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2024年11月01日

散歩の途中で「霧の世界遺産」

秋の日光ぶらり旅その2
さぁ日光山内(さんない)を歩こう
簡単に言ってしまえば、この世界遺産「日光の社寺」はちょっとした山の中にある。だから訪ねるには、坂道を延々と登っていくことになる。距離としてはさほどでもないのだが、年寄りに坂道は辛い。しかも今日は雨、まるで霧の中を歩く感じだ。
いわゆるドライブで立ち寄る人や、団体バスでやってくる人たちは、たぶん日光東照宮だけが目的地なんだと思う。東照宮の近くに大きな駐車場もあるから便利かもね(満車の時も多いらしいけど)。
でも本格的に訪ねるのなら、おすすめルートというのがあるらしい。神橋(しんきょう)~日光山輪王寺(りんのうじ)~日光東照宮~輪王寺大猷院(だいゆういん)~二荒山(ふたらさん)神社の順だ。まぁ下界からだんだん森の中へ入っていくルートだ。

神橋(しんきょう)は、エリアの入り口にある赤い橋で、神域への結界のシンボルみたいな存在かな。東照宮は家康さんの霊廟、大猷院(だいゆういん)は家光さんの霊廟だ。ちなみに東照宮建立のプロデューサーは家康さんの側近だった天海さんで、当時はここ輪王寺の貫主だったようだ。
そもそも日光は、8世紀末に勝道上人によって開山し、山岳信仰の聖地(二荒山神社はその中心)として崇拝されていたらしい。その後17世紀はじめに日光東照宮(家康さんの霊廟)が建立されると、その門前町として栄え、一躍有名な景勝地になっていったそうだ。
まぁそんな諸説を予習した僕なのだが、雨と霧の攻撃に耐えられず、タクシーで一番奥の二荒山神社まで直行することにした。つまりショートカットだ。ここからルートを逆に進む(坂道をくだる)つもりだから、ご利益?は薄くなるかもなぁ笑。

二荒山神社~大猷院
雨が強くなってきて少々気落ちしながら、杉の巨木に囲まれた二荒山神社の前に立った。霧にむせぶ神社だった。資料によれば縁結びや家庭円満のご利益スポットとなっていて、素朴な小さな神社に見える。
でも実は、近くの男体山という高い山(2,486m)の頂上に「奥宮」がある由緒ある神社だった。ここ、つまり世界遺産エリアの中にあるのは、その「本社」だけらしい。
修験道の聖地として古い歴史があって、その境内は伊勢神宮に次ぐ広さを持つのだそうだ。要するに男体山ほかの山々も、中禅寺湖も、華厳の滝も、ここのシンボルの神橋も、その境内らしい。目の前にあるのは静かな神社なのだが、その神域はめちゃ広いのだ。そう言われると、木々や苔むした灯篭にも歴史や神秘を感じてしまう。
その隣に、大猷院(だいゆういん)つまり家光さんの霊廟がある。仁王門、二天門、夜叉門、唐門、皇嘉門と、5つの豪華な門が墓所まで続く。どれもきらびやかだが、これでも家康さんの東照宮より控え目に作られているそうだ。
色んな逸話を聞くにつけ、この孫は家康おじいちゃんをとても尊敬していたんだろうなぁ、とホームドラマのような妄想をしてしまう笑。
●画像アルバム10枚(タップして右へ)

上新道~日光東照宮~輪王寺
上新道というのは有名な杉並木で、ここにもご利益があるらしい。今風に言えばパワースポットということかな。そんな端っこに茶店があったのでひと息つくことにした。
後から気づくのだが、広い日光山内には、こんな休憩処が全くない。たぶんここ一軒だけなのかもしれない。他の施設のほとんどは山内の「周囲」にしかないのだと思う。ちなみに食べた「おしるこ」は赤だしみたいな色で、不思議な味がした笑。
さて、メインイベントの日光東照宮だが、知っている以上の驚きがあまりなかった(ごめんなさい)。雨も気になるし、とにかく人が多くてぐったりだ。申し訳ないが団体客向けのザ・観光地に見えてしまった。
ただ驚いたのはインバウンドの(欧米系の)人たちが真面目に学んでいる姿だった。ぎこちないないが礼儀正しくて、説明看板を(スマホを使って)いちいち翻訳しながら読んでる人もいた。
異国の文化へのリスペクトはやはり大事だと、ちょっと襟を正した。そういえば最近のテレビ報道はインバウンドへの悪口ばかりで、疑問を感じることが多いよなぁ。
●画像アルバム10枚(タップして右へ)

まぁそんなこともあったから、最後の輪王寺にも同じような違和感を持ってしまった。境内の伽藍はあまりにも新しくてキラキラしていて、もう「おなかが一杯になった」気分で、ほぼ素通りすることにした。
これで2時間ほどの散策は終了だ、宿に戻ってゆっくりしよう。まだ止まない雨の中を歩いて帰るしかないのかなぁ、そう思って坂を下る途中、なんと空車のタクシーを見つけた。ちょっとだけご利益を感じた笑。

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