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2024年11月07日

散歩の途中で「栃木弁の紅葉ガイドさん」

秋の日光ぶらり旅その3
日光の紅葉は、どうやらまだ先のようなのだが、奥日光の手前の「竜頭の滝」だけが紅葉したらしい。ずいぶん遠いのだが、今日はそこまで足を伸ばそうと思う。ダメなら華厳の滝だけかな、まぁ紅葉はダメでも50年前の痕跡を見つけたい。
実は昨日の夜、宿のコンシェルジュデスクに宿題を出してあった。それはタクシーのことだ。例年のこの時期はいわゆる紅葉シーズンで、華厳の滝や中禅寺湖周辺へ向かう「いろは坂」の大渋滞が有名だ。通常なら片道30分ほどなのに、3~4時間かかってしまうこともあるらしい。山中の道路なので迂回路もない。
なので、タクシー会社は臨戦態勢となる。つまり「予約できない」とか「中禅寺湖方面はお断りする」という期間らしい。ちょっと驚いたが、事情を詳しく知るにつけ、な~るほど~と納得するしかなかった。レンタカーも路線バスも渋滞は同じだから、万事休すってことかもしれない笑。
せめて華厳の滝まで行けないか、という僕の要望への即答ができなかった宿側は、時間をください、ということになった、それが昨夜の宿題だった。

2日目の朝の日光は、雨が上がって青空が見えた。予報によれば崩れるのは午後かららしい。ちょっとついてるかもしれない。あとは「足」の問題だけだ。ダメなら、朝一番で路線バスかなぁ。
朝食の席に着くなり、男性スタッフが「宿題の回答」を持ってきてくれた。どうやらタクシーが確保できて、予定時刻にやってくるらしい。受けてくれる1台が見つかったのだ。まずは、よっしゃーってことだ。
さらに、回答には彼の「おすすめ」が加わっていた。確保したのはタクシー会社のそれではなく、個人の?観光タクシーらしい。ゆえに午前中の3時間の貸し切りにするのがいい、つまりベストなスポットをプロのガイド付きで、順に自由に回れる、そんなことだった。
それはいい、と即答することにした。食事の間にタクシーとの交渉が終わり、彼のアイデアで楽しむことになった。このスタッフの彼には、はなまるをあげよう笑。

タクシーは定刻通りにやってきた。運転席から降りておじぎするのは、年配の男性ガイドさんだった。制服キリリの礼儀正しいスタイルではなく、地元っぽい優しいおじさんだ。その栃木弁のイントネーションは独特で、僕たちには笑みが浮かんで、場の空気がすぐに和んだ。
おじさんガイドは、まず僕たちの希望を聞く。リベンジの華厳の滝、その先の竜頭の滝の紅葉、そして13時の電車に間に合うこと、まぁこれくらいしかない。あとはきれいな写真を取りたいことかなぁ。わかりました、お任せください。そう言ってタクシーは滑るように走りだした。
タクシーはすぐに「いろは坂」に入った。いくつも続く急カーブを右に左に折れながら上り専用の坂道を登る。報道される紅葉の空撮くらいしか知らないのだが、走る車窓から見えるのは、まだまだ緑のトンネルだった。だからかなぁ、まったく混んでない笑。
おじさんガイドは嬉しそうだった。なぜなら全く渋滞していないから、らしい。つまりこれなら、僕たちをたくさんのスポットに案内できるからだという。なるほど、渋滞の時は時間が限られてしまうから行き先の選択肢が減ってしまうんだね。
彼の作戦はこうだ。このまま一気に奥日光に向けて走る。その途中で各スポットの紅葉の具合を確認しておいて、帰路に「ここぞ」という場所でゆっくり時間をとる、まぁそんなことかな。これがズバリ的中する、さすがだ。
さて、地名を書いても???だから説明は後にして、まずはこの日に撮った写真をアルバムで紹介しようと思う(タップして右へ)
戦場ヶ原~竜頭の滝~中禅寺湖~華厳の滝

聞けばなるほどと思うのだが、木々の種類ごとに紅葉の色が違う。栃木弁のおじさんガイドは、そんなことにとても詳しい。知識は名所旧跡の由来や伝承はもちろん、山頂から見える富士山をはじめとした遠くの山々のハナシまで実に多彩だった。
戦場ヶ原は、古の神々が戦った場所らしい。標高1400mに広がる湿地帯だ。有名な「草紅葉」は見れなかったが、駐車場側の木々が色付き始めでキレイだったりする。
ここでUターンして竜頭の滝へ向かうのだが、その途中、小さな橋のたもとで僕たちだけ車を降ろされる。
ここから渓流沿いに散策路(長い坂道や階段)が続いていて、竜頭の滝へと歩いて降りていくのだ。なるほど、この路の紅葉がとても素晴らしかった。実は、タクシーはず~っと下の竜頭の滝の駐車場で待っててくれる。運転手は見れないわけだから、レンタカーではこんな楽しみ方はできないってことだ。
中禅寺湖は、反対側の湖畔の紅葉の方がきれいだからと、そっちへ向かった。神の山・男体山を背景にした一枚の絵のような景色だ。ちなみに麓にある二荒山神社の中宮祠から男体山頂上の「奥宮」へ登ることができるらしい。でも2,486mの登山だから僕たちには縁はないけど笑。
最後の華厳の滝は、昔ながらの観光地だった。滝つぼへのエレベーターはとても昭和っぽい。ちなみに、50年前は「ここから見たのかも」という場所も見つけた。当時は滝つぼへは降りなかったのかもしれない。

華厳の滝はどこよりも混雑していた。絵にかいたような観光地だった。時刻はとっくに昼を過ぎたから観光客がどっと増えたのだろう。途中の渋滞が始まったのかもしれない。そろそろ戻りましょうか、おじさんガイドの栃木弁はどこまでも優しく聞こえる。
下り専用のいろは坂を下りていくと、赤も黄色もどんどん少なくなっていく。そろそろ市街地かな?というところで、なぜかタクシーは迂回して高速道路に入った。市街地の渋滞を避けたのだ。ひと区間だけ使って、降りるとすぐに日光駅だった。
おじさんにお礼を言って別れ、駅舎に入ると、ちょうど列車が入線してくる時刻だった。ドンピシャだ。おじさんガイドの技は最後まですごいのだ。
彼のお陰で楽しい旅になった。この栃木弁のタクシーガイドさんも、もちろん「はなまる」だな。

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