その名も「絶景天空ランチ」というやつ
居間のソファーの足元に「るるぶ信州」が転がっていた。しばらく開いてないし、旅に持っていくわけでもない。今回の目的地は行ったことがある場所だから、そもそも買う必要がないのだが、ドライブしてみたくなって、だから地図が欲しくて買ってしまったのだ。
結局、ドライブは断念したから、このるるぶは無用の長物になってしまった。だから、なかば放置されてる状態だ笑。
そんな無駄になった「るるぶ」なのだが、その表紙に「天空パラダイス」というコトバを見つけて、久しぶりに手に取った。さらにページをめくるとその特集ページがあった。
信州各地の山の上には「絶景テラス」、つまり景色が自慢の映えスポットがたくさん増えている。そんな施設の写真や説明文がいくつも並んでいるのだ。日本アルプスに向かって大型のブランコに乗る写真や、広いウッドデッキから美景を眺めるような写真ばかりだ。
ブランコのやつは白馬のマウンテンハーバーというやつらしい。それ以外にも野尻湖テラス、清里テラス、スカイテラス、女神のテラス・・・と色んな絶景テラスがずらりと並ぶ。これ以外にも「花絶景」とか「星空絶景」もあるから見てるだけでもニタニタする。
で、思い出した。そういえば今回のホテルのオプションにも同様のアクティビティーがあったはずだ。調べたらその名も「絶景天空ランチ」というやつだった。名前は少々ベタなのだがあらためて興味が沸いて、予約することにした。
どうやら「天空カート」と名付けられた電動カートで、景色を楽しみながら25分ほど山を登り、標高1400mかな?その頂上付近で絶景を楽しみながらピクニックランチをしませんか、まぁそんな内容だった。これなら、こんな膝が悪いジイジでも大丈夫だ笑。当日が待ち遠しくなった。
と、楽しい期待は前日までのことで、天候はどんどん悪くなる一方だった。雨の絶景などというものは存在しないだろうなぁ笑。けっきょく翌朝(当日)も奇跡は起こらず、小雨の中、そのアクティビティーに向かうことになった。送迎バスには2組しか乗っていないから、きっとキャンセルが相次いだのかもしれない。
まぁ僕はへそ曲がりだから、こんな不運を嘆くこともなく、雨なら雨で、それらしく楽しむつもりだ。雨だから見れる景色や気付く面白さもきっとある。隣に座る家内は、もはや反対するつもりもないようだ笑。
15分ほどの移動で着いたのは、なんとか高原リゾートという名前の施設だった。立派なゴルフ場やスキー場もあるから、それなりのリゾート施設ってことだと思う。受付デスクで説明を受け、大きなクーラーボックスを受け取る。どうやら中身は僕たちのランチボックスらしい。
乗ったのは、小型のいわゆる電動カート(ゴルフ場にあるあれ)だ。それが全自動で頂上までの25分間、僕たちを運んでくれるらしい。でもハンドルは動かすな、ブレーキやアクセルは踏むな、などと説明がうるさい。途中でカートが止まったら、あせらずエンジンを再始動せよ、などと脅される笑。
●雨の晴れ間の天空ランチの写真アルバム5枚(タップして右へ)
カートは自動運転で専用道路をスイスイ登っていく(とはいえイメージで言えば時速5kmほどだけど笑)。雨に濡れた白樺の林がなかなかきれいだ。標高が上がるにつけ、斜面から見える下界の景色が「あぁここは高原なんだなぁ」と思わせてくれる。
頂上は、まぁちょっとした広場になっていて、大型のテントサイトがいくつかあったり、展望デッキやカフェなんかもある。ちょうど雨も止んだから少し歩いてみることにした。晴れていれば日本三大高峰の富士山、北岳、奥穂高岳が180度パノラマで見えるらしいが、あいにくの天候だから、想像するしかないんだけどね笑。
そうこうするうちに、意外にも次々にカートに乗った利用客がやってくる。ここは案外有名な場所なのかもしれない。すれ違う子連れの家族が手を振ってくるので、ジジババも笑顔で手を振るのだが、近すぎてちょっと照れくさい。
晴れていれば、好きな場所に腰かけて食べるはずのランチだが、けっきょくテントサイトの下で食べるしかない。大きなクーラーボックスに入っていた「天空ランチ」の正体は、クロワッサンのサンドイッチやシフォンケーキだった。まぁ付いてくるジュースが野菜生活なのはご愛敬かな笑。
何度も書いているが「晴れていれば」ここはきっと絶景テラスのひとつなんだと思う。まぁ雨の景色だから、醍醐味はないのだが、高原の空気は雨で湿った分だけ澄んで気持ちよかった気もする笑。
ちなみに、帰路のカートも全く同じ速度でのんびりくだっていく。少し前に出発した先発のカート(どこかのお兄さんが一人で乗ってるやつ)は見るからに速度が遅くて、みるみるうちに追いついてしまう。そして「衝突するぞ~」という直前に、僕たちのカートが、ガクンと自動停止する。
スタート前におじさんが言ってた「再始動せよ」の意味はそんなことだった笑。けっきょく3度もそんなことを繰り返して麓のスタート地点に戻ってきた。このカートはたぶん隣のゴルフ場のやつの中古品なのかなぁ。そんなどうでもいいことを考えながら帰路についた。いつの間にか青空だ。やっぱりついてないということなんだなぁ。