2018年02月24日
飛ばねぇ豚は、ただの豚だ
バブル景気の時代とは1986年12月から1991年2月までの51か月と定義されているらしい。年齢的には30代中盤だったが、どこでも、誰もが、仕事と称して、会社のお金をそれなりに使える時代だった。当時は企業広告やリクルート(新卒採用)に大金をつぎ込む時代で、企業パンフやCMやVPなどの製作にかかわり、特に映像の仕事に没頭した時期だった。CMプランナー、ディレクター、カメラマン、エディター、そして音の専門家などなど、様々な業界クリエーターたちと、やりあっていた。そんなクリエーターたちとの討議の際に、しばしば「ジブリの作品」のワンシーンの話題が出てきていた。ジブリはこんな業界にまで影響を与えていたのだった。ジブリというより宮崎駿という唯一無二の巨人の影響力は絶大だった。宮崎駿が表現する世界観や、その魂が細部にどのように表現されているのか、というようなディテール表現の話をバブル口調で語り合った(笑)。例えば、若くてもプロを自認するメンバー達が真面目に「となりのトトロ」に出てくる「風に揺れる稲穂」のシーンを真剣に語っていた訳だ。振り返ると顔が赤くなる思い出だ。今でも当時やりあった(笑)クリエーターたちとの交流が続いている。少し前の話だが、吉祥寺から紅葉の井の頭公園を抜けて「ジブリの森美術館」へ行ってきた。お子様向け?と軽んじていたのだが、足を踏み入れて驚いた。そこにはスタジオジブリの戦場が再現され、今も宮崎駿の魂が、そこにいるように感じた。還暦の僕は「大人の心」のまま、嬉しくて笑顔で、時が経つのを忘れて見学に没頭していた。若い時代を懐かしむだけではいけない。何かに集中しなければ、ただのジジイだ。ポルコ・ロッソがそう叫んだ気がした。
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