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2026年07月03日

ただ食べたくて「せせらぎ通りのアルデンテ」

へそ曲がりな老人のたわごと
あの五郎さんはインテリア系のオシゴトで今日も顧客に会いに行く。そんな五郎さんは、ひと仕事を終えた直後、帰路の道端で立ち止まり、口をぽかんと開けて、遠くをボーっと見つめる。撮影カメラは、そんな彼の困ったような表情をアップで捕らえる。
目じりが下がり、眉間にシワが寄っった表情で「腹が 減った・・・」と、ひと言つぶやくのだ笑。そして「よし、どこか探そう」と、近所の食べ物屋を早足で探し始める。
ドラマ(孤独のグルメ)の冒頭シーンはいつもそんな感じだ。

この日、南町の某銀行での大事な手続きを無事終えて、僕たちは交差点に立っていた。腹が減ったのは五郎さんと同じだ。よし、どこか探そう。けっしてドラマの真似をしたわけではないのだが、向かったのは「せせらぎ通り」だった。
そこに「素敵なテラスで食べるランチ?」ってやつがあった気がする。カフェだったかなぁ?、記憶はあいまいだが、歩けばきっと見つかるだろう。ダメなら別のやつを探すだけだ。
ちなみに、気安く「せせらぎ通り」と書いているが、実はどこからどこまでの区間なのかは知らない。僕にとっては鞍月用水に沿った「あの道」のことだ。
尾山神社を背にして横断歩道を渡り、ゆるやかな坂道を下っていったら緑地に出た。玉川公園だと思う。目の前に流れているのが鞍月用水かな?、左手の蔦に覆われてるのが「ひらみぱん」だ。ということは、このあたりが「せせらぎ通りの起点」ってことだと思う

とはいえ、店名も知らないそんなカフェ探しは、すぐに行き詰った笑。カフェ以外なら何軒かあるものの、なかなか見当たらないまま歩き続け、終着地点?の東急ホテル下の三差路近くまで来てしまった。
道の途中の縁切り神社(貴船明神)とか、サンニコラや魚半なんかを見つけて、おもわず昔話に花が咲いてしまったから、見落としたに違いない。
もはや何でもよくなった。でも道を戻る気力はない。で、とりあえず武家屋敷の方へ向かった。でもやっぱり「ピンとくる店」はないままい1周してしまった。やっぱり五郎さんのような嗅覚は持ち合わせていないってことだ笑。
そんなこんなの、散歩のような時間が流れ、疲れた挙句、けっきょく目の前のメニューボードに惹かれて、一軒のイタリアンに入ることにした。
そこはかつて、ラ・ベットラ(あの落合務シェフプロデュースのイタリアン)だった場所だ。それなりのファンだった僕は何度か利用したことがあった。クローズは残念な結果だが、それはそれで仕方ない。
クローズした後も、同じオーナー会社がブランド名を変えて営業しているようだ。違うプロデューサーが仕掛ける新しいイタリアンってことらしい。何かの巡りあわせかもなぁ、と思って入ってみることにした。

ランチタイムのメニューは1種類のコースしかないのかな?、メイン格のパスタが選択できるようになっていた。サービスの女性スタッフはなかなかの手練れで、そつなく上手に対応してくれた。特に彼女のメニュー説明は秀逸で、どれも美味しそうに聞こえる笑。
前菜のブルスケッタ(甘海老とからすみクリーム)はなかなか絶品だった(使うバゲットは野々市の人気パン屋NiORのやつ)。
スタートの料理が旨いとコースの期待が膨らむものだ。ゴールドラッシュ(甘いとうもろこし)の冷製スープも、蜂蜜ビネガーで仕上げたサラダも上出来だった。
選んでシェアした2種類のパスタもそれなりに美味しかった。基本の茹で方(アルデンテ)をちゃんと守ったお手本のような仕上がりだった。かつてのイタ飯ブーム以降の日本ではアルデンテは正統派の証だ。そんなアルデンテ神話はここでも健在ってことかな。
そして何よりドルチェ(チェリーのブランマンジェ)がよかった。隠し味のように使われる酒粕が面白いし、アクセントのピスタチオとミントのセンスがいいと思った。

僕が選択したパスタの名前が面白い。「ローマが生んだ食いしん坊のパスタ・ゾッゾーネ」と書いてあった。いわく、アマトリチャーナとカルボナーラを組み合わせたような、両方のいいとこどりをしたような(ローマ独特の)パスタらしい。
つまり、フツーの店なら単に「トマトクリーム」と言ってしまいそうなところだが、彼女がそんな大事なことをちゃんと伝えてくれたわけだ。そのソースはバツグンに旨くて、僕はフォカッチャをお替りして、残ったソースを全部食べつくした笑。
使っているパスタはリガトーニ、つまり太くて大きめのショートパスタだ。さらにこの店では、ブッラータ(モッツァレラ+生クリーム)を追加して一緒に食べるのがおすすめらしい(これは旨そうだ)。
ちなみにこのリガトーニもちゃんとアルデンテだった。プロのシェフの考えだから何の違和感もないのだが、もし茹で方の希望が叶えられるのなら、僕ばもう少しボイル時間を長くしてほしかったかな(アルデンテではなくベンコッティ)。
アルデンテ神話を否定するわけではないのだが、この美味しいソースでリガトーニを楽しむのなら、そっちがいいよなぁ、と思った。まぁ、へそ曲がりな老人のたわごとなんだけどね。

さて、再び五郎さんのことを考えた。もちろんこの店はロケ地にならないのだろうが、彼が(どこかの街の小さな店で)このパスタに出会ったら、彼はどう楽しむのだろうか、そんな妄想をしてみた。
彼のことだから、きっとライスを注文して、余ったソースを白いご飯にかけて、ワシワシ平らげる気もする。食いしん坊にとって、旨いソースは最後まで堪能するはずなのだ笑。
ごちそうさまでした。

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