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2024年09月06日

もんげ~暑い日の新宿散歩

あの〇池栄子演じる軍医のヨウコは、どうやら眼を開けたまま寝るらしい。彼女の眼の演技はいつも凄いのだが、このシーンには爆笑した。眼を開けたまま寝るクセは実は僕も同じだから、ちょっとしたシンパシーもある、でもあんなにパッチリ開くわけじゃないけど笑。

この日の待合せの場所は、なぜか新宿伊勢丹だった。その用事を済ませたら、ちょっと足を伸ばして、珍しく昼の歌舞伎町を歩こうと思っている。そんなことを思い付いたきっかけは、ご想像通り、このドラマだ。
すぐ先に花園神社がある。その横が新宿ゴールデン街、つまり歌舞伎町の東の外れということかな。まだ30代の若造の頃、仕事で歩いたそんな道を再び巡ってみたくなった。元気なら西側のトー横あたりまで向かうつもりだ。
おっさんがトー横へ?、あぁご心配なく、今日は僕の娘と2人で仲良く歩くつもりだ。歌舞伎町の街角の古い居酒屋とか、やさぐれた店の昼営業に潜り込んで、冷えたビールを飲もうぜ、それが散歩の合言葉だった。
娘と言っても、もう40代だ。彼女が学生の頃に、新宿に呼び出して2人で飲んだことがある。まぁそんなことを思い出したりする。

さて歌舞伎町ぶらぶら散歩の始まりだ。でも外に出て驚いた。もんげ~暑い。ここへは地下鉄で来たから気付かなかったのだが外の陽射しはMaxだ。太陽は真上だから日陰もない。すぐに汗だくになった。
伊勢丹から北へ向かい、靖国通りをまたぐと、すぐに花園神社の境内に出る。比較的新しいのかな?きれいな社殿だ。新宿の街の総鎮守だと思う。世代的に言えば唐十郎の紅テントで有名かな。この神社はきっと芸術に理解があったのだと思う。
芸術と言えば、本殿の横を抜けると、そこは作家や文化人の飲み屋街、あの新宿ゴールデン街だ。密集する小さな店をハシゴ酒して楽しむのが流儀かな。まぁどっちにしても夜の街として有名だから今では観光名所らしい。
当時の僕は、日中もこの辺りを歩く機会が多かったから、この街の「昼の姿」も知っている。それは想像通りで「いろんな残骸」が残ってるような景色だった。

でも、僕が知っている当時の景色と違って、今ではとてもきれいだし「あの異臭」もない笑。木造の長屋も、様々な看板やちょうちんも変わらないが、たぶん健全な街になったんだと思う。新宿浄化作戦は何度もあったと思うが、住民や店主の努力のたまものだ。
意外に知られていないが、新宿区役所とゴールデン街の間に「四季の路」と言われる緑豊かな散策路がある。怪しいゴールデン街とのコントラストが面白いのだが、昼なのに今日もやっぱり酔っぱらいが座っていた笑。それだけは変わらないようだ。
酔いつぶれている人はそっとしておく(休憩中なのだ)。店の外に人が並んだら、さっさと席を立って譲る。ぼったくり店に入らないように、店主に教えてもらった店だけハシゴするのが安全。そんなこの街の「暗黙のルール」は今も生きているらしい。
そうえいばドラマのエンディングのモノクロ映像に、花園神社やゴールデン街が出てくる。そこに登場する人物たちが正装(タキシードやドレス)なのはどうしてなのかな?ちょっと気になっている笑。
●ゴールデン街ぶらりアルバム7枚(タップして右へ)

聖まごころ病院はどこにある
次は、炎天下の靖国通りを歩いて西のセントラルロードへやってきた。今ならゴジラロードと呼ばれる道だ。その突き当りに「ゴジラヘッド」がある。シネコンビルの上に設置されたゴジラ頭の大型オブジェの愛称らしい。ここがTOHOシネマズ(新宿東宝ビル)、いわゆる「トー横」の語源となったビルだ。
一番驚いたのは、とにかく道も、並ぶビルもそのテナントも、全てが新しくなっていて、僕たちが狙っていた「やさぐれた店」など、今はもう、どこにもないことだ。ある意味がっかりして、どっと疲れてしまった。ビールが飲みたいが止めた方がよさそうだ。
ドラマの「聖まごころ病院」はもとより、昔の「らしい新宿」は、この辺りにはありそうにない笑。まぁ、昼と夜のギャップが大きくて、夜になると景色が一変するのかもしれないが、そんな想像力も働かない景色だ。
この先には、キラキラのエンタメ天国・東急歌舞伎町タワーがあるし、その先には「悪の匂い」がしそうな大久保公園もあるのだが、意気消沈した僕たちは新宿を後にすることにした。
帰り道、靖国通りの広い横断歩道の向こうから大量の人間が一斉に歩いてくる。それは新宿東口から延々と続く若い人たちの波だった。もしかすると渋谷スクランブルより凄いかもしれない。でも、こんな健全な景色に「騙されちゃダメだよ」、そうクドカンが言ってる気もする。
●トー横から高円寺ぶらりアルバム7枚(タップして右へ)

2人でようやく乾杯したのは純情商店街(高円寺)の一軒の店だった。プファ~っとビールを一気飲みだ。そこは、見た目が安っぽい台湾屋台料理の店(まぁ居酒屋かな)で、まさに「やさぐれた店」に見えたから、吸い込まれるように入った。
ニラ饅頭や焼き小籠包をつつきながら台湾ビールを飲んでいると、この「変な空気」に馴染んでいく。つまみの味の良し悪しはあまり関係ない。そもそも「旨いなぁ」と楽しむタイプの店ではなさそうだ。かつての新宿もそうだったが、これが今の高円寺らしいってことかなぁ。
その3~4時間後のこと(もう20時頃だったと思う)、徐々に動きがスローモーになった僕のスイッチがついに切れて、イスに座ったまま動けなくなった笑。まぁ意識はハッキリしてるから、単なる電池切れだ。はしゃぎ過ぎたかな、もしかすると軽い熱中症だったかもしれない。
これが重篤な症状で、救急車で病院に運ばれるなら「聖まごころ病院」が面白いかもなぁ。「どんな命もぜって~助ける」そんな彼女のセリフを妄想したりする。

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