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2022年10月01日

マーベリック

8月のある日、行儀悪く座って、行儀悪く何かを食べながら、行儀悪くゲームに夢中だった孫たちが、何かに気づいたように、急に立ち上がって庭へ出て行った。先に見えたのは飛行機雲だが、孫が指さす別の方向には飛行機が見える。どうやら自衛隊機だ。ジェットエンジンの爆音に気づいて急いで外へ出たようだ。ジイジにとっては、普段の当たり前の光景だからほとんど気にしたことがないのだが、孫たちにとってはビッグニュースのようだ。男の子はやっぱり戦闘機にあこがれる。
そういえば、このところ自衛隊機が飛ぶ頻度が増えているような気もする。スクランブルの訓練かもしれない。さらに2機目を見つけて大声で喜ぶ孫たちを見ていて、じゃぁ飛行機を見に行こうか、というハナシになった。向かったのは小松の航空プラザだ。そしてそのあとで小松空港屋上の展望デッキへ行く。まぁ彼らのお気に入りの場所、お気に入りのルートだ。

小松インターあたりを過ぎたころ、左の視界から正面に戦闘機が飛び込んできた。おそらく着陸態勢なのだろうが、車内の孫たちは歓声を上げている。さらに空港に近づくころ、もう一機が並走するように降りてきた。F-15戦闘機だろうか。実物の迫力を目の当たりにして、ジイジのテンションも上がってしまった。
走り回って汗だくの孫たちは、最後になって2階のフライトシミュレーターに釘付けになった。まぁ彼らにとってはゲームと同じで、面白がって操縦している。旅客機やF-15が宙返りや垂直降下を繰り返して地面に激突しても飛び続ける訳で、リアリティーはないのだが、とても楽しそうだ。
空港の展望デッキには大きなカメラを構える一群がいた。鉄道なら「撮り鉄」なのだが飛行機の場合は何て呼ぶのだろう。どうやら彼らは無線を傍受しながら、ここぞというタイミングで自衛隊機を撮っているようだ。途中で見かけたポスターで知ったのだが、もうすぐ「小松基地航空祭2022」なのだそうだ。最近、頻度高く戦闘機を見るのは、もしかすると色んな準備や練習なのかもしれない。

夏休みも終わって、わが家が静かになった9月。さかんにテレビで小松航空祭を耳にするようになった。とはいってもNEXCOのリニューアル工事渋滞のお知らせだ。工事渋滞に航空祭渋滞が重なることを、さかんに警告している。たしかにそうだ、何年か前の航空祭のとき、無関心な僕は空港へ向かう高速道路で立ち往生した苦い記憶がある。渋滞などという生ぬるいものではなく、まったく動かず、インターを出れなかった。もちろん飛行機に乗り遅れて、旅の計画が台無しになった(笑)。
喜ぶ孫たちを思い出して、航空祭とか戦闘機の写真や動画を撮ってやりたい気もするが、どうやら小松空港に近づくことすら難しそうだ。何しろ航空ファンが全国から集まる一大イベントらしい。行く気力はない。孫たちのことだから興味があればYouTubeで上手に探すことだろう。
一方のジイジは、ある伝説の映画を思い出していた。僕たちの年代の特に男性は同じかもしれない。あのトップガンだ。

そういえばトム・クルーズのトップガンの新作はどうなったんだろう。公開された頃はとても懐かしかったのだが、夫婦の足並みが揃わないまま観に行ってなかった。何となく気になって調べてみたら、新作のほうも空前の興行収入を上げてヒット作品になったそうだ。しかし本数は少ないから、もうすぐ上映終了かもしれない。ギリギリセーフだ、よし観に行って来よう。僕は一人でシネコンへ向かった。もちろんシニア割引ハッピー55だ(笑)。
新作マーベリックは想像を超えて文句なしに面白かった。冒頭から僕たちのような古いファンのためのスペシャルコンテンツが並んでいるような感じで一気に引き込まれる。あのサウンドトラックもフライトジャケットもカワサキも違和感なく登場する。とはいえ、ストーリーは主人公の35年後?の容姿や今の立ち位置が描かれるわけで、シニアの悲哀も感じてしまう。でもまぁ、同世代の僕たちは、彼の生き様に当時と変わらぬ「あこがれ」を感じ取るのかもしれない。
ちなみにマーベリックは主人公のコードネーム(フライトネーム)なのだが、群れに属さない異端者とか一匹狼という意味らしい。僕にはこれが一番かっこいい。

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