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2023年10月20日

それは「アートのラリー」みたいなドライブ

奥能登国際芸術祭2023
あるとき、今年の珠洲の芸術祭に行ってみようと思った。失礼だが、交通の便が良くない奥能登に、トリエンナーレが根付くのかどうか分からないから、今のうちに、と思ったフシもある笑。申し訳ないが、行く前はそんな気がしていた。
トリエンナーレ、というコトバは、僕はたぶん有名な瀬戸内国際芸術祭で知ったのだと思う。たしか「3年に1度の」芸術祭として使われるイタリア語かな。2年に1度のやつならビエンナーレになるのだそうだ。コロナ騒動が収まった最近では日本各地の「それ」が話題になっている。
珠洲で開催される奥能登国際芸術祭もトリエンナーレで、今年が3回目なのだそうだ。誰がなぜどうして、などということを言いたい訳ではない。前回(2021年)の僕は、瀬戸内のそれと比べてしまい、行きもしないで「や~めた」と思ってしまった。それは今年の作品リストを見ても、僕にとっては、まぁ同じような感じなのだが、頭の隅っこに、仲間との小さな旅や27期のドライブ企画のことがあって、面白おかしく、ドライブに出るのなら、それも楽しそうだなぁ、と思ったのだ。

さっそく家内を巻き込んで出かけることにした。たぶんだが、彼女は「どうせ下見なんでしょう」と笑ってると思う。
とはいえゲージツを愛する僕(笑)は、行く前にけっこう準備をした。公式サイトを開いて、作品をひとつひとつ確認して、観たい(感じたい)やつを決めた。48作品が珠洲の全域に点在しているから、展覧会のように順にすべてを観るには時間がかかりすぎるからだ。
作品ごとに、近くに臨時駐車場があるようだが、そんなことも面倒くさくてしょうがない。まぁコロナ渦とは違って、予約はいらないから、それはそれで助かった笑。そんな僕のリストは20作品くらいで、たまたまだが屋外展示の作品だかりになった。
それを回るルートは、海沿いの道ばかりだから、ちょうど能登半島の突端を一筆書きでなぞる感じだ。まぁこれで十分楽しいと思う。でもやっぱり珠洲は遠いなぁ笑。
次の準備は、ドライブ旅としての「楽しげな立ち寄り先」を探すことだ。どこかで旨い食事もしたい・・・。インスタでは結構あるように見えるのだが、僕たちが興味を持つようなものは見つからなかった。あちこちに「道の駅」があるくらいかな。まぁ食べ物はともかく、トイレ休憩だけは大丈夫そうだ笑。

のと里山海道を快適に走り、内浦の方から珠洲に向かった(外浦からのアクセスルートでもいい)。せっかくだから、と見附島に立ち寄った。崩落が懸念されてる様子を観ておきたかったからだ。天候がすぐれないせいもあって、見附島は暗く元気がないように思えた。
内浦側のアート巡りの起点は「ラポルトすず」にあるインフォメーションセンターだ。ここで「パスポート」を買う予定だった。ところが窓口の若い女性職員と話すうちに、屋外展示作品はすべて無料だと知った。屋内の作品なら「個別鑑賞券」というやつをその都度買えばいい。つまりパスポートは必要ないのだ。
さて、ドライブは作品を探しながら進むことになる。もちろんカーナビにもGoogleにも作品場所は出てこない笑。頼りは出力しておいた作品の一覧表、そして簡単な地図と番号(作品番号)だけだ。でも、最初の2~3作品を回りながら要領がわかってきた。どうやら車道の脇に作品番号と矢印だけが書かれた「表示板」が立っているのだ。近くに駐車場の矢印もある笑。この表示板さえ見つければ、その作品が近くにある訳だ。
まぁ、ラリーのような感じかなぁ。矢印が交差点にあれば、それを曲がれということだし、この先に次の作品の駐車場があるよ、まぁそんなことがわかったりする。アート作品はラリーのチェックポイントみたいなもので、それを見つけ、降りて作品を楽しみ、また走って次を探す。慣れてくると、そんな「アートのラリー」は、けっこう楽しいのだ。
バラバラに展示されている作品に共通するのは「その場所」が大事だということだ。廃線や廃駅、古びた廃校や民家の蔵やバス停まで多彩にある。まぁインスタレーション・アートというやつだ。
●アート作品とかいろいろ(タップして右へ)

とはいえ、表示板はデザイン優先で、番号だけだし、サイズも小さいから、走っていると番号が識別できなかったり、気を抜くとすぐに見落としてしまう。だから減速徐行や路肩停車は当たり前、大きくUターンすることも何度かあった笑。
珠洲の道路は、概ねどこも交通量が少ないから、そんな年配者の野暮な運転にも優しい土地なんだと勝手に思ってる。ドライブは、珠洲の海岸線を走るから、景色も楽しくて、あっという間に外浦に出る。ちなみにこの道路には「奥能登絶景街道」という名が付いていた。
外浦側の海岸線には、なぜか屋外展示のアート作品ばかりが連続している。屋外だから、海や景色を巻き込むような作品が続く訳で、とても見ごたえがある。そして「スズ・シアター・ミュージアム」という名前の施設に着く。ここは屋内展示ばかりだから個別鑑賞券を買う。
ここが、今日の僕たちのアートなラリーのゴールだ。僕たちとは逆のルート、つまり輪島方面から珠洲へのアクセスなら、ここが芸術祭の起点ということになる。古い小学校の体育館をアート空間として改造したらしい。隣接するカフェも楽しくて、芸術祭のラストを飾るにふさわしい場所だと思う。
●スズ・シアター・ミュージアム(タップして右へ)

奥能登国際芸術祭2023公式サイト oku-noto.jp
まぁ、こんなドライブは楽しいから、秋のひとときにぜひおすすめしたい。仲間旅にもいいと思う。会期は9/23~11/12だから、紅葉に会えるかもね。
ちなみに、僕のドライブに付きものの「食べ物のハナシ」は、別途に書こうと思う。ドライブ旅の楽しみのひとつだから笑。

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