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2023年08月18日

夏のドライブ「おろし蕎麦、黒龍、温泉街」

まだ11時だというのに、駐車場はすでに一杯で、店の前はたくさんの人であふれていた。開店時刻は11時30分だから、と余裕をかましていた僕たちは、少し離れた場所に車を置いて、歩いて戻る羽目になった。福井の「けんぞう蕎麦」は今でもそんな繁盛店だ。
中をのぞいて、玄関先の順番表に名前を書いて、待つことにした。歩いてきたからもう汗だくなのだが、駐車場の脇のベンチも、ひたすら暑い笑。店前の狭い道路は、駐車場待ちの車が列になっている。暑いから、外で待つより車の中の方が快適かもしれない。
そういえば、同級生のみんなと食べに来た日も、こんな暑い日だったと思い出した。調べてみたら、それは2017年のことで、B面ドライブ企画の第1回だった。
待つこと1時間、ようやく蕎麦にありついた。店は6年前とまったく変わらない。あの古いテーブルも、ペチャンコの座布団も、たくさんの有名人のサインも、6年前と同じだ。ちなみに僕が座った席も、あの日と同じ場所だった。
あの辛味大根の「つけだれ」の辛さも、蕎麦の旨さも、あの日のままだし、蕎麦ソフトは、あいかわらず「きな粉」の味に思えた笑。唯一違っていたのは値段かなぁ、でもまぁこれは仕方ない。これからもこの雰囲気のままであってほしい店だ。
●けんぞう蕎麦のアルバム(タップして右へ)

この日のドライブの目的地は、ESHIKOTO(えしこと)という名前の、できたばかりの施設だった。けんぞう蕎麦から走ると、九頭竜川の反対側の「鮎街道」にある。まぁ良く言えば、九頭竜川に面した自然を感じる場所だ。
ここは、あの黒龍酒造が作ったもので、地元メディアでは観光施設と呼ばれている。でも20歳以上しか入れない特殊な施設だ。立派な公式サイト(eshikoto.com)もあるのだが、たぶん見てもよく分からないと思う笑。
黒龍さんは今、いわゆるスパークリング日本酒(業界ではawa酒と呼ぶ)のジャンルに取り組み始めた。ESHIKOTOというのは、そのブランド名のようだ。この施設の名前を同じにしたのは、そのPRのためかもしれない。ちなみに「永=とこしえ」を逆さに読んでるのだと思う。
要するにここは(今のところ)、製造したawa酒の貯蔵セラー、カフェ&レストラン、酒ショップが入居している施設ということだ。オープンした施設の敷地は1万坪もあるらしいが、実は3万坪のうちの一部にしか過ぎず、今後は醸造施設やオーベルジュが建設されるのだそうだ。
僕たちは、敷地やショップをプラプラしながら、ここのレストランでスイーツと珈琲を楽しんで帰ってきた。ちなみに食べたロールケーキは「けんぞう蕎麦」のそば茶を練り込んだ生地らしい。レストランだから、もちろん黒龍も飲める。グラスで数種類ラインナップされていた。
ショップにも、ここだけの黒龍限定品が並んでいて、買うだけでなくテイスティングもできるらしい。まぁオープンしたばかりだから、人によるソフト面は未熟だが、その建築や空間デザイン、流れる美意識は素晴らしい。
●ESHIKOTOのアルバム(タップして右へ)

6年前のみんなとのドライブ企画の経路をなぞった訳ではないのだが、帰路のドライブには山越えの道を選んだ。あの竹田の油揚げ「谷口屋」に立ち寄り、山中温泉へと向かった。
山中温泉の街は、両サイドの歩道が整備されていて、やっぱり雰囲気がいいのだが、誰も歩いていない。そろそろ宿のチェックインが始まる時刻のはずだが、土曜日なのに元気はないように感じた。静かだから、こんな猛暑でなければ鶴仙渓を歩いたかもしれないが、とてもそんな気温じゃない笑。
カーナビを無視して、道を外れ山代温泉に向かった。なじみの料亭の前を通り、復活したといわれる名旅館を横目でみながら街を流した。昔のままで興味を引く施設もないから、そのまま走って北陸線を越え、山を上がり、今度は片山津温泉だ。
中心街から少し離れたあたりに、地元では有名な商業施設(まぁレストン集積かな)がある。ここのイタリアンやカフェが大好きで、かつてはドライブとか、山中山代の温泉宿に泊まる際には、必ず寄った場所だ。でももうずいぶんご無沙汰している。
店は、そんな昔のまま、時間が止まったような佇まいだ。店の前にはテラス席やベンチが並んでいて気持ちがいい景色のはずだが、今では植込みの影になって静かな感じだ。珈琲でも飲もうか、と考えていたのだが、タイムアップを理由に帰ることにした。
今の温泉街は・・・などとひとくくりに論じるつもりはないのだが、僕はこんな年齢だから、往時の活況を知っている分だけ、なにやらとても切ない気持ちになってしまう。

けんぞう蕎麦 kenzousoba.com
えしこと eshikoto.com

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