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2024年02月08日

映画の時間「メッセージよりエンターテイメント」

日曜日の朝9時だというのに、チケット売り場には、いつもと違ってものすごい列が付いていた。驚いたから、あれこれ理由を考えたのだが思いつかない。スパイファミリー?、ゴールデンカムイ?、まぁ想像しても分かるはずがない。6台ほどある発券機の前には、操作に戸惑う人たちも多くて、行列は遅々として進まなかった。このペースだと上映時刻に間に合いそうにない、困った笑。
この日僕たちは、宮崎駿さんの「あれ」を観に来ていた。公開日は去年の7月頃だから、もう話題の旬を過ぎてしまったが、まだ細々と上映が続いていた。とはいえ、もはや1日に1度しか上映していないようだ。この日は朝9時30分だというので、のんびりやってきたのだ。
結局30分ほどかかって、僕たちの番になった、さっそく席の指定だ。発券機の画面に出てくるシートの数は、めっちゃ少ない。空いてるシート数のハナシではなく、そもそもこの部屋(1番スクリーン)が狭いのだ。しかも名前はグランシアターという特別のやつらしい。だからシニア割引もなく、高い笑。

わが家はジブリファンだ。まぁそんな家族も個人もたくさんいると思う。そして僕個人は駿さんの信奉者でもある。あの面倒臭い頑固者の爺さんが、時折ガハハと笑う顔が好きかな。だから、彼や彼の作品のハナシになると止まらなくなり、周囲の人に白い眼で見られてしまう笑。だから、そんなネタを編集後記に書くときは、意識して距離を置いた書き方にしている(今まで何回も登場している)。
彼の作品はいつも、躍動的なファンタジーであると同時に、様々なメッセージを内包している。まぁ、気軽に存分に楽しむのもいいし、深く考えて彼のメッセージを読み解くのも観客次第ということかな。
この映画は、彼の10年ぶりの長編作品なのに、予告編もCMもなく、公開前も公開後も(一部を除いて)ほぼ情報が出てこなかった。だから様々な評論家たちが、背景やメッセージや裏設定のことばかりを話題にしたような気もする。そこには「負の視点」も多くて、観る側(ファンたち)の腰が折れてしまったかもしれない。
まぁそんな、僕たちが今日まで来なかった屁理屈はともかく、いざ観始めるとやっぱり面白い。ワクワクドキドキのエンターテイメント作品なのだ。駿じいさんの面目躍如ということかな。
ちなみに、過去のジブリ作品のオマージュを思わせるシーンやカットが随所に出てくるのだが、それも楽しい。深いメッセージを探すより、こっちの方が気楽でいいに決まってる。

さて、もうひとつ面白かったのは、この日使った「グランシアター」という仰々しい名前の部屋(1番スクリーン)のことだ。座席はそもそも20席くらいしかなく、1席が必要以上に広くて、しかも全席が電動リクライニングのシートだった笑。
観客は僕たちを含めて8人しかいないのはご愛敬だが、ぜいたくな気分で観れるのはいいことだ。レザーシートそのものの幅が広いから、荷物やコートを横に置いてもゆったり座れる。入場時刻はとっくに過ぎていたから、いわゆる新作映画の予告編を流しているタイミングで、つまり薄暗いから、どう操作すればいいのか、ちょっと戸惑った。そもそも完全個室みたいなものなので、横だけでなく、前の人の頭も見えない。
操作スイッチはふたつあって、ひとつはリクライニング、つまり見る角度の調整だ。いつもよりデ~ンと倒すくらいがちょうどいい。そして、試しにもうひとつを操作すると、膝の後ろからシートがせり出してきた。いわゆる電動のオットマンがついているのだ笑。そのまま上げると、かかとや膝をサポートして、とても楽ちんだ。まぁ両足を前に投げ出してる訳だから、寝っ転がる感じに近い。ジイジには(たぶんバアバにも)快適な鑑賞時間ということかな。

エンディングに向けて、プロットや謎がつながっていくのだが、ラストは主題歌(これがなかなかいい)とともにエンディングロールが流れる。僕にとっては配役の声優陣も、ささやかな謎なので、そんな名前を追いかけたりする。へ~そうだったのかぁ、という最後の楽しみだ。
照明があがり、立ち上がったとき、やっぱり観といてよかったと、つくづく思った。観なかったら、きっと後々後悔したんじゃないかと思う。
自宅に戻って公式サイトを開いたら、今になって、とても詳しい「あらすじ」や情報が公開されていた。なんだ、ちゃんと出てるんだ笑。まぁ本編を観た後で、これをゆっくり読むのもファンの楽しみのひとつかな。ちなみに、スタジオジブリの公式ページには、本作に出てくる印象的なシーンの画像(いわゆる版権フリー画像)が何枚か提供されていた。上の画像はその一部なのだが、観るとそんなシーンがよみがえる。

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