toggle
2023年12月21日

本の時間「その名はフランシス・アルバート」

実は、この1冊は、まだ読み終えていない。たいした理由はないのだが、この本がエッセイ集だからだ。そもそも長くて内容が重い長編小説ばかりを続けて読んだ後だったから、気分転換に買ったものだ。
何よりタイトルに惹かれた。ちらちらページをめくったときに、面白そうに感じた。そういえば、いつだったか帝国ホテルのBARの特集記事に、彼女の対談が載ってたこと(これがとても印象深い)を思い出したりした。まぁ大人の女性の視点というのは興味深い。
買って、何章か読んだのだが、次の新しい長編小説を見つけてしまい、このエッセイを楽しむのは、しばらく中断したままになっている。

読み終えてないのに、ここに登場したのには訳がある。先日の忘年会の席上で、このエッセイに出てくる「ネタ」を紹介したからだ。正しくはエッセイの内容ではなく、ある章に登場した「カクテル」を、忘年会の仲間たちに、僕が作って飲ませたのだ笑。
このエッセイの作者は、阿川S和子さんで、雑誌クロWッサンに連載されていた彼女の「食にまつわるエッセイ」のまとめ本だ。タイトルの「残る〇食欲」というのは連載の通しタイトルらしい。
彼女のことはテレビで知っていた。軽妙なトークに知性とセンスがあって、その居ずまいがいい感じの女性だ。ある番組に出てくる猛獣のような男性論客たちを、見事に捌くアシスタント姿(実は影のMCかな)が印象的だった。そんな彼女のエッセイを読むのはもちろん初めてだった。どれも彼女の身の回りの「食」にまつわる話題なのだが、これがなかなか面白い。

このカクテルの名前は「フランシス・アルバート」という、間違いなく「人の名前」で、実は日本生まれのカクテルだ。アメリカを代表する往年の大歌手「F」をイメージして誕生したのだが、カクテル名としては、あえて彼の本名の方を使うことにしたらしい。この大歌手Fさんは、たぶん誰でも知っている。
レシピは、アルコール度数55度のバーボンと、度数47度のドライジンを1:1の割合で使うものだ。つまり強烈なカクテルってことだ。しかも使う酒の銘柄が指定されている。バーボンはワイルドターキー、ジンはタンカレーでなければならない笑。詳しいエピソードは、彼女のエッセイにあるから、ここに詳しくは(ネタバレだから)書けないのだが、「フランシスアルバート wiki 」で検索すると、レシピも名前の由来も、彼女のエピソードもちゃんと出てくる。
僕の自宅には、たまたまワイルドターキーとタンカレーがあったから、読んですぐに作って飲んでみた。まぁ想像通り強烈なのだが、なぜかオンザロック(特にソーダのハーフロック)にすると抜群に旨い。

その昔、悪酔いしたり二日酔いになるのは「ちゃんぽん」したからだと言われた。でも酒と上手に付き合うようになると、それはちゃんぽんのせいではなく、単に酒量の問題だと分かるようになる。そもそもカクテルってのは、ちゃんぽんだから、そんなことで悪酔いするはずもない笑。このエッセイでも、彼女は(こんな強烈なカクテルなのに)悪酔いしない、と書いている。
あの忘年会は「酒の持ち込み」ってやつを最大限に使って遊ぼう、と考えた。ワインや日本酒だけではなく、僕にはカクテルの企みがあったから、この日は自宅のワイルドターキーを持ち込んだ(タンカレーは店のやつを借りた)。みんなは単に懐かしいバーボンの持ち込みだと思っただろうが、僕がこのカクテルを狙っていたからだ笑。
この強烈なやつを飲んだ仲間たちの翌朝のことは、怖くて、まだ聞いていない笑。でも、二日酔いだとしたら、カクテルのせいではなく、ただの飲みすぎだよ、と答えようと思っている。
さて、残りの章も読んでしまおう。このエッセイのシリーズをあと2冊見つけたから、また買っておくつもりだ。

Other information