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2021年01月22日

散歩の途中で「森のパン屋の朝ごはん」

目が覚めたときは、まだ薄暗かった。何となく、ふとんの重さや周辺の景色が違う。そうか、自宅じゃなくてホテルだった。ベッドの周囲を探ったが、時計もないし、スマホも見つからない。いま何時ぐらいなんだろう。昨日は歩き疲れて、ずいぶん早めに寝てしまった。ブラインドを上げると、外は少しだけ明るくなっていた。ぐっすり眠れたようだ。
外の空気が吸いたくて、ダウンを着込んでコーヒーを飲みに出かけることにした。山の空気は冷たくて、いっぺんに目が覚めてしまう。100mくらい先のセブンイレブンに向かった。カフェラテのホットのテイクアウトだ。コンビニを出て、向こうの森の方を見ると、木々の下の方に太陽が顔を出している。もう8時だというのに、山の朝の太陽は、こんなに低い位置にあるんだ。ちょっとした美しい景色なので、白い息をはきながら、そこでそのままカフェラテを飲んでいた。

朝ごはんは、近くのパン屋のやつと決めていた。何年か前にも朝ごはんで使ったことがある。そのとき食べた美味しさや嬉しさが思い出になっていて、今回の旅の目的のひとつに組み込んでいたからだ。でも、初めて泊まったこのホテルの朝食にも、少し惹かれてしまう。宿泊費も手ごろなホテルだから、料理はシンプルで安いのだが、館内や敷地内なら、好きな場所へ運んで食べてもいいらしい。できれば、あの中庭の木の下のベンチで食べてみたい。
後ろ髪をひかれたが、初志貫徹で、パン屋に向かって朝の散歩に出かけた。イメージでは、少し遠回りになるが、わざと森の中を抜けて、おなかを空かして食べるはずだった。とはいえ冬の朝の冷え込みは激しくて、高齢?の僕たちは軟弱にも一直線に店に向かうことにした(笑)。

山の中とはいえ、パン屋だから早朝から営業している。向かって左がベーカリーで、右がそのカフェだ。ベーカリーなら、ショーケースのパンを選び、店内でも外のテラスで食べることができる。寒さに押されて、カフェの方を選んだ。すでに何組か座っていた。出された「お冷」を手に取って驚いた。水ではなく「お湯」なのだ。両手で包むように持つとあったかい。なるほど、これはちょっと嬉しいなぁ。
モーニングプレートとフレンチトーストをオーダーしてシェアすることにした。待つあいだ、窓の外の森から朝日が差し込んでいて、コーヒーを飲みながら、そんなきれいな景色をずっと眺めていた。
大きな皿にあれこれ料理が乗っている。目玉焼きが2個なのはちょっと嬉しい。ベーコンにソーセージ、そしてミネストローネにヨーグルト。さぁ戦闘開始だ(笑)。フレンチトーストのパンはブリオッシュで、アパレイユ(漬込む卵液)は軽いタイプだ。パン本来の旨さや食感の違いも楽しめる。山のパン屋の朝ごはんは今日も一流品だった、やっぱり旨い。

ホテルまでの帰り道は、やっぱり森を歩くことにした。けっこう急な坂道を登り、高原教会の敷地に入ると、ちょっとだけ神聖な気分になる(笑)。敷地内をぐるっと歩いて、裏山の方に降りていくと、田畑?が広がり、そこに僕たちの宿泊ホテルが建っている。ここは、ヤング受けするコンセプトのホテルで、利用しているのは女性グループや若いカップルばかりだ。いろいろなサービスは、ほとんどセルフ形式なのだが、まぁ気軽で楽しい。もちろん僕たちは最年長の客だろう。
でも朝の散歩に年齢は関係ない。案内板を見ながら山の森の方へ歩いていくカップルも何組かいた。そうだな、ちょっと不便な立地だけど、このホテルも、あのパン屋も、一番のウリは、豊かな森に囲まれていることだ。季節が違うなら、あのパン屋で好みのパンを買って、森の中のベンチかどこかで食べるのも悪くないかな。

このパン屋 b-sawamura.com

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