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2022年03月11日

頑張れ受験生

ある雪の日のこと、富山駅の広いコンコースのど真ん中に置かれた3枚のパネルに目が行った。大きく毛筆で「気合」と書かれたパネル、そして横には、必勝ダルマに受験生頑張れと書かれたやつや、合格祈願のメッセージもある。メッセージは「とやまえき」の5文字を使ったいわゆる「タテヨミ」になっていて、近づいて読むと、なかなかの力作だ。どうやら富山駅の職員たちが手作りでこのパネルを作り、コンコースに設置したのだと思う。
受験のために駅から新幹線に乗って、都会へ向かう高校生には、力強い応援に思えるはずだ。もとより、コンコースを歩く地元の中学3年生も、そんな受験生を抱える親たちも、このパネルの前に立ち止まるのだと思う。職員たちは粋なことをやるんだなぁ。金沢駅にもあるのだろうか。すでに受験という行事から遠く離れてしまった僕だが、ちょっと優しい気持ちになる光景だった。

詳しい時期は分からないのだが、何年か前から、おそらく1月上旬、つまりお正月モードが落ち着くころになると、いろんな「受験シーズン」ものが発売される。スナック菓子に代表される業界が、まず仕掛け始めるのだ。おおむね「受験生応援パッケージ」と呼ばれるもので、中身は変わらず、商品名やキャッチフレーズ、一部のデザインや色が変わるだけだ。まぁ「ゲン担ぎ」のようなやつが多いと思う。
勝ちグミ、合格濃厚チョコ、勝ちーズ〇〇、ココ勝ッツサブレ、(カールの)ウカール、ド通ール・・・みんな節操もないし、センスもどうかと思うが、棚やワゴンに大量陳列されると華やかになる。まぁこの時期の風物詩なのは間違いない。コロナ渦で叩かれる外食も、最近はテイクアウトで便乗している。勝つ丼や勝つカレーは、おそらく全国いたるところで販売されていると思う笑。みんな必死なのだ。

通路のワゴンに大量に積まれていたから、僕もこんな「応援パッケージ」商品を買ってみることにした。買ったのは「やきそばVFO」、つまり「U」じゃなくて「勝利のV」なのだ。そして必勝ダルマのイラストの「勝プヌードル」だ。やきそばのソースは、本来「濃い濃い濃厚ソース」なのだが、その表示が「勝利よ来い濃い」になっていたりする笑。
僕の場合は単なる好奇心だが、反抗期の中学3年生を抱える親たちにとっては、初の受験にピリピリしながら、夜食にそっと、カップ焼きそばを作ってやって、ひとときの笑顔を狙うのかもしれない。
でもね、このVFO、パッケージやラベルが違うだけだから、湯切りしてソースをまぜて、いざ食べる直前になると、何のメッセージも見えない、つまりいつものやきそばに見えてしまうのだ。だからお母さん、見せるのならパッケージのときがいいんだよ、そう教えてあげたい。

最近のおきまりだから、僕の高校受験のときを思い出そうとした。でも、相変わらず何~にも思い出さない。中学3年の僕はきっとピリピリしていて「俺にさわるな」のようなオーラを必死に出していたんだろうと思う。カップヌードルは、中学2年のときに世間にデビューしているが、わが家に登場したことはない。もちろんUFOはもっと後だ。
ちなみにこの原稿を書いているのは、今年の公立高校の受験日のことで、新聞には前日の(1日目の)試験問題が掲載されていた。国語と理科と英語の試験だったようだ。原稿のネタにと、試しにやってみることにした。まぁ国語は何とかなるものだ。ホッとした。でも理科はいきなり戸惑った。飛ばして進めた英語は、英文を読む気にならない笑。で、老眼を理由に新聞をたたむことにした。
中学3年生諸君、この試験が人生の全てではない。高校は、学んで遊んで、色んなことにチャレンジして失恋をするところだ。余計なお世話だが、ジジイはそう思う。頑張れ受験生。

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