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2024年02月02日

ちょっといい写真が撮れたかな

冬の軽井沢散歩その5

初めてこの宿を使ったとき(20年ほど前かな)に驚いたことのひとつは、客室にテレビもラジオもないことだった。たしか、宿で提供するのは「非日常の時間」だから、という理由だったと思う。あったのはBOSE製のレトロなCDプレーヤーだけだった。
別棟にあるライブラリーにはCDのストックがたくさんあって、そこから気に入ったCDを借りるスタイルだった。それはここだけの特徴ではなく、当時のリゾート宿には、概ねそんな共通点があった気もする。いまでは、そんなCDプレーヤーも姿を消した。
個人のデジタルデバイスが必須になった昨今では、スマホがあれば何の問題もないことかもしれない。そもそも、この宿の主たる利用客は、テレビ世代ではないからだろう。利用客は想像以上に若いから、むしろ僕たちの方が例外に近い。そんな宿泊客は、ここで、とても静かな夜を過ごす。

昨夜の僕は、読みかけの小説に夢中で、珍しくベッドサイドに持ち込んで読んでいた。ベッドで読めば眠くなり(つまり早寝して)、熟睡して、だから翌朝はずいぶん早くに目が覚めた笑。外はまだ暗いのだが、何となく「森の輪郭」が見え始めていた。
そうこうするうちに徐々に明るくなり、外のテラスに出てみたら、これが驚くほど寒くて(間違いなく氷点下)、すっかり覚醒してしまった笑。森の木々を隠していた雲が、とても速く流れていき、みるみるうちに青空が広がっていった。
朝食までのわずかな時間だが、宿の敷地の散策路を順に散歩することにした。夜のあいだに静かに降った雪が、解けずに森に薄化粧している。朝日を浴びた雪の森はとてもきれいだ。
小径は直線ではなく、途中で折れたり曲がったりしている。山の斜面だから上りも下りもある。大きな池をまたぐ吊り橋や、川の全景が見下ろせる高台などもある。
池では緩やかだった水は、斜面を下って急になり、小さな水しぶきを上げている。水際の木々には昨夜の雪が氷になって残っていて、凍った水草の横を、鴨の親子が一列に並んで滑るように進んでいく。まぁとても微笑ましい。
●朝の散策路の景色アルバム(タップして右へ)

勢いよく流れる川の水は、棚田のようなエリアに入ると、急に静かになる。幾重にも重なった棚田の表面に朝日がキラキラ反射している。そんな棚田の真横のダイニングが今日の朝食会場だ。山の斜面に建った大きな吹き抜けの空間なのだが、実はここも棚田っぽいのだ。
上の階から順に下へと、段差ごとにテーブルが配置され、まるで外の棚田の景色と対になるように並んでいる。利用客はこの棚田の(ような)席に座って、外の棚田を観るってことだ笑。それがとてもいい感じで楽しい。
テーブルで炊き上げる豆乳鍋の主役は、シンプルな豆腐なのだが、けっこう美味しい。懐石弁当風にでてきた朝食は、決して珍しい食材はないのだが、素朴で優しい感じだった。ごはんをお替りするかなぁ、というタイミングで焼きたてのだし巻きが出てくる。まぁそんな見え見えのテクニックに、まんまと笑みが浮かんだりする。
たしかにこの宿には「非日常の時間」が流れている。目に映る景色は、景勝地のそれではないのだが、ナチュラルで静かで、とても優しい気持ちになれる。
●シンプルな山の朝食(タップして右へ)

食後は、上の階のラウンジでゆっくり珈琲を飲んでいた。非日常の時間のはずなのだが、やっぱり僕は日経新聞を隅まで読んでしまう笑。
さぁ、外はいい天気だ。今度は反対側の散策路を歩いて部屋に戻ろう。ちょっとだけ遠回りだが、こんな真冬の景色はなかなか見られない。記憶に残しておきたいが、記憶力には自信はない笑。シニアの僕たちにとっても頼りにするのはスマホだ。だから今回はいつになくいい写真が撮れた気がする笑。

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