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2019年08月16日

下町の商店街は元気だ

イイマツガイ、という言葉がある。糸井重里の「ほぼ日刊イトイ新聞」によれば、この新聞の読者から投稿・応募された恥ずかしい「言いまちがい」を「言いまつがい」と称し、それを皆で共有し楽しむコンテンツとして誕生した、とある。 読んでみると、クスっと小さく笑えて幸せな気分になる。せっかちな僕にはイイマツガイが多いのだが、年齢とともに、言い間違えたことすら自覚できないようになった気がする(笑)。言い間違いだけでなく、誤変換や読み間違いも、多発している。ちなみに、読み間違い、とは少し違うが、ウコンのチカラ、という商品の名前が、ウ●コのチカラ、に見えてしまうのは、僕だけだろうか(笑)。

ある日のこと、巣鴨の駅に降りた。今日はこれから巣鴨、日暮里、鶯谷を散策するつもりだ。巣鴨には27期同級生のN川くんが単身赴任で住んでいて、街のことを話してくれたのがきっかけだった。さっそく有名な地蔵通り商店街へと向かった。商店街は想像以上に立派で道幅も広かった。お年寄りの原宿と呼ばれているようだが、土曜日だったからか、若い人たちであふれていた。若い人たちは巣鴨で遊ぶことを「ガモる」というらしい。彼らも「巣鴨の妖精よっちゃん」に会おうと思っているのかもしれない(笑)。
N川くんが教えてくれた通り、商店街のあちらこちらの店頭に「赤パンツ」が並んでいる。ここまでいくと単なるお年寄りの必需品ではなく、町おこしの共通アイテムに見えてくる(笑)。商店街も、あの「とげぬき地蔵」で有名な寺の境内も若い人ばかりで、お年寄りの姿が見えない、と思っていたのだが、駅前のスターバックスをのぞいて驚いた。ほぼお年寄りで満席だった。巣鴨のお年寄りは、スタバに原宿を重ねているのだろうか。

次は日暮里に降りた。去年もほぼ同じ時期に、この駅から谷根千(谷中、根津、千駄木)をブラブラ歩いたことがある。グーグルマップが上手に使えなくて、迷子になり、谷中霊園をさまよった苦い経験がある(笑)。夕焼けダンダン(という愛称の階段)を降りて谷中銀座商店街へ向かった。今日の昼ごはんは、ここで食べ歩きだ。狭い道路はもちろん歩行者専用で、人であふれかえっている。あちこちの小さな店に長い行列が付いている。歩いている人は誰もが何かを片手に食べ歩きしている。この商店街を楽しむスタイルなんだろう。
旨そうなコロッケを見つけて並ぶことにした。たくさんの種類があって目移りする。結局、コロッケはフツーだったが、揚げたてのメンチカツは絶品だった。商店の人たちも皆、商売上手で看板やメニューの書き方、見せ方がプロっぽい(笑)。そそる案内板に誘われて、小さな路地裏のタコ焼きを見つけた。焼いているのを一皿買って頬張ったのだが、味はう~ん、だった。この商店街の商品力のバロメータは、行列の長さなんだと学ぶことになった(笑)。

鶯谷には家族の思い出があった。30年以上昔の記憶をたどりながら、亡くなった叔母が住んでいた木造3階建ての長屋を探した。街は大きく変貌し当時の面影はないのだが、切れ切れの記憶を頼りに歩いた。細い路地を右に左に歩き、ようやく見つかった家はおしゃれにリフォームされ、何かの事務所になっていた。遠い昔、この家の前や小路には、たくさんの鉢植えが並んでいたことや、ここから上野動物園へ歩いて向かったことを思い出していた。
翌日、集まったみんなに、この日のことを話した。いい話のはずなのに、みんなは、あきれた表情で視線が冷たい。どうやら、とげぬき地蔵のことを「骨抜き地蔵」と何度も言い間違えていたかららしい。ジジイのイイマツガイでは笑えないから、幸せな気分には、なれないな(笑)。

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