本の時間「たまたま双子の物語」
9月のある日、うまい蕎麦と絶品のだし巻き玉子を食べていた。長年通っているから身びいきもあるのだが、ここのやつはやっぱり旨い。
ちなみに、この店の女将さん(いつも元気な人だ)には、双子の孫がいる。つまりおばあちゃんだ。彼女が言うには、双子ちゃんを含めた3人の小さな孫たちを、同時にお世話するのはとても大変なことらしい。
食事が終わりかけのころ、お茶のお替りは?と彼女がテーブル横で声を掛けてくれる。そんなタイミングで、家内と女将さんの、ちょっとした井戸端会議が始まる。二人は同じような年齢だから、話題は互いの孫たちのことだ。
僕はいつも、ほぼ聞いているだけなのだが、もう5~6年は毎回同じ話題ではないかと思う笑。まぁバアバにとって孫たちは「天使ちゃん」だから、お世話で腰が痛くなるのも嬉しいエピソードなのだと思う。
蕎麦をすすりながら、そういえば最近の僕は「双子のハナシ」ばかりに出会ってるなぁ、と思った。この日はかわいい双子ちゃん、それに小説の双子、そしてドラマの双子だ。
上の写真は、読み終えたばかりの小説で、タイトルにあるように「悪魔みたいな奴ら」が出てくるクライムストーリー(犯罪もの)だった。出てくる双子の兄は潜入麻薬捜査官、弟は元米軍兵(たしか特殊部隊)という設定の小説だ。まぁ男臭いハードボイルドだから、かわいい「天使ちゃん」は出てこない。
もうひとつは、読んでる時期に並行して、双子の医者が描かれたドラマがオンエアされていたことだ。ご存じの通り日曜劇場のあの医療系ドラマだ。
でも興味があったのは、人気俳優さんたちの演技ではなく「原作との違い」の方だった。何しろ原作の小説には「双子の医者」など出てこない。だからドラマの方の顛末に興味があったんだと思う。
さらに(これもたまたまなのだが)、こっちの物語の主人公も「悪魔」と呼ばれるから、なんか不思議な気もした。ちなみに、いったん離れ離れになった双子が、ここで劇的に再会するのか?と、ドキドキさせるのも同じだ。
さて、まずは前述の小説のことだ。勉強ができて優秀な兄、反発して悪さばかりの弟、高校時代のある事件をきっかけに、弟は行方不明になる。実はアメリカに渡り、入隊してアフガニスタンなどで20年にわたり奮闘し本物の戦士になっていた。そんな弟が除隊を期に、一時帰国したときから、この物語がスタートする。
好きな作者だから読み始めたし、作風に身びいきもあるから、やっぱり面白い。まぁ僕にとっての身びいきは、この蕎麦屋と同じってことかな笑。
一方、先日最終回を迎えたこの「話題の医療ドラマ」のほうだ。観ていた人も多いだろうからストーリーは省くが、原作は医療モノで有名な某作家さんの3部作だ(どうやら4つ目も出たらしいから4部作かな)。随分前だが、読んだとき僕もハマった。
この作家さんのファンたちにとっては、原作では全く別人の主人公を、同じ役者が演じることに違和感があって当然なのだが、ドラマの方では双子の数奇な運命、と推し切っちゃった感じかな。まぁドラマの筋立てのアイデアには原作者も絡んでいるらしいから、これはこれでドラマ編ということだ。
双子が生まれる確率は1%、つまり100件の分娩につき1件は双子が生まれるらしい。決して少ないわけではないようだが、フツーの人たちにとって双子は、ちょっと不思議な存在なのかもしれない。だから双子の物語(作品)はたくさんあるようだ。
ドラマのエンディングは、あいかわらず上手だった。続編?スペシャル編?映画化?、まぁどうなるのか分からないが、考察好きなファンにとっては楽しみが増えたんだと思う。先のことは分からないが、実現すれば原作ファンの僕だって観てしまうのかもしれない。
まぁその先に、第4部?の「プ〇チナハーケン1980」を読んでしまわないとね。ちなみにこれは前日譚らしいから「ドラマのその後」ではないと思うけど、この作者さんの仕掛けが何か入ってるかもしれないな。