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2020年08月29日

ホテルの時間「サンドイッチを食べに」

後から一人来るんだ、と言うと、窓側のゆったりした6人掛けテーブルに案内された。ちょうど金沢駅西口(いまは金沢港口っていうんだったな)のロータリーが見渡せる席だ。以前のこのあたりは広い駐車場で、日常的に使っていたから、知っているはずの景色なのだが、ちょっと不思議な気がした。ここは、金沢駅西口にオープンした新しいホテルの3階だ。
ハイアットと名が付くホテルは世界中に、もちろん日本にもたくさんあるのだが、その中でも「セントリック」というのは、新しいタイプのブランドなのだそうだ。何年か前に、コンペを勝ち抜き、このホテルの出店が決まったニュースが流れた。当時はまだ日本には存在しないホテルだった。とても興味があったので、銀座の1号店がオープンするのを待って、コーヒーを飲みに訪ねたり、宿泊滞在してみたり、その後も食事に使ったりした。宿泊したとき、この「新しいタイプ」というのに驚かされた。知っているハイアットのどれとも違っていた。ターゲットは「ミレニアル世代」らしい。特に、金沢駅東口の都市型ホテル(NやZ)なんかをイメージすると、「金沢にこんなホテルが成立するかなぁ」などと、思ったものだ(笑)。

水曜日の夕方、仕事が早めに終わったので、待ち合わせに使ってみることにした。その気になったら軽い食事でもしてみようと思っていた。注文するのは「クラブハウスサンド」だ。銀座のそのダイニングでも、同じことをやってきたからだ(笑)。
正面のエントランスがどこか分からないから、車寄せから歩いて入っていった。ベルの若いスタッフに「どこかでコーヒーは飲めないかい?」と声を掛けると、エレベーターホールを指さして教えてくれた。コーヒーが飲めない都市ホテルなどあるはずがない。もちろん僕の常套句だ(笑)。
ベルスタッフは、ある意味でホテルの顔だ。第一印象でもあるし、ここから始まる「サービスの質」や「考え方」が、ホテルごとに大きく違うものだ。中には、カフェやラウンジまで会話しながら案内するホテルもあるし、インカムで別のスタッフにつなぎ、エレベータを降りると恭しく迎えてくれる場合もある。もちろん今回のように、ただ指を差して「あっちにあります」というケースも多い。そんなことを観ている自分のことを、つくづく嫌な客だなぁ、と思うこともあるのだが、こんな仕事をしているから仕方ない(笑)。オープン直後のここは、そんなスタイルからのスタートだ。

エレベーターは3階のロビーフロアまでで、第一印象は銀座とほぼ同じだ。ロビーは銀座ほど広くはないが、天井が高くて解放感がある。時間も時間だから、館内は空いている。遅れて気付いたフロントスタッフが走り寄ってきて、コーヒーの常套句を繰り返す僕を、ラウンジスタッフに引き継いでくれる。ここは、メインダイニングで、窓際にはラウンジ席やカウンターなどが配置されている。要するに、ひとつのレストランなのだが、様々なエリアを用意して、顧客の動機をカバーする。これも銀座と全く同じだった。広い店内だから、開放感を残しながら、様々な家具や建具、そしてソファーやテーブルで、上手にエリア分けしている。内装は、どちらかといえばシックで落ち着いている。銀座で感じた「尖った感性」みたいなものはない。
働くスタッフは全員若々しい。気軽に声を掛けてくるのも、会話しようとする姿勢も銀座と同じだ。違うのはコトバのイントネーションが金沢弁ということかな(笑)。まぁとにかく、現地採用?の若い女性スタッフたちが、キビキビ一所懸命に働いているのは気持ちいいものだ。遅れて到着した同伴者(家内)を上手に案内してくれたこともあって、気持ちよく食事する条件が整った(笑)。さぁ注文だ。

銀座で感心した、あのお気に入りのクラブハウスサンドはメニューになかった。近いのは、能登豚のカツサンドと能登牛をつかったハンバーガーだった。まぁ地方色を考えたメニューということだろう。それにしても値段は安めに思える。そういえば公表されている宿泊料金も、銀座の半額位だろう。オープン時のおためし価格と言うより、むしろ世相ゆえのことだろうが、ホテルはどこも大変だなぁ。
さて、食べた結論は、ある意味、想定通りだった。まぁバッテン印もいくつかあって、少し残念だった気もするが、とりあえず満足だ。どんな一流ホテルだって、スタートはこんなものだ。懲りずにまた使うから、その時までに上手になってくれたらいいかな。
ちなみに、全てのテーブルの上に、立派な透明アクリルで覆われた「QRコード」が置かれている。これが「メニュー」だった。スマホで読み込むとメニューブックにアクセスできる。もちろんシニアの僕たちには、当たり前のように「紙のメニュー」が渡されるので、使う必要はない(笑)。デジタルデバイスを当たり前のように駆使する「ミレニアルズ」にとっては、こんなことも楽しいひとコマなのかもしれない。いわゆるインスタ映えを意識した小物やスペースが豊富なのも、大事な特徴なのだろう。

後日のこと、その隣の、もう一軒の「ハウス」の方ものぞいてみた。とはいってもフロント階のロビーラウンジで珈琲を飲んだだけだ。長期滞在向けと言われる通り、内装などはさらにシンプルでカジュアルになっている。ドリンクもカウンターまで取りに行くスタイルだ。ロビーの隅にはカップヌードルやおにぎりなども売られている。旅慣れた若いファミリーが荷物を整理していたり、その子供がソファーで熟睡している(笑)。そんな、どこかリゾートホテルのロビーのような雰囲気に似ている。
世の中の状況が落ち着いたら、次回はどちらかに宿泊してみようと思っている。2軒あるから先にセントリックだろうか。フツーの人は「泊まる?地元なのになぜ?」と思うのだろうが、実は、駅前のホテルNやZホテル(いまはAホテルだな)にも泊まることがある。泊らないと分からないことがあるからだ。ホテル好きということもあるが、仕事への責任感や、ある意味での好奇心がそうさせる。まぁ、はたから見れば、やはり変人なのだろうと思う。でも変人にしかできないこともあるんだ、と思うことにしている(笑)。
どこかの都市ホテルで、おかしな時間帯に、クラブハウスサンドやハンバーガーを食べている場違いなオッサンを見かけたら、そんな変人組合の人なのかもしれない。まぁ確率は意外に高いかもしれない。

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