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2023年07月07日

ただ食べたくて「ピンチョスとマイタイの夜」

散歩のハナシの続きみたいなことだが、今度は赤坂の「夜のハナシ」をしようと思う。まぁ、いつものように「食べて飲んで」のハナシだ。いったん時計は1か月ほど前に戻る。今回の旅を決めて「計画」している頃だった。
ホテルがあるのは赤坂見付だった。コロナ騒動が始まった頃に開業した気軽で面白いホテルだ。場所としては、今回の「昼の目的地」からそんなに遠くないから丁度いい。ここに決めることに迷いはなかった。いつもなら「夜の目的地」も決めるのだが、今回はその必要がなかった。だから夜のことは二の次だった笑。

計画では、昼間っからあちこちで食べるから(まぁ飲むから)、夜は軽めでよかった。だから、ホテルの近くで気軽なやつを、Webで探すことにした。あとは、よさげなBARが見つかれば御の字だ笑。
まず見つけたのは小さなスペインバルだった。どうやら独創的なピンチョスが自慢らしい、面白そうだからすぐに気に入った。さらに、8種類のオリジナルピンチョスが付いたミニコースがおすすめで、値段も手頃だった。この8種類のやつは、このコースでしか食べれないらしい。いつもならアラカルトだが、仕方なくそれを選ぶことにした。欲しい料理があれば追加で頼めばいい。そのままWeb予約した。
ちなみに、ピンチョスは小さなパンの上に小さな具や料理を乗せた前菜のような軽食で、普通は小さな串やピンを刺してある。見た目が面白くて映える「つまみ」のようなやつだ。

そしてBARのことを考えたとき、大昔の赤坂の夜の記憶が浮かんだ。それは南太平洋をテーマにしたようなダイニングバーで、チチとかマイタイとか、当時トロピカルカクテルと呼ばれた派手なカクテルの店のことだ。まぁ日本でのブームの火付け役って感じかな。
たしか閉館した赤坂プリンスにあったような気がするが、店名が出てこない。聞けば思い出すだろうが、何て名前だったかなぁ。赤坂でBARを探すつもりが、大昔の店が気になって仕方ない。思い出したくなってしまったのだ笑。
こんなとき、Webは便利だ。トロピカルカクテル(スペース)赤坂、ですぐに見つかった(というか、見てすぐに思い出した)。店名はトレーダーヴィックス、そして場所は赤坂プリンスではなく、お向かいのニューオータニだった。記憶は勝手に入れ替わるものだ。さらに驚いたことに、まだ現役で営業していたのだ。出てくる写真は、当時のままのように見えるし、トロピカルカクテルも現役だった。これは行きたい。いや、行かなきゃならない笑。
こうして、夜のスペインバルを予約し、食事のあとにニューオータニへ歩いて向かう計画になった。まぁ昼は新しい街、夜は古い街で食事を楽しむことになる。当日が楽しみだった。

そしてこの日の夜を迎えた。お目当ての8種類のピンチョスは、串ではなく指でつまむタイプで面白いのだが、どれも想像以上に小さい。まぁカワイイってことだ。お店側も大事にしているらしく、提供時にひとつひとつ説明してくれる。とはいえ早口だし抑揚もないので、聞いた尻から忘れてしまう、まぁ8種類もあるから仕方ない笑。どれも工夫されているが、ホントに小さいので、口にしても何を食べてるか分からない感じだ。
次のスープはガスパチョだった、けっこう本格的かな。メインの肉料理は、3種類(ラム、牛ハラミ、イベリコ豚)のグリル、米料理はカルドソのはずなのに、なぜかパエリアに変更になっていた。僕はカルドソ(まぁ魚介の雑炊みたいなやつ)の方が良かったかな。
説明は難しいが、全体的にはテンションが上がらない出来で、残念だが店名をここで紹介(お知らせ)するような感じではない笑。さぁ、仕切り直して、懐かしのマイタイを飲みに行こう。

こんな時間のニューオータニの館内は、とにかく静かで誰も歩いていない。ブライダルで賑わう日中とはまったく違っていた。1階のフロアは一種の商店街だから、シャッターが降りていてひと気もない。古いホテルだから照明も控え目で、夜はちょっと不気味なくらいだ(失礼)笑。
4階のエレベーターを降りると、そこは、いきなり異空間になった。お面とか楽器?や彫刻?、アフリカのようでもあり、ポリネシアの感じもする。南太平洋の青い海、という感じではなく、精霊なんかが出てくる夜の森の中のイメージかな。
そうだそうだ、僕が知っている店(大昔に来たことがあるこの店)は、時間が止まったまま、40年余の月日を超えて、当時のままで残っているんだと、ちょっと感動した。でもまぁ、現実的には改装を繰り返したはずで、僕が思い込んでるだけだと思う。
少しバーで飲みたいんだ、とアテンド(品のいいおばさまだ)に告げると、にこやかに応えて店の奥へと誘導してくれた。それにしても暗い、とにかく暗くて、しばらく周囲のことが分からないほどだ笑。

テーブルにはランタンがあるのだが、それでも暗くて、メニューが読めない笑。スマホのライトでカクテルを探した。調べて知ったことだが、マイタイというカクテルは、今から80年前に、カリフォルニアのトレーダーヴィックス(創業の店ということかな)で、1本のラム酒から偶然誕生した伝説のカクテルらしい。
だからここでは、それをオリジナル・マイタイと呼んで伝説を(レシピを)守っている。もちろん僕はそれを選び、横の家内はマンゴー・マイタイをオーダーすることにした。オリジナルは、独特なラムの風味と強い個性で男性的な気がした。マンゴーの方は、単純にとても飲みやすくて美味しいから女性向けかな。
トロピカルカクテルと言えば、南国の花や、傘が添えられているイメージだが、本物は意外にシンプルだ。写真を撮ってみたものの、真っ暗なのでうまく映っているかどうかは微妙なところだ笑。
この晩、ホテルに戻った僕たち2人はすぐにダウンした。マイタイにやられたかな笑。昼の散歩も長かったし、夜に酒を飲んですぐに歩き回ったせいかもしれない。眠ってしまう前に、撮った写真が気になって確認したのだが、マイタイはちゃんと映っていた笑。スマホの性能は凄いんだなぁ。

この店 tradervicstokyo.jp
正しくは、ちゃんとしたレストランで、僕が使ったのは店内の「ボートハウスバー」のエリアらしい。今の時代にトロピカルカクテルってのは、いかにも時代遅れなのだが、そんな昔を思い出したい人には、おすすめかな笑。

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