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2020年09月25日

いつか旅に出よう「大失敗を思い出して」

夏が終わるころ、本屋の雑誌コーナーには、秋、紅葉、旅、グルメなどの特集記事や写真が増えてくる。手に取って眺めているうちに、やっぱり旅がしたくなる。そして秋の旅には「紅葉」が欠かせない。秋の旅はたくさんしてきたと思うが、なぜか「紅葉を目的にした旅」には行ったことがない。せいぜいで、ふらりと京都に向かって、1~2か所の紅葉で満足するような日帰りの散歩くらいだ。当たり前だが立山黒部アルペンルートの紅葉も日帰りだった(丸1日かかったけど)。きっと、紅葉を思いつく時期は、いつも台風の最中だから、天候リスクが気になって、うまく旅の計画ができないのかもしれない。なにより紅葉の名所は大混雑だ。
いつか旅に出ようと思う。でも今は行けないし、その日が来るのはいつか分からないから、思い立った時に妄想しながら計画することにした。今回は「日光」へ行こうと思う。カッコよく言えば、紅葉の日光を楽しむ旅かな。紅葉のピーク時期の日光は、大混雑、大渋滞で有名だ。あの紅葉の名所「いろは坂」は車で上るだけで3時間かかるらしい(笑)。なので、いつものような週末の旅ではなく、少し時期をずらして、しかも平日の旅にしなければならないようだ。

日光へは、20代の初めの頃に一度行ったことがある。当時は、旅の楽しみ方も、宿の選び方も知らない頃で、電話帳でホテルを探して電話しまくっていたように思う。電話の向こうの人に言われるままの料金で、予約が取れることを最優先に決めていた(笑)。
浅草でひとしきり遊んだ後に、日光へ向かった。着いたのは夜だったと思う。予約したホテルに入っていって驚いた(回転ドアだった気もする)。とても格調高いクラシックホテルで、黒服のキリリとしたホテルマンが恭しく対応するホテルだった。すぐに失敗を自覚した(笑)。
チェックインを済ませ、部屋へ案内されるのだが、その途中にメインダイニングの横を通った。高級そうな何とか調のインテリアで、お宝のような装飾品が並んでいて、テーブルには真っ白のテーブルクロスがかかっている。純白のジャケットを着た品の良いおじいさんと、花が付いた帽子をかぶった正装のおばあさんが二人で、楽しそうにフランス料理を食べていた。着いたらホテルのレストランで何か夕食を食べよう、と考えていたと思うが、明らかに、ただの若造が入れる雰囲気ではなかった。結局、ホテルから出て、典型的な「観光地の食堂」みたいな店で、ハンバーグ定食を食べたことを覚えている(笑)。
後から知ることになるのだが、このホテルは「日光金谷ホテル」という名門中の名門で、日光を、いや日本を代表する老舗のリゾートホテルだった(笑)。まぁ若造の無謀な大失敗の体験なのだが、いつか本物がわかる大人になって堂々と泊まろうと思ったものだ。翌日は、華厳の滝や日光東照宮を観たと思うが、あまり記憶にない。見ざる聞かざる言わざるの三猿は観たように思う。本物と間違えると言われた左甚五郎の眠り猫は、どう見ても作り物にしか見えなかったと思う。そんな記憶しかない(笑)。若い僕には単なる観光地だったかもしれない。

さて、大人になった僕の今回の旅は、まず那須高原から始めることにする。金沢からは朝9時半くらいの新幹線に乗れば、大宮経由で13時半には那須塩原に着けるようだ。レンタカーで紅葉の那須高原をあちこち走ってみたい。
那須高原にはかつて二期倶楽部という大好きなリゾートホテルがあった(以前の編集後記で書いたことがある)。この潰れたホテルは、大改造され、いまでは新しいコンセプトのホテルに生まれ変わった。かつての思い出とともに、今回もここに滞在したいと思っている。アグリツーリズムというコンセプトに沿って企画された新ホテルのアクティビティーは、どれも面白そうだ。いつもの二人旅なら、ここでのんびりと紅葉時間を過ごしたい。
那須高原には、話題の「グランピング」を楽しめるホテルもたくさん生まれた。仲間たちとのグループで訪れるなら、こっちが面白そうだ。モンゴルの移動式住宅「ゲル」を体験できるホテルや、建物が透明なドームになっていて、周囲の自然と文字通り一体になれるホテルもあるようだ。まぁ、ホテルと書いているが、グランピングだから、キャンプ場のコテージとかヴィラと言った方が正確かな。仲間たちとのBBQは、ひときわ楽しいことだろう。
滞在中に、どうしても行きたいパン屋がある。ペニーレインというベーカリーカフェだ。パン屋と書いたが、森の中にある見事なロケーションのレストランで、地元の人に愛される繁盛店らしい。店名から分かるようにオーナーがビートルズのファンで、その世界観を表現しているらしい。公式サイトは古くてよく分からないのだが、さまざまな媒体やサイトで紹介されている。できれば、紅葉の森の中のウッドデッキで、焼き立てパンの朝ごはんを楽しみたい。

そして、いよいよ日光だ。那須高原からクルマで向かい、日光東照宮を通り越して、いろは坂から中禅寺湖まで一気に走ろうと思う。那須高原からなら通常は2時間ちょっとの距離らしいが、紅葉時期は苦労しそうだ。あの日光金谷ホテルには立ち寄るかもしれないが、宿泊先には選ばないと思う。今の僕は、もう少しリラックスできるホテルを選びたい(笑)。
実は、日光東照宮の近くに泊まってみたい宿がある。とはいえ今年の10月にオープン予定の宿で「F」という名前だ。熱海のFはとても有名で、その後、河口湖、奈良にも誕生した。そして今度は日光にオープンするようだ。さっそく公式サイトを観てみたら、10月はほとんど満室だった(笑)。見ればわかるが、紅葉時期は恐ろしい値段だ(笑)。無理だなこれは。
まぁそんな無茶はやめて、中禅寺湖の湖畔で宿を探そうと思う。なにより朝もやの湖や、朝日を浴びる華厳の滝を観てみたい。いわゆる奥日光というコトバにもそそられる。戦場ヶ原は小説でしか知らないのだが、訪ねてみたい気もする。日光東照宮は最終日に取っておこうと思う。たくさんのトリビアがあるようだから、しっかり予習したほうがいいかな、などと思う。少し前からだが、こんな年齢になってガイドを付けることも覚えたから、そんな解説付きの散策も楽しいかもしれない。
さぁ、ここから先は、ゆっくり下調べだ。3泊4日の日程で欲張りたいことがたくさんある。そんな準備の手間が楽しいと思える年齢になったな。

那須高原のホテル risonare.com/nasu/
日光東照宮近くの「F」 fufunikko.jp

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