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2021年10月15日

場所の記憶「中学校へ行ってみた」

助手席の彼女は、もり中(森本中学)、運転手席の僕は、のだ中(野田中学)の出身者だ。この日の老夫婦二人の散歩の目的地は、なぜか二人の「中学校」に決まった。大した目的意識はない、何となくと言えばそれに近い(笑)。イメージで言えば、自宅から中学校までの当時の通学路を歩いてみたい、そんな程度の発想だった。そして、車で当時住んでいた街へ向かった。実は二人とも、その実家はもう無い。半世紀も経つとそんなことになるものだ。
ちょうど3年前の夏、A面2018の2次会の席で、27期の野田中出身者たちに集まってもらって、中学の同窓会(27期だけの同窓会)をやろう、と約束した。1年後の日程も場所も約束したのだが、言い出しっぺの僕の日程が取れなくなって、いったんお流れにしてしまった。もちろん仕切り直すつもりだったが、翌年のコロナ以降は企画すらできない状況になって、結局、約束をやぶったまま宙ぶらりんになっている。いずれやる気の僕にすれば企画のためのアイデア探しがしたいのかもしれない。

土曜日の昼の少し前、先に着いたのは森本だ。自宅から国道の横断歩道を渡って、森本駅から線路わきの裏道を歩く。途中の踏切を渡ってすぐの横道を右に曲がって、まっすぐ進むと森本中学・・・。彼女は当時、そんなルートで通っていたらしい。
当時の実家近くに駐車場を見つけて、そんな通学路を歩くことにした。森本駅は整備されて生まれ変わっていた。北陸新幹線の高架はイメージで言えば4~5階建てのビルの高さで、今の駅舎はその高架に組み込まれた感じだ。線路わきの裏道も、踏切も、右の狭い横道も、位置は昔のままだが、周囲の景色は様変わりしていて、懐かしいものは見当たらないらしい。昔あったはずの農家は、周囲の宅地と一体になって住宅地になり、家の前庭や角地に咲き誇るコスモスだけが農家の面影を残しているように見える。
ちょうど運動着姿の生徒たちが下校する時刻で、すれ違う僕たち老夫婦に「こんにちは」と元気に声を掛けてくる。最初は礼儀がいいなぁ、などと思っていたが、どうやら不審者の発見対策なのかもしれない(笑)。もちろん校舎や隣接する体育館は立派になっていた。コロナ渦だし、生徒もたくさんいたこともあって敷地に入れないから、昔の痕跡は何も見つからなかった。周囲を歩きながら「こんなに広かったかなぁ」そんな感想ばかりだった(笑)。
●スライドアルバム7点

野田中へやってくるのは3年ぶり?だ。流れてしまった幻の同窓会のときに、みんなに見せようと写真を撮りに来たことがある。それ以来だった。森本中学とは違って敷地には誰もいないし、校門も学校名の看板も見当たらない。いわゆる正門はどこなんだろう、と探すことにした。とはいえ関係者以外立入禁止とか不審者を見かけたら連絡を、などという看板が行く手をさえぎる(笑)。
敷地の横の車道の脇には、立派な「鷲の彫像」が設置されている。どこかで見ていたようにも思うのだが思い出せない。彫像は長い花壇の端にあって、グランドのネットと花壇の間は、遊歩道のように見える。敷地の中かもしれないが、向こうまで歩くことにした。
この道は「ひまわりロード」というようだ。この「ひまわり」は何となく野田中の象徴の花だった気もするが、確証が持てない。遊歩道の先には古い桜並木があった。覚えている、ここは確かに記憶にある景色だ。桜並木の先には城南体育館が見えるのだが、遊歩道の最後はロープで遮られていて、外には出られない(笑)。なので、ロープをまたいで外へ出た。何となく悪いことをした気がしてきた。こんな散歩は珍しいなぁ(笑)。
●スライドアルバム7点

ちょうど公式サイトの編集後記を書き始めた頃、不慣れでネタに困ったから「昔の思い出」ばかりを書いていた。友人たちは「そんな昔のことを、よく覚えてるなぁ」などと驚いていた。でも、記憶にないのは彼らも僕も同じなのだ。いや、薄情な僕の方がきっと記憶は少ないはずだ(笑)。で、種明しをすれば、僕は必死に思い出そうとジタバタするのだ。古い写真も残っていないから、まず「その場所」を思い出すことからスタートする。一番いいのは「そこに行く、そこに立ってみる」ことだ。そして当時のことを絞り出す、ひとつ浮かぶと波のように別のシーンにつながる、そんな感じだ。そこには「場所の記憶」が眠っているものだ。
あの桜並木の下にいた僕は、ニキビ面(づら)で学帽をかぶっていた(笑)。たぶん坊主頭が嫌いだったのだ。相手の彼もキチンと詰め襟のカラーを締めて学帽姿だ。優等生だっだ彼の顔も何となく思い出すが、まだ名前は出てこない。まぁ当時の僕は、ちゃんと校則を守る真面目な中学生だったんだろうな(笑)。
さて、2か所も回ると長い散歩になってしまった、足が棒だし腹も減った。そう言えば、僕の初めての8番らーめんは野田中の近くだった気がする。どこだったんだろう。

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