無人のワインテイスティング
山梨のこのホテルに泊まるなら、行ってみたいショップがあった。ワインショップだ。売っているのはもちろんワインなのだが、よくあるワイン専門店とは全く違っている。まず、扱っているのは山梨県と長野県の「日本ワイン」だけだ。
ワインのショップだから、普通なら1本2本という単位で売っているものだが、ここはグラスの単位で売っている。だからやってくる利用客は店内で好みのワインをサーバーから注ぎ、その場で飲んでいる笑。
うまく説明できないが、ワインのテイスティングを楽しむ店、ということかなぁ。そんな日本ワインの愛好家にはパラダイスみたいなショップだ。
だから、この店の存在を知った僕は、もちろん「行ってみて~」と思うし、当たり前だが「色々飲んでみて~」と思っていた。そしてこの日、ようやくこの店へやってきた。
ハナシは横道にそれるが、ここは「日本ワイン」だけの店と書いた。この「日本ワイン」と従来の「国産ワイン」はコトバが似ているが全く別のものだ。
昔から日本ではワインを海外から安く輸入して国内で調整加工して製造していた。それが国産ワイン(今の呼称は国内製造ワイン)だ。まぁイメージで言えば原液で買ってブレンドするって感じなのかなぁ。
これに対して「日本ワイン」は、日本で栽培された葡萄だけで製造したワインのことを言う。そういう定義らしい。まぁ生粋の日本製ということかな。
今ちまたで話題なのはこの「日本ワイン」のことで、その生産量の第1位が山梨県、そして第2位が長野県だ。規模は小さいが素晴らしいワイナリーがたくさん誕生している。この日は有名なキュベ三澤(グレイス)のセカンドラベル「あけの」にも出会えた。やっぱり旨かった(メルロ主体のアサンブラージュらしい)。
ちなみにこのショップの所在地は山梨県(実際には山梨と長野の県境あたり)だから、周辺の日本ワインを集めて、その中から常時30アイテムくらいを扱っているらしい。店の名前は「八ヶ岳ワインハウス」という。
この店の楽しみ方が、これまたとてもユニークで面白いのだ。場所はホテルの外部テラスみたいなところにある。そこに本屋があってその奥の一角がこのワイン屋さんだ。正しくはブック&カフェと言って、本だけ見てても構わないのだが、中央のカウンターでドリンクを注文して、それを飲みながら読書できるカフェだ。
その注文カウンターで、奥のワインのテイスティングを希望すると、専用の「カード」を渡され、とても丁寧にワインサーバーの使い方を教えてくれる。いわゆるセルフサービスだから、無人のワインテイスティングということだ。
ワインショップだから、店内にはたくさんの日本ワインが並んでいる。そして壁面の冷蔵サーバーの中にざっと20種類くらいが並んでいる。こっちがテイスティングできるワインだ。
あれこれワインを眺めて、ワインを決めたら、その上のホルダーからグラスを取って準備する。カードを挿入してボタンを押すと、ワインが定量出てくる。横のカウンターで飲むのも楽しいし、何種類か並べて飲み比べるのも面白い。
ボタンは3種類(25cc、50cc、150cc)あってそれぞれ売価が表示されているのだが、セルフだからどれも安い。カードにはワインの履歴が残っているから最後にそれで清算する。ちなみにスパークリングはサーバーではなく、さっきのスタッフが注いで渡してくれる仕組みだった。
●ワインテイスティングの写真アルバム(タップして右へ)
セルフというのが意外に楽しい。たくさんの種類を試したいなら25ccかな、お気に入りのやつがあるなら50ccが適量だ。150ccはテイクアウト用の量で、それには専用のボトルを使う。部屋で飲むだけではなく、館内のレストランなら無料で持ち込めると思う。
そういえば、スタッフがいないから細かな解説は聞けない。だからラベルを写メして画像検索だ。お勉強しながらのテイスティングということかな。改めて思うのは、単なるブームではなく、日本ワインの底力はすごいんだね。
でもやばいこともある。ようするに飲みすぎるのだ。僕は夜のディナー予約の前に、ここに立ち寄ったのだが、食事の前に、すでに酔っぱらいが一人出来上がってしまった笑。
さて、悪い癖だが僕のワインのハナシは尽きない。いつの日か、山梨の小さなワイナリーを順に訪ねる旅をしてみたい。あの鳥居平今村の葡萄畑も見てみたい。でもやっぱり「色々飲んでみて~」のは変わらないからレンタカーではダメだなぁ。さて、どうしようか笑。