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2018年08月18日

地酒の「師匠」のお話

ただいま「第2回利き酒会」の準備中です
若い頃の日本酒は年寄りの代名詞で、悪酔いする典型のように思っていた。「ぽんしゅ」と呼んで全く興味などない頃だ。恰好つけてウイスキーやカクテルを必死に覚えていた頃なので、余計にそう思い込んでいた。30代の半ばに家を建て、松任に引っ越した際に、近所の一軒の酒屋(酒販店)に入ったのが運命の出会いとなった。「たまき酒店」との出会いだ。久保田の暖簾に興味を持って入ったのがきっかけだ。当時はいわゆる第2の地酒ブームの頃で久保田はその代名詞だった。たまき酒店は時代とともに扱う地酒の種類が変わり、本格焼酎の品揃えも増え、業界人なら知らない人はいない「地酒と焼酎の専門店」となった。今でも全国の酒蔵へ足を運び、信頼を得て特約銘柄を獲得している。地元石川県の酒の未来をいつも考えている素敵な72歳だ。

当時のたまき酒店のオヤジは決して酒を語らなかった。質問がない限りおすすめもしない。しかし試飲をすすめる、これが当時のオヤジの流儀だった。初めて来店した30代の僕は、久保田紅寿の洗練された味に驚き、その後シリーズの頂点「萬寿」まで順に久保田の全ラインナップを飲んでいった。それが「はまる」きっかけになった。まるで好きな小説に出会った読者が、その作者の本を順に読んでいくような感じだった。当時は能登杜氏四天王も健在で、その芸術品のような酒を順に飲んでいった。その後は有名蔵の蔵元見学や、蔵の行事に連れて行ってもらい、杜氏さんの心意気やそれを伝えることに使命感をもつ人たちに触れて、地酒をもっと知りたいと思うようになった。ちょうど本気でワインを勉強している時期だったので、歴史や文化、風土や地域といったドメーヌ志向に興味を持ったのだと思う。

あれから25年、黒龍や満寿泉をはじめ、たまき酒店の扱う地酒は、棚の右から左まで、全て飲んでいる(笑)。今はなぜか福井の酒が僕のお気に入りだ。特に黒龍は抜群だ。季節の黒龍をはじめ、伝説の仁左衛門や石田屋には蔵元や造り手の魂がこもっている。とにかく旨い。一方、焼酎については、僕はまだまだ中級だ。有名なブランドや、限定品の魅力、麹の違いなどという中途半端な楽しみ方しかできないレベルだ。僕の洋酒の師匠は倫敦屋の戸田さんだが、オヤジ師匠とは同じ世代で昔の仕事仲間らしい。いまも蔵元杜氏の新しい試みを熱く語る。オヤジ師匠の話はホントに面白い。27期の「利き酒会」の企画がうまくいったら、シリーズ化して、蔵元見学や師匠を囲んだ地酒の会でも開けたらいいな、と妄想している。第2回は「ひやおろし」でいこうと思う。開催日は9月22日(土)。来週には揃える銘柄など詳細をお知らせできそうだ。さっそく、たまきさんに通わないと。

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