている。シニアビジネスマン御用達のズボンプレッサーはもちろん、充電用のケーブル、空気清浄機やファブリーズまで常備されていたっけ笑。

ホテルの朝食チケットが使えるのは、ホテル2階のテナント「デニーズ」だった。つまり朝食はデニーズのモーニングメニューということだ。だから、それなりに快適な朝を迎えられた笑。最近のビジネスホテルも上手だなぁ、と思った。
ちなみに朝食を終えた僕は、高円寺から赤羽に向かった。赤羽の商店街は「呑んべえの聖地」になっていて、朝からみんな酒を飲んでいる街だ笑。その中の一軒に、朝からやっている有名な立ち飲みの「おでん屋」さんがある。まだ午前中だが（午前中だからこそ）、そこに行ってみたかったのだ。
赤羽駅の東口から歩くとき、駅の構内にデニーズの看板があった。もしやと思って見上げると、ここにもホテルメッツが建っていた。そしてその2階がデニーズだ笑。高円寺と全く同じでデジャブみたいだった。
ディープな飲み屋商店街とホテルメッツとデニーズは、僕みたいなやつには、どうやら便利な組み合わせらしい。

さて話は脱線するが、僕はここで「ビジネスホテル」と書いた。その方が読者に話が通じるからだ。一般的な解釈では、ビジネスホテルとはシングルルーム主体で、ビジネスマン向けで安くて狭いホテル、というイメージかな。
昔からそう呼ばれているのだが、これは日本独特の（日本だけの）呼称らしい。つまり名前がおかしいように思う。だって泊まっているビジネスマンは実は少なくて、いわゆる観光やレジャーの客が圧倒的に多いからね笑。まぁ当時の僕もそうかもしれない。
要するに設備の良し悪しの前に「価格」と「サービスの種類」の違いのことなのだと思う。便利で寝るのに快適なら、上質なサービスは必要ない、そんなことだと思う。観光目的であっても、旅行に節約を求める時や求める人も多いのかもしれないな。
まぁ、寿司が回っていない「回転寿司」と、どこか似ているのかもしれない。業界にとっては回転というコトバがとても大事なのだそうだ。

ちなみに去年の鎌倉旅のとき、僕はメトロポリタン鎌倉というホテルに泊まった。実はこのホテルメッツと同系列の上位モデルだった。ここには直営レストランはない。シングルルームもない。でもサービスは快適だった。おそらくビジネス客を狙わない「観光客のためのホテル」なのだ。
金沢も富山も福井も、最近誕生しているホテルはそんなタイプが多くなってきた。ビジネスマンの出張は日帰りばかりになったから、観光客（レジャー客）の争奪はホテルの生命線ということかな。旅人にとっても選択肢が広がるのは、とてもいいことだ。
さて、ホテルメッツ高円寺は去年の夏に全面リニューアルしたらしい。もしかすると観光客が喜ぶ機能が加わったのかもしれない。でも行きたい日に泊まれない訳だから僕には関係ないハナシなんだけどね笑。