ただ食べたくて「六本木で串カツ」
串カツにハマった。そもそも、そんなに興味はなかったのだが、大阪の新天地での串カツとの出会いや、あの地域の、あの横丁の独特の空気感が影響しているのだと思う。そんな体験から3週間後、僕は六本木ヒルズにいた。別件で東京に行くことになっていた僕は、東京でも串カツを食べたくなってしまい、串カツ店を探していたのだ。しかし探しあてたこの店は、実は大阪出身だったのだが・・・(笑)。
ウエストウォーク5階のレストランフロアは大改装されていて、出店するレストランが大きく入れ替わっていた。金沢の有名寿司店「みつ川」も、遅れてオープンするらしい。グランドハイアットへの連絡通路の脇で工事していた。
大阪出身の串カツ店、とは言っても、ここは趣が違っていて、むしろ高級イメージの店だった。玄関先に大きな暖簾が下がっていて、店内が見えるようで見えない。照明はとてもアンバーで薄暗く、間接照明で演出するようなタイプだ。うん、ザ・六本木という感じだな。
カウンターに案内され、おすすめのミニコースを注文することにした。昼も夜も同じメニューのようだ。高級店っぽく、テーブル・セッティングが始まった。独特の形をした真っ白のプレートが出された、そこにソースとか、胡麻タレとか、辛子や塩を並べて、味わいを変えるようだ。
さらに、これまた白い食器に入った野菜スティックが出てきた、サラダみたいな位置づけで、お替りできるらしい。ちなみに暗い照明で、食器はほとんど白、つまりバブル全盛期のダイニングの常套手段にも思えてしまう(笑)。六本木というコトバがそう思わせるのだろうか。
串カツはコース仕立てで、原則1本づつ出てくる。それをアツアツのうちに好みの味で食べるということらしいが、お薦めの食べ方がある訳ではない、自由に楽しめということかな?けっこう自由だ。串カツはどれも工夫されていて、細かなシゴトがされ、ひとつひとつが完成された料理になっていた、さすがだ。中には、揚げてない串かつ?や、串がない串カツ?もあって面白かった。高級感は、けっして嫌いなわけではないが、僕が好きになった串カツは、あのジャンジャン横丁のやつなので、とても違和感がある。まぁどれも美味しいので、これはこれで良しとしようか。六本木で食事すると、カッコつけたくなるから、それなりに楽しい。
あとから知ったことだが、この店の内装設計は有名なGというデザイン事務所だった。代表の某氏は、強いデザイン力で知られているのだが、宝塚出身の某大物女優のご主人としても有名なヒトだ。この店の大阪法善寺本店も別の意味で存在感がある店だ。27期のみんなと行ってみたい雰囲気だった。大阪は庶民的な店ばかりだ、などと思い込みは良くないな。たしかに僕の大阪体験の中には、とんでもないバブリーな店もあったことを思い出していた。
後日のこと、京都のホテルを探していて、たまたま、このデザイン事務所が設計したホテルを見つけた。高級感が漂っていてカッコいい。しかしカプセルホテルだった(笑)。そんな時代だなあ。
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