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2024年05月09日

本の時間「まぁ変な本だったなぁ」

あれだけ目立ったら、誰だって気になるし、思わず手に取って見ることになる。なにせ本屋の店頭には山のように積まれていて、書店員の手書きPOPはとても上手だから、こんな僕でも足を止める。
もちろんそれは本屋だけではなく、ウエブのニュースでも大量のリリースがあった気がする。たぶん映画化とか公開直前のタイミングだったのだと思う。
内容がどうなのかは別にして、シニアにとってはネットで騒がしい話題作だから、とりあえず読んでおくかなぁ、そんな気にさせる上手なプロモーションだ。まぁ時代に乗り遅れないように、そんな感じで買ってしまった。あの「変な家」の小説版のハナシだ。
その後は、映画版のポスターが出回り、テレビCMなども大々的に流れたから、一般の人たちは新作のホラー映画かな?、などと思ったのかもしれない。

シニアの僕にとっては、いろんなことが怪しい笑。雨穴(うけつ)という作家名にも何やら違和感を感じるし、ウエブライター?ユーチューバー?という経歴にも危うさや妙な軽さやノリを感じてしまう。
この本は、ある家の見取り図から始まる。本というものは、白い紙に黒の活字が並んでいるものなのに、本編は黒の紙に白抜きで文字が並ぶ、そんなスタートだ。まぁ最初っから違和感を狙うような演出ってことかな。
こんな話題作だから、あんまり詳しく書けないが、本作の語り部の「私」は、ホラー作家?、まぁオカルト専門のフリーライターという設定で、そんな「私」にまつわる不動産ミステリーだ。だから、ますます怪しくなる笑。

ちなみに、この本には随所に図面が出てくる。普通の本でいう挿し絵とは違って会話の道具のようにたくさん使われる。本編は一種の会話劇なので、そんな工夫でテンポよくストーリーが進んでいく。だからとても読みやすくて、たぶん2~3時間で読めると思う。
とはいえ読者は、読み終えたのに、何かが引っかかったまま、という状態になる。書かれていない裏側があるような気がしたり、もしかすると、と勝手な妄想が続くようになる。どこかで重要なプロットを見逃している気になるのだ。要するに後味が良くない。
よく言われる「考察」ってやつをあおっているのかもしれない。まぁそんなところも今っぽい。一般の人なら映画を観ようかなぁ、という欲求も生まれるのかもしれないな。

僕は、そんな後味の悪さが、やっぱり気になるのだが、映画版を見るほどの興味は持てなかった。でも、YouTubeのそれを探してみたりした(実物もやっぱり怪しいなぁ笑)。この引っかかりが妙に気になっていて、今では続編を買って読んでみようかなぁ、などと思ったりする。
こんなシニアにそうさせるのだから、ウエブ発の話題作ってやつには、テクニック以上の不思議なチカラがあるんだと思う。同級生の皆さん、決しておすすめしたい訳ではないのだが、興味があるなら読んでみてね笑。

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