後楽園球場と東京ドーム
かつて、フジテレビ系には「プロ野球ニュース」というお化け番組があった。打倒11PMでスタートしたいう噂を聞いたことがある。野球中継は日本テレビの巨人戦が常識だった時代に、12球団の全試合をまんべんなく扱うことや、それぞれ本物の解説者が付くことなど、当時とすれば画期的な試みだったらしい。前日の巨人戦の結果が、職場のフツーの会話だった時代は終わり、巨人以外の好きなチームがあることが当たり前になっていった。キャスターの佐々木信也の解説や、みのもんたの語りの珍プレー好プレー大賞などが思い出深い。僕がまだフツーの人と同じように、巨人ファンだった20代のころはそんな時代だった。
そんなある日、後楽園球場へプロ野球の公式戦を観に行ったことがある。初めてのことだった。ちなみに、正しくは後楽園スタヂアムらしい。「ジ」ではなく「ヂ」なんだそうだ(笑)。もうすぐ東京ドームが完成するから、後楽園スタヂアムは閉鎖されるため、今のうちに行きたいと、若い夫婦の息が合ったようだ。その試合は伝統の巨人-阪神戦で、原辰徳のホームランが飛び出し、巨人が勝利したらしい。僕が覚えているのは、観戦していた1塁側スタンドの巨大な照明が、ジジジ~という音とともにショートして、火花が散り、スタンドに降り注いだことくらいだ(笑)。
その後、東京ドームが誕生して間もなくの頃だったと思うが、運よく日本シリーズの巨人-西武戦のチケットをゲットし、初めてドーム戦を観戦することができた。ドームに入るとき、耳が痛くなって耳抜きしたことだけは妙に覚えている。ファーストを守る清原のことや、投球練習する槙原の球速がめちゃくちゃ速かったことは何となく覚えてるのだが、他の記憶はほとんどない。ちなみにこの試合は西武の勝利だったらしい。負けたはずなのに、近くの水道橋あたりの居酒屋で、小さな祝勝会をしていたことを覚えているから、もしかすると東京ドームへは何回か行ったのかもしれない。記憶が混乱するのはシニアの特徴だな(笑)。
半年ほど前のことだ。信号が赤になり止まったとき、車載テレビのザッピングをしていた。僕にとっては珍しく、高校野球の予選(石川県予選?)の映像に目が止まった。ヒットエンドランを決められて、1塁3塁のピンチを背負った奥川君が次のバッターを迎えるところで、信号が青になり、ダイヤルを切り替えた。それが気になって、翌朝の朝刊で、これまた珍しく、彼の試合結果の記事を探した。どうやら彼は、あのピンチを切り抜けたようだ。その後の彼の活躍はみんなが知るところだ。彼はプロへ進むのだそうだ。何となくマー君に似てるように思うのは僕だけだろうか。すでにファンではなくなった僕だが、そんなことを考えながら、遠い昔のプロ野球を思い出していた。