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2020年07月31日

クリープのない珈琲なんて

よく晴れた日だった。ドライブがてらに墓参りに向かった。父親の命日だった。山側の外環状はスムーズに流れていて、窪2丁目あたりの軽いダウンヒルや緩やかなワインディングが気持ちいい。その右側には大乗寺丘陵公園があって、その「つつじ園」はとても美しい。とはいえ、そのピーク時期は、ず~っと休園中だったので、今年のつつじは観れなかった。いまなら「あじさい」がきれいだろうか。
野田の交差点を左に折れて、内川へ向かった。内川墓地公園は、比較的新しくて、整備が行き届いていて、いつ行っても芝生の緑がきれいだ。しかし、園内のいたるところに「サルに注意」とか「クマが出没・危険」とかの貼り紙がある(笑)。そういえば、去年9月のお彼岸のとき、入園する車を職員が一台ずつ止めて注意喚起していた。園内に「サルの群れ」が出没していて、とても危険だという。なので、小さい子供たちをクルマに避難させて、大人だけ駆け足で墓参りしたことを思い出していた。帰り道の路肩に、大きなサルが一匹、悠然とひなたぼっこをしていて、こんなやつに追いかけられたら大変だ、と思ったものだ(笑)。考えてみれば、里山の自然と動物たちは、一体のものなんだな。

毎回の墓参りが終わった後の定番は、別所にある「M川」で旨い蕎麦を食べることだ。たしかに蕎麦も旨いのだが、個人的にピカイチだと思うのは、ここの「天ぷら」だ。出汁を吸ってどでかく膨らむ天ぷらではなく、薄い衣でカリッと揚がっていて、素材の旨味が際立つ天ぷらだ。特に野菜が抜群に旨い。これを3種の塩で食べさせる。そそるなぁ。
着いたのは昼どきで、M川の駐車場はあいかわらず満車で入れない。仕方ないから、近くの内川スポーツ広場?まで、ぶらりと回ってみたりした。ここはここで、ものすごい人気スポットなのか、駐車場も、園内も若いファミリーで、ほぼ一杯だ。ここにはサルやクマは出ないのだろうか(笑)。ここの広場ではBBQができるようだ。近頃の家族にとっての広場は、テントやBBQコンロを持ち込むのが当たり前なのだろう。キャンプ道具の運搬用のカーゴに子供を乗せて歩く若いパパたちが沢山いて、うらやましく見えたりした。
小一時間ほど、暇をつぶして再びM川へ戻った。ようやく駐車場は空き始めたようだ。さぁ、旨い天ぷらを食おう。

駐車場には、店とは別に「あずまや」が建っていて、ウエイティングの人たちがイスやベンチに座って、まだたくさん待っていた。あずまやとはいっても、並べられた山野草の鉢の草花がきれいに咲いていて、先代の美意識を感じたりできる。入り口ののれんあたりにスタッフが立っていて、受付している。横のリストに名前と人数を書く。なんと「蕎麦・残り4食」とメモが入っていた。危ない、ギリギリセーフだった(笑)。あずまやで待っていると、後から着いた人が残念そうに帰っていく。スタッフが深々と頭を下げていた。
待つこと30分ほどで、僕たちの順番になった。非接触の体温計で検温し、アルコールスプレーを手に広げて中に入る。と、そのとき、とんでもない事態が発覚した。蕎麦はセーフだったが、なんと、天ぷらが終了していたのだ(笑)。なんてことだ。僕にとっての「M川の天ぷら」は蕎麦とセットのもので、蕎麦と一体の最強コンビで、それがM川の最大の楽しみなのだ。これじゃぁまるで、クリープのない珈琲じゃないか。(いや表現が古いな)、星のない夜空、魚のいない水族館だ。(いや、ちょっと違うな)、飛行艇に乗れないポルコ・ロッソ、倍返しできない半沢直樹だ・・・。っと、何が何だかわからないが、子供がダダをこねるように、がっくり肩を落としたのは間違いない(笑)。
結局食べた「つけとろ」は、あいかわらず上品で旨いのだが、喪失感が大きい(笑)。その後も、スーパーの総菜売り場の海老天なんかが気になるし、コンビニの天ぷら蕎麦に目が行ってしまう。僕の天ぷらショックは、しばらく尾を引きそうだ(笑)。

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